ジャパンC
レース展望

81年に創設され、今年で第26回を迎える日本最大の国際レース。今年は過去最低の11頭で外国馬はわずか2頭。ブリーダーズCから中2週でジャパンCの2週後に香港国際競走があるという日程、世界的に知名度がありレーティングが高いディープインパクトとハーツクライの出走など、外国馬が参戦を手控える要因が揃っているだけに仕方ないところか。ただしディープインパクト、ハーツクライ、ウィジャボードのレーティングは高く近年最強レベル。2冠馬メイショウサムソン、3冠で2、3、2着のドリームパスポート、エリザベス女王杯を勝ったフサイチパンドラと3歳馬も揃った。少頭数でもかなりレベルの高いレースになりそうだ。

過去10年で1番人気は[2-1-6-1]で3連対。日本馬は[2-1-5-0]で全馬3着以内を確保しているが3着が多い。勝ったのは4歳馬のテイエムオペラオーとゼンノロブロイ。2番人気は[2-4-1-3]で6連対、3番人気は[3-0-0-7]で3連対。2番人気は1番人気より連対が多い。00年以降、中山で行われた02年を除く5年は5番人気以内で決着しており最近は人気馬が堅実。馬連は10倍台までか50倍以上か両極端。1番人気が崩れると上位人気馬同士でも中穴になる。日本馬は東京芝コースのG1で実績のある馬が好走することが非常に多い。外国馬は日本の高速馬場に対応できるかが鍵。

ディープインパクトは凱旋門賞3着も禁止薬物が検出され失格となった。ただしレースではディープインパクトより斤量が軽かったとはいえ、レイルリンクとプライドに差されたのは事実。小柄な馬に斤量59.5キロ、いつもとは違う前に行く競馬、日本とは違う馬場、休み明けで初めての海外での競馬など敗因は色々と考えられるが、直線で飛ばなかった。遠征先でノドの治療をしていたようだが、その影響があったのか。今回はダービーを5馬身差で楽勝した東京芝2400mで真価が問われることになりそうだ。有馬記念で負けたハーツクライに再度負ける訳にはいかないだろう。

凱旋門賞を失格になり、陣営は絶対に負けられないという気持ちで臨んできている。武豊騎手を乗せて2週連続でハードに追い切ったところに陣営の意気込みを感じさせた。1991年の天皇賞(秋)で1位入線もスタート後の斜行で18着に降着になったメジロマックイーンは武豊騎手と池江郎厩舎のコンビ。絶対に負けられない気持ちで臨んだジャパンCは単勝1.9倍の1番人気に支持されたが4着に終わった。今回は凱旋門賞と同じように少頭数だが、武豊騎手は本来の後ろからの競馬をするのだろう。展開が少し気になるが、ダービーのように弾ければ結果は出るはずだ。

ハーツクライはジャパンC2着、有馬記念1着、ドバイシーマクラシック1着、キングジョージ3着とハイレベルなレースを続けている。以前は追い込みタイプだったが、有馬記念で脚質を転換してディープインパクトを完封するとドバイシーマクラシックではハナを切って楽々と逃げ切った。キングジョージは3着に敗れたが、早仕掛けで先頭に立つのが早過ぎた感もある。昨年のジャパンCは直線で1頭分の狭いスペースをこじ開けてきたルメール騎手の騎乗が印象的。ダービー&ジャパンC2着馬で東京芝2400mは能力を発揮できる舞台。ノド鳴りの影響は未知数だが、出走する以上は負けてもそれを言い訳にしてはいけない。

ウィジャボードは今年G1を3勝し、一昨年に続き2度目の欧州年度代表馬に選ばれた。プリンスオブウェールズSではエレクトロキューショニスト(キングジョージ2着)を負かしている。昨年のジャパンCは5着も春全休して前走2着と調子が上がってきた途中での出走で続く香港ヴァーズは楽勝している。昨年は中団から馬群を縫って進出したが、結果的に動くのが早過ぎた印象。勝ったアルカセット(デットーリ騎手)はウィジャボードの直後につけて作ってくれた道をスムーズに捌いてきた。完調ではなく早仕掛けで勝ち馬と0.3秒差。今年はジャパンC[3-0-2-2]のデットーリ騎手が騎乗する。これは大きなプラス。

菊花賞は高速馬場と重め残りで4着に敗れたが、2冠を制した輝きはまだ色褪せていないメイショウサムソン、芝1200〜3000mまでどんな距離でも[3-5-3-0]と全て3着以内を確保しているドリームパスポート、夏から急激に力をつけて天皇賞(秋)でダイワメジャーに半馬身差まで迫ったスウィフトカレント、今年シンガポールG1を制し、この秋は折り合って差す競馬ができるようになった一昨年の2着馬コスモバルク、オークス2着、秋華賞3着、エリザベス女王杯繰り上がり1着と牝馬戦線で上位争いしてきたフサイチパンドラあたりが人気面で続きそう。上位の壁は厚いが割れる馬はいないのか。今年も相馬眼で攻める。

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