有馬記念
レース展望(2)

中山芝2500mはスタートしてすぐに大歓声が起きるスタンド前に向かうため、そこで折り合えるかどうかがひとつのポイント。03年にアクティブバイオとザッツザプレンティが掛かったように折り合いを欠くと苦しくなる。大歓声に動じない精神面の強さが求められる。内回りコースでペースは上がりにくいが、有馬記念の連対馬は芝2000mをこなすスピードのある馬が多い。シンボリクリスエスは天皇賞(秋)、タップダンスシチーは朝日CCをレコード勝ちしている。距離2500mをこなすスタミナも必要だが、スピードも問われることも考慮したい。あとは底力。タフなレースになればなるほど底力が利いてくる。

ダイワメジャーは毎日王冠、天皇賞(秋)、マイルCSで連勝し、ファン投票で2位に選ばれた。これまで不振に終わっていた東京コースでG1制覇。パドックでは落ち着いていたし、馬体も昨年よりシャープで全体的にしっかりしている。ノド鳴りを克服して完全に本格化したようだ。今回は距離、内めの枠、同型が多いことが課題。距離はコーナーの多い中山内回りならこなせないか。中山芝は[2-2-1-1]でノド鳴りの影響が出たオールカマーを除き3着以内を確保している。相当なスピードの持続力があるので、アンカツがそれをどう生かすかだろう。アンカツの頭脳と腕に賭けてみる手はある。

ドリームパスポートはこれまで12戦して[3-6-3-0]で複勝率100%。2戦連続で同じ騎手が乗ったことがなく、距離は1200mから3000mまでこなしている。G1は皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞2着、ジャパンC2着で前残りの展開&馬場になったダービー以外は連対を確保。母グレースランドはステイゴールドの半妹。芯が強く末脚が切れる一族の特徴をしっかりと受け継いでいるようだ。いい脚を長く使えるが、切れるのは一瞬。そのため、直線で一旦先頭に立った後はことごとく差されている。この秋は以前のように終い一辺倒でない。鞍上は内田博騎手。好枠と末脚を生かしたい。

メイショウサムソンは皐月賞、ダービーを制した2冠馬。神戸新聞杯は1コーナーで掛かって自滅、菊花賞は京都が稀にみる高速馬場、ジャパンCはスローの上がり勝負で持ち味を生かせなかった。ここ3戦はそれなりに敗因はあるが、馬体が絞り切れなかった影響もあるのだろう。中山は2戦2勝で距離2500mも守備範囲。今回、石橋守騎手は強気な競馬をしてきそうだ。デルタブルースは芝3200mのメルボルンCを制覇。抜群のスタミナで菊花賞に続き長距離G1を制した。有馬記念は3歳時にゼンノロブロイと0.5秒差の5着がある。この馬も前につけて押し切るタイプ。今年の有馬記念は前につける馬が多い。

あとはG1-3勝の実績馬スイープトウショウ、秋のG1で善戦しているコスモバルク、メルボルンC2着のポップロック、AR共和国杯を勝ったトウショウナイトあたりが人気面で続きそう。スイープトウショウはガニ股走法で器用さがなく、中山内回りは不向きに映るが、昨年のハーツクライも同じようなイメージだった。天皇賞(秋)は大幅馬体減、エリザベス女王杯は中1週で馬体を戻し、レースでは終始外を回るロスがあった。昨年の宝塚記念で牡馬の一線級を負かしたように地力はある。池添騎手はディープインパクトを負かして悪者になってもいいと強気。京都大賞典では内から鋭く捌いてきた。斤量は秋華賞以来の55キロ。

コスモバルクは、ジャパンCは10キロ増で重め残り。陣営は馬体を絞ろうと必死だが、馬の元気を損なわずにどこまで絞り込んでくるか。中山芝は[2-2-0-4]で重賞4連対。昨年は勝ち馬と0.5秒差の4着だった。不振に陥っていた昨年より調子は良さそう。ポップロックは、メルボルンCではデルタブルースより斤量が3キロ軽かった。今回は同斤になるが、芝2500mは[3-0-2-0]の得意距離。ペリエ騎手は有馬記念で[3-0-1-2]。勝ち方をよく知っている。トウショウナイトはジャパンCを見送ってここに備えた。中山芝2500mは[2-1-0-1]で日経賞2着がある。メンバーはかなり強くなるが、コース適性を生かしたい。

中山は今週もAコースで行われる。馬場は内側が徐々に荒れてきているが、先週のフェアリーSは内を突いたアポロティアラが勝ち、最終Rは内ラチを通ったシャドウゲイトが7馬身差で逃げ切った。昨年は内側の洋芝が剥げると内を通った馬が有利になったが、最終週で馬場がさらに荒れてくるとどうなるのだろう。秋の東京は昨年とは傾向が違っていた。まずは土曜の競馬をよく確認したい。アドマイヤメインが逃げそうだが、ダイワメジャー、コスモバルク、デルタブルース、メイショウサムソン、トウショウナイトと前に行く馬が揃っている。ディープの出方を含め、展開も鍵になりそうだ。最後は相馬眼で鋭く斬りたい。

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