天皇賞(春)
ﾚｰｽ展望
最強ｽﾃｲﾔｰ決定戦｡ﾃﾞｰﾀは競馬大予言の重賞ﾃﾞｰﾀ一本釣りを参照｡京都の長距離G1は以前は堅い決着が多かったが､最近はかなり荒れている｡最近5年の天皇賞(春)の馬連は5.4倍､164.9倍､366.8倍､850.2倍､3.8倍で万馬券が3回､菊花賞は960.7倍､55.4倍､112.8倍､12.9倍､64.8倍で万馬券が2回､馬単は4回が万馬券｡菊花賞が堅く収まったのはﾃﾞｨｰﾌﾟｲﾝﾊﾟｸﾄが勝った05年のみ｡天皇賞(春)は菊花賞馬ﾏﾝﾊｯﾀﾝｶﾌｪとﾃﾞｨｰﾌﾟﾝﾊﾟｸﾄが勝った02年と昨年のみ｡昨年はﾃﾞｨｰﾌﾟｲﾝﾊﾟｸﾄが勝ち､2着に2番人気のﾘﾝｶｰﾝが入ったが､3着には8番人気のｽﾄﾗﾀｼﾞｪﾑが突っ込んでいる｡

今年の天皇賞(春)はどうなるのだろう｡G1馬は昨年の2冠馬ﾒｲｼｮｳｻﾑｿﾝと04年の菊花賞馬ﾃﾞﾙﾀﾌﾞﾙｰｽの2頭｡G1で2着があるのは､02年菊花賞2着馬ﾌｧｽﾄﾀﾃﾔﾏしかいない｡ﾒｲｼｮｳｻﾑｿﾝは菊花賞で4着に敗れ3冠を逃し､ﾃﾞﾙﾀﾌﾞﾙｰｽは菊花賞を勝った後の国内G1は[0-0-1-4]｡ただし昨年芝3200mのﾒﾙﾎﾞﾙﾝC(豪G1)を勝っている｡ﾌｧｽﾄﾀﾃﾔﾏは菊花賞2着後のG1は[0-0-0-8]｡昨年の1､2着馬は引退､昨年の菊花賞馬ｿﾝｸﾞｵﾌﾞｳｲﾝﾄﾞは脚部不安で引退､菊花賞2着馬で阪神大賞典で1番人気に支持されたﾄﾞﾘｰﾑﾊﾟｽﾎﾟｰﾄは骨折､昨年の有馬記念2着馬ﾎﾟｯﾌﾟﾛｯｸはﾄﾞﾊﾞｲを選んだ｡

もう少しまとめると今年は一昨年の菊花賞に出走した馬､昨年の天皇賞(春)1〜3着馬､昨年の菊花賞1〜3着馬､昨年の有馬記念1〜4着馬､今年の阪神大賞典で単勝1.6倍の断然人気だった馬の出走がない｡人気になるのは菊花賞とﾒﾙﾎﾞﾙﾝC勝ちのあるﾃﾞﾙﾀﾌﾞﾙｰｽ､昨年の菊花賞4着馬ﾒｲｼｮｳｻﾑｿﾝ､前2年の天皇賞(春)3､4着のｱｲﾎﾟｯﾊﾟｰ｡これに日経賞を勝ったﾈｳﾞｧﾌﾞｼｮﾝ､一昨年の天皇賞(春)4着のﾄｳｼｮｳﾅｲﾄ､昨年の天皇賞(春)9着も長距離実績あるﾄｳｶｲﾄﾘｯｸ､AJCCを圧勝したﾏﾂﾘﾀﾞｺﾞｯﾎあたりが続く｡人気馬の信頼度はいかほどか｡今年は高速馬場と展開がｶｷﾞになる｡

相馬眼的に評価できる馬を敢えて1頭挙げれば､日経賞で重賞初制覇をしたﾈｳﾞｧﾌﾞｼｮﾝ｡3歳時は京成杯3着､山吹賞4着など後方から追い込んで届かないﾚｰｽをしていたが､年明けの迎春Sで馬体､気配が一変していた｡ﾚｰｽは緩急のあるﾗｯﾌﾟでかなりの底力が問われたが､ﾚｰｽのﾗｽﾄ3Fは12.3-12.1-12.2秒で最後までﾗｯﾌﾟが落ちなかった｡勝ちﾀｲﾑ2分32秒6は有馬記念5着に相当するﾀｲﾑ｡2着に5馬身差をつける圧勝だった｡1.1秒差をつけたｱｸｼｵﾝは菊花賞5着馬で4着のﾒｲｼｮｳｻﾑｿﾝとは半馬身差｡それ自体に価値があるとは思わないが､ﾈｳﾞｧﾌﾞｼｮﾝの本格化を感させた｡

白富士Sは東京芝2000mで高速馬場に対応できるかどうかが課題だったが､後方から馬群を割って抜け出し1分58秒3の好ﾀｲﾑで快勝｡これがあのﾈｳﾞｧﾌﾞｼｮﾝなのかと目を疑った人も多かったのではないか｡日経賞は後方からﾒﾝﾊﾞｰ最速ﾀｲの35.6秒で上がって差し切り勝ち｡直線入り口でﾏﾂﾘﾀﾞｺﾞｯﾎとの差がかなりあり､北村宏騎手の手綱が激しく動いた時点でかなり厳しく映ったが､そこからしぶとく伸びて差し切ったのだから強い｡G1級の底力がないとできない勝ち方｡道中13秒台がない緩みのない流れで勝ちﾀｲﾑは有馬記念のﾃﾞｨｰﾌﾟｲﾝﾊﾟｸﾄを0.1秒上回った｡

2着ﾄｳｼｮｳﾅｲﾄより2ｷﾛ､3着ﾏﾂﾘﾀﾞｺﾞｯﾎより1ｷﾛ軽い56ｷﾛが有利だったのは確かだが､それだけではない勝ち方だった｡昨年の菊花賞は後方から追い込んで10着に敗れたが､4ｺｰﾅｰから直線で狭いところに入って追い出しが遅れたもの｡母の父ﾐﾙﾘｰﾌで長距離をこなすｽﾀﾐﾅは備えている｡父ﾏｰﾍﾞﾗｽｻﾝﾃﾞｰは6連勝で天皇賞(秋)に挑み4着､翌年の天皇賞(春)はﾏﾔﾉﾄｯﾌﾟｶﾞﾝ､ｻｸﾗﾛｰﾚﾙに次ぐ3着｡ﾏｰﾍﾞﾗｽｻﾝﾃﾞｰ産駒のｼﾙｸﾌｪｲﾏｽは5連勝で天皇賞(春)に挑み3着｡ﾈｳﾞｧﾌﾞｼｮﾝはここまで3連勝｡勝つと止まらないところを受け継いでいるが､G1の大きな壁を突破できるか｡

日経賞では馬体が10ｷﾛ減ったが､伊藤正厩舎はこの中間､馬体の維持に努めている｡これまで勝負懸かりのﾚｰｽで強い調教をやり過ぎるきらいがあったが今回は違う｡最終調教は少し時計が早過ぎたが､最後は余力を残していた｡これで輸送して馬体を保てればひとつの関門を突破｡北村宏騎手は京都芝[2-0-2-18]で連対率9.1%｡京都芝3000m以上は今回が初めて｡全場の芝3000m以上では[0-0-1-12]｡京都､長距離実績とも乏しいが､ﾈｳﾞｧﾌﾞｼｮﾝとは好相性｡今年2月12日に結婚してから重賞で4番人気以内に支持されると[2-0-2-0]で複勝率100%｡人気に応えている｡
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