安田記念
レース展望

春の東京G1のフィナーレを飾る安田記念。過去10年で1番人気は[2-1-1-6]で3連対。単勝2.3倍以下は[2-1-0-0]、2.9倍以上は[0-0-1-6]で断然人気になる馬は崩れていない。最近7年の1番人気は全て単勝2.9倍以上でうち5頭が単勝4倍以上。1番人気は不振だが、押し出されて1番人気になった馬が多かったという事実もある。2番人気は[0-1-0-9]、3番人気は[1-0-3-6]で各1連対。過去10年で3番人気以内での決着は1回もない。馬連は最近7年で万馬券が5回とかなり荒れている。古馬G1で連対のない馬、牝馬、外国馬が1番人気になると波乱になる傾向がある。

関東馬[5-4-4-62]で連対率12%、関西馬[3-4-4-69]で連対馬9%、外国馬[2-2-2-14]で連対率20%。関東馬は9連対と多いが、00年以降、3番人気以内の関東馬は[0-0-1-12]と不振が続いている。人気の関東馬は過信禁物。外国馬は香港馬が05年3着、昨年1着、3着と活躍している。昨年は8番人気のジョイフルウイナーが3着に入り穴をあけたようにマイル実績が乏しくても激走するので注意。春の東京開催の使用コースは05年A→A→A→A→C→C→A、06年A→A→A→A→C→C→B、07年A→A→A→A→C→C→C。今年は仮柵が内に移動せず、Cコースのまま行われる。そこも考慮したい。

スズカフェニックスは高松宮記念でG1初制覇。昨年5月に復帰してから着実に力をつけ、遂にG1の栄冠を手にした。中京芝1200mの高松宮記念は流れが緩むとマイラータイプの差し馬が活躍する傾向があり、それがズバリ嵌った形だが、G1で2馬身半差は能力の違いを示すもの。展開が嵌っただけではない。以前から相馬眼的に評価できると言い続けてきた馬が、ようやく本格化。東京マイルは[1-1-2-0]で複勝率100%。東京新聞杯では上がり3Fメンバー最速タイの33.3秒で大外一気。インパクトのある勝ち方だった。高松宮記念を勝ったが、春の目標は最初から安田記念に置いている。

東京新聞杯は大外一気を決めたが、2着のエアシェイディより1キロ軽い56キロで上がり3Fもエアシェイディと同じだった。今回はこれまでに経験のない58キロを背負って、東京新聞杯とは違うメンバー。勝ち時計1分32秒7は早いが、G1は時計には表れない厳しさがある。スズカフェニックスは高松宮記念を勝ったように東京新聞杯当時よりパフォーマンスを引き上げているが、今回のメンバーでは更なるパフォーマンスアップが求められる。名人・橋田調教師の腕でどのレベルまで引き上げてくるか。そこが大きなポイント。G1で4勝を挙げているダイワメジャーの壁は厚いが、更なるパフォーマンスアップがあれば逆転は可能。

武豊騎手は先週の調教で最近にはなく背筋の伸びが良く、フォームのブレがなくなっていた。土曜は金鯱賞・スウィフトカレントで2着、日曜は目黒記念・ポップロック1着と徐々に復調気配。スズカフェニックスとは[5-2-2-2]で複勝率81.8%の好相性。まずは土曜のユニコーンSで勢いに乗りたい。スズカフェニックスは2000mもこなすので、安田記念を勝てば天皇賞(秋)でG1-3連勝を目指す。1998年の天皇賞(秋)で競走を中止したサイレンススズカ。あれから9年。武豊騎手、橋田厩舎、永井氏のコンビがサイレンススズカとは全く違う脚質の馬で天皇賞(秋)に挑むことになる。スズカの夢はまだ始まったばかりだ。

ダイワメジャーは昨年天皇賞(秋)とマイルCSを制した。2500mの有馬記念で3着と崩れなかったように確かな地力がある。ドバイデューティーフリーはスローの上がり勝負でアドマイヤムーンに負けたが、3着は死守した。馬は完全に本格化しており、どんな競馬でも崩れなくなっている。過去2年の安田記念は8着、4着に敗れているが、昨秋に東京を克服した今年なら何とかするか。ただしの昨秋の東京2戦は8枠16番、7枠14番だったのに対し、過去2年の安田記念は2枠3番、1枠1番と内枠だった。そこをどう考えるか。アンカツとは[4-0-2-1]の好相性。アンカツは先週の雪辱を果たしたいところ。

日本馬ではマイラーズCをレコード勝ちしたコンゴウリキシオー、京王杯SCをレコード勝ちしたエイシンドーバーが人気面で続きそう。コンゴウリキシオーは2走前の中京記念では激しい先行争いで1600m通過が1分33秒0。最後は失速したが、この通過タイムが陣営に産経大阪杯ではなく、マイラーズCを選択させたのだろう。マイラーズCのラスト3Fは11.4-10.7-11.9秒でラスト2F目にガツンと伸びたところは見逃せない。しかも右前を落鉄していたようだ。昨年春に復帰して中山、新潟、中京、福島、小倉、阪神を回り、巡業は完了。ディープインパクトが勝った新馬戦で2着だった馬。ダイワメジャーとの真っ向勝負を期待したい。

エイシンドーバーは昨年暮れのゴールデンホイップTを勝った後、重賞で[2-2-0-1]で重めが残っていたマイラーズCで7着に敗れた以外は連対を確保。スパッとは切れないが、ジリジリと伸びてくるタイプでいい脚を長く使える。どちらかというと寒い時期に走るタイプだが、前走の京王杯SCは転厩2戦目で仕上げた甲斐があって調子を上げていた。今回はさらにメンバーが強くなるので、持ち前のしぶとさでどこまで踏ん張れるかだろう。牝馬はヴィクトリアMからキストゥヘヴン、ジョリーダンス、ディアデラノビア、アドマイヤキッスが出走する。この中ではメンバー最速の32.9秒で5着に追い込んだジョリーダンスが人気か。

先週のダービーをウオッカで制した角居厩舎はディアデラノビアを出走させる。ディアデラノビアは相馬眼的に評価してきた馬。京都牝馬Sを5馬身差で圧勝した後は、阪神牝馬S3着、ヴィクトリアM6着に敗れた。阪神牝馬Sは休み明けで2キロ増、ヴィクトリアMは中4週で8キロ増。直線で弾けなかったのは、太めが残っていた可能性がある。昨年暮れには香港カップに出走し8着。わざわざ海外に遠征して一線級の牡馬、それも2000mに挑んだのはなぜか。先週の東京は上がりの早い高速馬場だった。香港勢はエイブルワン、グッドババ、ザデューク、ジョイフルウィナーの4頭が出走する。今年も取捨がポイントになる。

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