オークス
レース展望

牝馬クラシック第2弾。桜花賞はダイワスカーレット、ウオッカで決着したが、ダイワスカーレットは感冒のため回避し、ウオッカはダービーに向かう。強い2頭が出走しない今年のオークス。一気に興味が殺がれた感じだが、馬券的にはより波乱度が増して面白くなったか。重賞勝ち馬はNHKマイルCのピンクカメオとフローラSのベッラレイアのわずか2頭のみ。例年のオークスと比べてレベルがどうなのかが気になるところだが、ベッラレイアの強烈な末脚は競馬場に見に行く価値がある。馬名のベッラレイアとはイタリア語の美しい(ベッラ)とギリシア神話の大地の女神(レイア)を組み合わせたもの。華麗なる舞を期待したい。

過去10年で1番人気は[2-1-2-5]で3連対。最近5年で連対はシーザリオ(1着)のみ。アドマイヤグルーヴ、ダンスイザムードが馬群に沈んでいる。勝った2頭は上がり3Fメンバー最速だった。1番人気で勝つには末脚の切れ味が必要。2番人気は[2-2-1-5]で4連対、3番人気は[1-0-2-7]で1連対のみ。馬連は10倍以下は1回しかなく、最近5年で万馬券が3回とかなり荒れている。桜花賞で差して届かず3〜7着に負けた馬が直線の長い東京に替わって巻き返すケースが目立つ。6番人気以下で連対した6頭は全て440キロ以下の小柄な馬だった。穴で小柄な馬の激走に注意。

ベッラレイアはクイーンC、アーリントC、フローラCを除外され、桜花賞に出走できなかったが、あざみ賞とフローラSを連勝してオークスの舞台に辿り着いた。アーリントンCを除外されたことで距離2200mのすみれSを使い、フローラSを除外されたことで左回りのあざみ賞を使った。この2つの経験が左回り2000mのフローラSに生かせたのだろう。直線で前が壁になって追い出しが遅れ、ラスト1Fでイクスキューズとは絶望的とも思える差があったが、エンジンが点火すると一気に伸びてきっちり差し切った。上がり3Fはメンバー最速の34.3秒。スムーズなら33秒台の末脚を繰り出していた可能性が高い。

ダイワスカーレットの回避で1番人気は確実。死角はないのだろうか。まずはデビュー以来ずっと馬体が減り続けていること。今回は中3週で再度長距離輸送がある。フローラSのパドックでは馬体が4キロ減って少し細身に映った。陣営は馬体の維持に細心の注意を払っているが、当日の馬体重と気配には要注意。あとは追い込みタイプが1番人気になること。競馬は人気馬に有利にならない流れになることが多い。オークスは各馬経験のない距離2400mで流れは落ち着く傾向。秋山騎手が今までのスタイルを崩さなければ、直線でハラハラ、ドキドキすることになりそうだ。

ミンティエアーはキャリア2戦で臨んだフローラSで2着に入り、オークスの優先出走権を確保。後方から直線で馬群を割って伸びると最後はベッラレイアとの叩き合いに敗れてクビ差の惜しい2着。上がり3Fはメンバー2位の34.4秒。ベッラレイアの追い出しが遅れたとはいえ、ベッラレイアと0.1秒差の上がりは優秀。キャリア2戦でこの競馬ができるのだから末恐ろしい馬。蛯名騎手は手応えを掴んだのではないか。勢司厩舎はスマイルトゥモローでオークスを制しており、オークスに向けての仕上げ方を心得ている。ベッラレイアが外を回せば、蛯名騎手の腕で一発の可能性はある。当日の馬体の良化具合いに注目。

桜花賞3着のカタマチボタン、NHKマイルCを勝ったピンクカメオ、忘れな草賞を勝ったザレマ、忘れな草賞とスイートピーSで2着のラブカーナあたりが人気面で続きそう。カタマチボタンはこれまでずっと芝1600mを使われている。父はダンスインザダークだが、母タヤスブルームは短距離馬だった。地力と東京コースの適性で距離をこなせれば。藤田騎手は今年の重賞[2-2-3-6]で複勝率53.8%、G1は[0-1-2-1]で複勝率75%の好成績。ピンクカメオはNHKマイルCから変則2冠に挑戦する。中1週で距離2400mは厳しい条件だが、牡馬に勝った底力で何とかするか。今回はテン乗りの四位騎手に乗り替わる。

ザレマはデビュー以来[2-2-1-1]と堅実。あざみ賞ではベッラレイアに0.5秒差をつけられたが、忘れな草賞では好位から抜け出して2馬身差で快勝。今回は武豊騎手に乗り替わる。武豊騎手はダービー出走予定のアドマイヤオーラから下ろされたと自身の日記で公開。今年は1番人気で勝率27.0%。昨年の同時期は38.7%だった。5月も冴えない騎乗が続いているが、そろそろ尻に火がつくか。ラブカーナは地味な馬だが、相手なりに走るタイプでここ2戦はしぶとく伸びている。430キロの小柄な馬。先週のヴィクトリアMは「コイ」ウタが勝ち、3着にデアリング「ハート」。この流れから「ラブ」カーナはどうか。

穴でローブデコルテは狙えないか。桜花賞は出遅れて後方を進み、直線で内を突いてその後外に持ち出すなどフラフラしたことが響いて4着。3着とはハナ差。そのまま内を走っていれば楽に3着だったか。切れる脚を使えなかった馬がメンバー最速タイの33.5秒で上がったことを評価したい。血統的に距離は微妙だが、福永騎手は「距離が延びても十分に対応できる」とコメント。福永騎手は過去3年のオークスで1、1、2着だけにこのコメントは信頼できそう。2戦目のコスモス賞では後方から捲くってナムラマースの2着。心肺機能の高い走りを見せた。東京は今週からCコースに変更される。まずは土曜の競馬をよくチェックしたい。

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