NHKマイルC
レース展望
3歳マイル王決定戦。過去10年で1番人気は[4-0-2-4]で4連対だが、前走重賞勝ち馬は[4-0-0-0]、重賞2着以下は[0-0-2-4]で連対は全て前走重賞勝ち馬。今年の前走重賞勝ち馬はトーホウレーサーだが、1番人気にはなりそうにない。データから今年の1番人気は過信禁物か。武豊騎手は1番人気で[2-0-2-3]と不振だが、今年はダノンムローなら1番人気にはならない。過去に1番人気で勝ったシーキングザパール、エルコンドルパサー、クロフネ、キングカメハメハは、その後もG1を制している。大物が出走する年とそうでない年とでレベルの差が大きいレース。今年の1番人気は果たしてどの馬か。
皐月賞からは6着ローレルゲレイロ、7着アサクサキングス、10着マイネルシーガルが出走する。ローレルゲレイロは皐月賞で初めて3着以内を外したが、しぶとく伸びて勝ち馬と0.3秒差。大きくは負けていない。デイリー杯2歳Sでオースミダイドウに負けたが、それ以降は今回のメンバーに先着を許していない。相手なりに堅実に走るので、ここでも大崩れはなさそう。藤田騎手で内枠に入ると怖い。アサクサキングスは東京2戦2勝。百日草特別の1分47秒5、上がり3F34.5秒は優秀で2着のサンツェッペリンは皐月賞で2着に激走した。スタートを決めて前につけるといい脚を長く使う。ただ激流に飲まれる可能性もある。
マイネルシーガルは東京2戦2勝、マイル3戦2勝と距離が長かった皐月賞から条件が好転する。ジュニアCでは57キロを背負ってスズカコーズウェイを差し切り、スプリングSでは2着に好走した。スズカコーズウェイはニュージーランドT4着、スプリングS組は皐月賞で不振に終わったことを考えると力が足りるか微妙なところ。ただ新馬戦の勝ちっぷりは良かった。ニュージーランドTからは勝ったトーホウレーサーを筆頭に7頭が出走。中山マイルと東京マイルは全くコースが違うため関連性は高くはないが、昨年は3、2着馬がワンツーを決めている。トーホウレーサーは好位から押し切る好内容だったが、果たしてどうだろう。
骨折休養明けでの参戦は、オースミダイドウとゴールドアグリ。オースミダイドウは気性的に久々は苦にしないタイプ。デイリー杯2歳Sでローレルゲレイロに先着し、朝日杯FSではレース中に骨折しながらしぶとく伸びて3着に踏ん張った。骨折明けでG1というのは厳しいが、調教は動いている。ゴールドアグリは左回りのマイルはベスト。アンカツからアンミツに乗り替わるが、情報交換はバッチリか。05年は牝馬2頭で決着したが、今年はイクスキューズとピンクカメオが出走する。イクスキューズは中1週が続くが、クイーンSを勝ったように東京マイルは合う。ピンクカメオは関東圏では連対率100%。内田博騎手が持ってくるか。
そろそろ本題に入る。相馬眼的に注目したいのは、ダイレクトキャッチとシャドウストライプ。ダイレクトキャッチは新馬戦で後方から上がり3Fメンバー最速の33.4秒で大外一気を決めた。この上がりは1990年以降の東京芝1600m以上の新馬戦で最速タイのタイム。もう一頭はココナッツパンチ。2戦目の弥生賞でアドマイヤオーラとクビ差2着に激走した。ダイレクトキャッチはホープフルS6着、京成杯5着と中山では不振に終わったが、東京の共同通信杯では大外から伸びてフサイチホウオーにクビ差の2着。上がり3F34.0秒はフサイチホウオーを0.2秒上回るメンバー最速タイム。手前の関係で東京と中山では全く走りが違う。
02年のスプリングSはタニノギムレットが勝ち、テレグノシスが2着。今年は共同通信杯をフサイチホウオーが勝ち、ダイレクトキャッチが2着。この2つのレースはいずれも芝1800mで着差はクビ。タニノギムレットとフサイチホウオーは皐月賞で追い込んで3着に敗れている。どちらも松田国厩舎の管理馬でフサイチホウオーもダービーで1番人気が濃厚。スプリングSで2着に敗れたテレグノシスはNHKマイルCを制した。タニノギムレットとフサイチホウオーをニアイコールと見立てれば、今回ダイレクトキャッチの激走があるのではないか。テレグノシスとダイレクトキャッチは東京で最大パフォーマンスを発揮するタイプ。フサイチホウオーと接戦したドリームジャーニー、ヴィクトリーはG1を制している。
ただしダイレクトキャッチは現時点ではまだ馬体に芯が入り切っていない印象がある。そこがG1でどうなのか。北村宏騎手は先週不振だったが、東京マイルでの我慢を知っている。届く位置につけて末脚を爆発させたい。シャドウストライプはまだ相馬眼的に高評価できるレベルにはないが、これから馬体がパンとすれば変わる。腰が緩くスタートは遅いが、心肺機能が高くいい脚を長く使える。ニュージーランドTは6着に敗れたが、初芝であくまで試走。芝2戦目で広い東京なら変わり身が見込める。サイレントディールと同じような脚捌きで本質的にはダート向き。雨で馬場が渋ると有利になる。
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