ジャパンC
レース展望

81年に創設され、今年で第27回を迎える日本最大の国際レース。昨年は過去最低の11頭で外国馬はわずか2頭だったが、今年はフルゲート18頭で外国馬は4頭。凱旋門賞馬ディラントーマスが衛生条件上の規定で出走できないのは残念だが、昨年よりメンバーが揃い面白いレースになった。過去10年で1番人気は[3-1-5-1]で4連対。日本馬は[3-1-5-0]で複勝率100%。3着は多いが、信頼度は高い。勝った3頭はテイエムオペラオー、ゼンノロブロイ、ディープインパクトでいずれに4歳馬だった。今年1番人気が想定されるメイショウサムソンは4歳馬。ちなみにジャパンC創設以来、外国馬の1番人気は[0-1-1-5]で1連対のみ。

2番人気は[2-4-1-3]で6連対、3番人気は[3-0-1-6]で3連対。2番人気は1番人気より連対が多い。00年以降は中山で行われた02年を除き、5番人気以内で決着しており、最近は人気馬が堅実。馬連は10倍台までが6回と堅く収まることが多い。5番人気以内の決着でも1番人気が崩れると中穴になる。連対した日本馬15頭のうち10頭にG1勝ち、残る5頭にG1連対があった。ハイレベルな一戦でG1実績のない馬では通用しない。日本馬はダービー、天皇賞(秋)など東京芝G1で実績のある馬が活躍している。外国馬は高速馬場の適性がポイント。馬場適性を見抜きたい。

メイショウサムソンは天皇賞春秋連覇を達成。宝塚記念でアドマイヤムーンに負けたが、今年は[3-1-0-0]で崩れていない。昨年秋のG1-3戦は4、6、5着に終わったが、調教の動きがひと息だったように本来のデキではなかったのだろう。天皇賞(秋)は各馬不利を受ける中、内からスムーズに捌いて2馬身半差で快勝。馬インフルエンザに感染して凱旋門賞を断念し、ぶっつけで臨んできたがきっちり仕上がっていた。春より落ち着きが出てどっしりとしたことも好印象。昨年のダービー馬で東京芝2400mは問題ないが、東京で勝ったダービーと天皇賞(秋)はメイショウサムソンが最も得意とする稍重だった。

ポップロックは昨年の有馬記念ではメイショウサムソンに先着。京都記念と宝塚記念はアドマイヤムーンに負けたが、今回はその2戦より距離が1F延びる。京都大賞典はインティライミに差されたが、休み明けで苦手なスローの上がり勝負だった。天皇賞(秋)は2コーナーでマツリダゴッホが切れ込んできたことで位置取りが悪くなり、直線でコスモバルクが寄れたことで各馬が外に膨れたため、馬群を捌かざるを得なかったことが応えた印象。天皇賞(秋)から距離が2F延びるのは大きなプラス。広い東京の芝2400mで地力勝負は望むところ。ペリエ騎手はジャパンCで日本馬に騎乗すると[2-0-2-0]で複勝率100%。

ウオッカは右寛跛行でエリザベス女王杯を取り消したが、中1週で参戦してきた。順調さを欠いたのは気になるが、最終調教は坂路で一番時計を出している。角居調教師が出走させるからには力を出せる仕上がりか。これまで9戦して[5-2-1-1]で雨で馬場が悪化した宝塚記念以外は3着以内を確保している。ダービーで3馬身差2着のアサクサキングスは菊花賞を制した。秋華賞は3着に敗れたが、縦長の隊列で後方からの馬には厳しい展開だった。今回の東京芝2400mはベストパフォーマンスを発揮した舞台。末脚はメイショウサムソンより切れる。メイショウサムソンとは凱旋門賞で対戦するはずだった。

アドマイヤムーンは宝塚記念でメイショウサムソンを外から力で捻じ伏せた。香港カップ2着、ドバイデューティーフリー1着、クイーンエリザベス2世カップ3着と世界を渡り歩いてきた馬。世界レベルの底力を見せつけた。天皇賞(秋)は中団から伸び切れず6着。直線でぶつけられる不利があったが、最後は逆手前で重心が高くなりフワフワしていた。久々の影響があったか。内を通った馬が有利な馬場で終始外を回ったことも応えたのだろう。今回は叩き2戦目になるが、実績の少ない東京で距離2400mは気になるところ。40億円でダーレーに売却され、来春から種牡馬入りする予定。勝負度合いは如何ほどか。

インティライミは朝日CCをメンバー最速タイの33.3秒で差し切り、京都大賞典でもメンバー最速タイの33.4秒で先に抜け出したポップロックを差し切った。それほど切れる脚を使えなかった馬が2戦連続でメンバー最速の33秒台の末脚を繰り出したのだから凄い。脚元がパンとしたことで馬の気力が京都新聞杯、ダービー当時に戻ったようだ。今は折り合いがつくし、馬に気合がみなぎっている。完全に本格化したようだ。朝日CC、京都大賞典を勝ったのは同厩のタップダンスシチーと同じで、これは佐々木晶厩舎の一流馬になるパターン。宝塚記念は0.9秒差の7着だが、良馬場なら差は詰まるはずだ。

フサイチパンドラはエリザベス女王杯で2年連続2位入線。昨年のジャパンCは好位からしぶとく伸びて5着。メイショウサムソンに先着した。今夏には札幌記念で逃げてアグネスアークを完封。牡馬の一線級を相手にやれる下地はある。エリザベス女王杯から中1週は昨年と同じ。タフな馬で問題ない。ドリームパスポートは天皇賞(春)に向けての調整中に右第3中手骨々折を発症。今回は8ヶ月ぶりの実戦になる。昨年の神戸新聞杯も骨折明けだったが、外からメイショウサムソンを差し切った。骨折明けでジャパンCというのは楽ではないが、昨年のジャパンCで2着したように地力はトップレベル。可能性はなくはない。

ヴィクトリーはルメール騎手に乗り替わる。菊花賞は掛かって競馬にならなかったが、ルメール騎手がどんな騎乗を見せるのか興味深い。04年のジャパンCではコスモバルクを折り合わせて直線でまっすぐに走らせて2着に導いている。05年はハーツクライに騎乗し直線で捌いてきたのが印象的。コスモバルクは天皇賞(秋)で斜行してレースを壊した。今回は五十嵐冬騎手から松岡騎手に乗り替わる。ジャパンCは4年連続出走となる。チョウサンは毎日王冠をレコード勝ち。天皇賞(秋)は最後方から追い込んで8着。横山典騎手は先週の東スポ杯2歳Sのフサイチアソートに騎乗し、内でタメて末脚を弾けさせた。何か掴んだか。

外国馬はアルティストロワイヤル、サデックス、ハリカナサス、ペイパルブルが出走する。凱旋門賞馬ディラントーマスは出走できないが、元々ジャパンCでは大物は好走しないのが例年のパターン。この4頭の中に好走できる馬は果たしているのだろうか。日本での調教過程と日本の固い馬場、時計の早い馬場の適性が鍵になる。直前の調教までよくチェックしたい。先週の東京芝コースはB→Cコースに変更され、外差しが決まっていた。馬場は全体的に荒れてきているので、荒れ馬場をこなすパワータイプの馬で末脚がしっかりした馬に注目したい。東京は3日間開催でジャパンCは最終日。馬場状態には要注意。

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