エリザベス女王杯
レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[2-3-1-4]で5連対。2番人気は[5-2-0-3]で7連対、3番人気は[2-1-0-7]で3連対。連対馬20頭のうち15頭が3番人気以内と人気馬がかなり堅実。毎年1、2番人気のどちらかが必ず連対している。2番人気は現在5年連続で連対中。最近5年はその年の秋華賞馬が1番人気になっており、テイエムオーシャン5着、ファインモーション1着、スティルインラブ2着、スイープトウショウ5着、エアメサイア5着で2連対。掲示板は外さないが、勝ったのは5戦5勝で臨んだファンモーションしかいない。今年は5戦5勝でオークスと秋華賞を制したカワカミプリンセスが出走する。

馬連は万馬券決着はなく、荒れても中穴止まり。10倍台までが6回と堅く収まることが多い。連対馬20頭のうち16頭に牝馬限定G1で連対があり、残る4頭にはG2またはG3で連対があった。古馬牝馬唯一のG1でレベルが高く、重賞実績のない馬では通用しない。3歳馬を含め、G1実績のある馬を重視したい。過去10年の3着馬は11、8、1、5、10、5、4、10、4、4番人気。8番人気以下の4頭は逃げ馬2頭、追い込み馬2頭。3連単には極端な脚質の馬を絡めるのが妙味。前走府中牝馬Sに出走した馬が3着に来ることが多い。今年の京都は高速馬場。馬場適性も加味したい。

カワカミプリンセスは今年2月にデビューして無敗でオークス、秋華賞を制した。秋華賞は5F58.4秒のハイペースで前の馬と差があったため、3コーナーで自分から動いて勝ちに行ったが、強引に外を捲って上がり3Fメンバー最速タイの34.4秒で最後まできっちり伸びたのだから強い。秋華賞はオークスより馬体が8キロ増。成長分もあるが、次を意識した仕上げだったのだろう。テイエムオーシャンは秋華賞で2キロ増。エリザベス女王杯は5着に敗れている。オークスと秋華賞はハイペースで地力勝負だっただけに今回はスローの上がり勝負になったときが課題。相馬眼的に評価できる馬。力は古馬相手でも通用する。

スイープトウショウは休み明けの京都大賞典を快勝し、続く天皇賞(秋)は1番人気で5着に敗れた。直線で大外から伸びてきたが、この馬本来の末脚ではなかった。当日は馬体が大きく減って12キロ減。いつもならひと叩きすると良くなる馬だが、今回はパドックで馬体がギリギリに映り上積みがなかった。骨折休養明けの京都大賞典で激走した反動が出たのだろう。少し湿った馬場で平均的な流れになったことも良くなかったか。今回は中1週でどこまで馬体が戻り、気配が上向いてくるかが鍵。京都は[6-0-0-2]で勝率75%。昨年は上がり3F33.2秒で豪快に差し切っている。

ディアデラノビアはマイラーズC、ヴィクトリアM、オールカマー、府中牝馬Sと4戦連続3着。距離、メンバーを問わず、差して届かないレースが続いている。前走の府中牝馬Sは大外からメンバー最速の33.3秒で伸びたが、直線で前が詰まって仕掛けが遅れたことが響いた。1番人気でマークされたのも応えたのだろう。北村宏騎手はテン乗りだった。賞金を加算できずにエリザベス女王杯出走が危ぶまれたが、ギリギリで出走に漕ぎ着けた。メルボルンCを勝った岩田騎手&角居厩舎で人気を集めそうだ。相馬眼的に評価できる馬。この秋は馬体が充実ぶりが目立つ。オールカマーでは正攻法の競馬でスウィフトカレントに先着した。

アサヒライジングは秋華賞2着。前と離れた好位の内々で流れに乗ってタイミング良く抜け出したが、最後に差されて半馬身差の2着。カワカミプリンセスの本田騎手が強気な競馬をしなければ勝っていたかもしれない。古賀慎厩舎に転厩して馬体の作り、雰囲気が変わったが、この秋も充実している。それほど切れる脚はないので、オースミハルカのような競馬が理想か。アドマイヤキッスは秋華賞4着。オークスで先着された3頭を負かすことができなかった。トライアルは強いが本番に弱い。3冠は全て1番人気に支持されて2、4、4着。このパターンでアドマイヤグルーヴ(武豊騎手)はエリザベス女王杯を制した。これに続けるか。

秋華賞3着のフサイチパンドラ、同6着のキストゥヘヴン、府中牝馬S2着のサンレイジャスパーあたりが人気面で続きそう。フサイチパンドラはオークス2着、ローズS3着、秋華賞3着とムラな面がなくなってきた。追ってそれほど切れる脚はないが、ハイペースの消耗戦で好走しているように地力はある。キストゥヘヴンは、秋華賞は1枠1番で流れに乗れなかったことが応えた。今回は外回りに替わるのはプラスだが、距離延長で折り合い面の課題もある。サンレイジャスパーは今年12戦目。高橋成厩舎で鍛えられた馬は本当にタフ。地力は着実に強化されている。00年以降は5番人気以内での決着。今年は穴馬はいないのか。

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