秋華賞
レース展望

3歳牝馬3冠の最終戦。過去10年で1番人気は[3-2-1-4]で5連対。連対した5頭のうち3頭は桜花賞連対馬。逆に連対を外した5頭のうち3頭はオークス連対馬で桜花賞では連対していなかった。今年の1番人気はダービー馬で桜花賞2着のウオッカか、それとも桜花賞馬ダイワスカーレットか。2番人気は[5-2-1-2]で7連対、3番人気は[0-1-1-8]で2連対。2番人気は1番人気より堅実で現在4連勝中。以前は波乱の多いレースだったが、最近6年は1、2番人気のどちらかが必ず連対しており、連対馬は全て5番人気以内。馬連は6年のうち4年が10倍以下で荒れても20倍台までに収まっている。

最近は5番人気以内で堅く収まる傾向だが、1番人気が乱ペースに巻き込まれて直線で失速し、人気薄追い込み馬が突っ込んでくるのが秋華賞の波乱パターン。最近は乱ペースになりにくいが、京都の内回りコースは直線が短く前に行った馬が有利なため、騎手心理が微妙に働くと前崩れになる。追い込んで連対した8頭のうち7頭が前走の上がり3Fがメンバー1位または2位だった。今年はダイワスカーレットが前に行き、ウオッカがダイワスカーレットをマークする展開が予想されるが、アルコセニューラ、ラブカーナあたりが早めに動くと乱ペースになる可能性がなきにしもあらず。末脚の切れる馬に注意したい。

ウオッカは1943年クリフジ以来64年ぶりの牝馬のダービー馬。直線で馬群を割って一気に伸びると2着に3馬身差をつける圧勝劇。上がり3Fはメンバー最速の33.0秒。これは05年のダービーを制したディープインパクトを0.4秒上回っている。ウオッカが勝ったエルフィンSはハイレベル。1986年以降、3歳の5月までの芝1600mでラスト6F69.9秒以内、2F目から最後まで11秒台のラップが続いたレースを勝った馬は1996年チューリップ賞・エアグルーヴ、1997年NHKマイルC・シーキングザパール、2007年エルフィンS・ウオッカの3頭しかいない。エアグルーヴとシーキングザパールは3歳時にG1を勝ち、古馬になってからは牡馬混合G1で活躍した。

宝塚記念は内枠スタートから道中揉まれて折り合いを欠き、4コーナーから直線では外に出せず仕方なく内を突いたが、最後は一杯になって8着に終わった。渋った馬場で内枠がアダになった印象。力を出せなかった。凱旋門賞は右後肢の蹄球炎のため回避。ダービーで激走した後に馬場の悪い宝塚記念を使い、今回は休み明けでの出走になる。入念に乗り込んでいるが、春のデキがあるのかどうかが鍵。03年のダービー馬ネオユニヴァースは宝塚記念を使って4着、秋は神戸新聞杯3着、菊花賞3着に終わった。ウオッカは相馬眼的に評価できる馬で能力は相当だが、クリアできるか。

ダイワスカーレットは[4-2-0-0]と堅実で桜花賞ではウオッカを完封した。アンカツはチューリップ賞でウオッカが来るのを待って追い出したが、桜花賞では早めに仕掛けてスピードの持続力勝負に持ち込んだ。瞬発力勝負では分が悪いとみていたのだろう。ウオッカをダイワスカーレットが得意な舞台に引き込んだことが勝因のひとつ。アンカツがゴールのだいぶ前から手が上がったのが印象的。会心の騎乗だったのだろう。オークスは熱発で回避したが、復帰戦となったローズSは逃げて上がり3Fを33.6秒でまとめてそのまま押し切った。最後はベッラレイアに半馬身差まで詰められたが、まだ余裕があった。

ラスト5Fは中京2歳Sが58.7秒、チューリップ賞が58.3秒、桜花賞が58.1秒、ローズSが58.1秒でラスト3Fは2戦目以降全て33秒台。スピードの持続力があり、ラスト5Fを58秒台でまとめて押し切るのが好走パターン。メンバー最速の上がりはないが、前に行って33秒台で上がれるのは大きな武器。ただしこれまでハイペースの経験はなく、速い流れになったときにこれまでと同じようにスピードの持続力を生かせるかは未知数。過去10年の秋華賞では3回が前半5F58秒台のハイペース。01年のテイエムオーシャンは2番手から押し切ったが、ダイワスカーレットは押し切れるのかどうか。真価が問われそうだ。

ベッラレイアはクイーンC、アーリントC、フローラCを除外されて桜花賞に出走できなかったが、あざみ賞とフローラSを連勝してオークスの出走権を確保。オークスでは6番手追走から直線で早めに抜け出したが、最後に外からローブデコルテに交わされてハナ差の2着に敗れた。いつもより前につけて正攻法の競馬をしたが、流れが速くなり厳しいレースになったことが応えた印象。一番強い競馬をしたが、JRAの除外攻撃で馬体減を気にしながらの調整になった影響もあったのだろう。復帰戦のローズSは馬体が18キロ増えてフックラとしていた。夏の休養で疲れが完全に取れ、馬体も成長したようだ。

レースでは1枠1番からロスなく進め、最内から上手く捌いてメンバー最速の33.2秒で上がったが、逃げたダイワスカーレットを捉えられず半馬身差の2着。ダイワスカーレットは最後余裕があり着差以上の負けだが、上がりが0.4秒上回ったことは見逃せない。ラスト5F58秒台、ラスト3F33秒台はダイワスカーレットが最も得意にする展開。武豊騎手は「負かせない相手ではない」とコメント。ベッラレイアは京都芝内1600mの新馬戦をメンバー最速の33.8秒で差し切っている。レースのラスト3Fは11.7-11.6-11.3秒で尻上がり。インパクトのある勝ち方だった。父ナリタトップロードはダービー1番人気2着、菊花賞3番人気1着。父に続けるか。

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