有馬記念
レース展望
ファン投票で選ばれた馬たちによるドリームレース。今年は16頭のうち7頭がG1馬でG1勝利は合わせて18勝。かなりの豪華メンバーが揃った。過去10年で1番人気は[5-2-0-3]で7連対。4歳牡馬が1番人気になると[5-0-0-0]で勝率100%。4歳牡馬のメイショウサムソンは1番人気に支持されるか注目。2番人気は[1-2-1-6]、3番人気は[1-2-2-5]でいずれも3連対。連対馬20頭のうち17頭が4番人気以内。人気馬が堅実なため、馬連は7回が10倍台までに収まっている。ただし01年と02年に13番人気が連対して馬連万馬券が飛び出したように時々人気薄の前残りで波乱が起きる。
00年以降の勝ち馬7頭のうち6頭が秋のG1勝ち馬で残る1頭がジャパンC2着のハーツクライ。秋のG1で好走した馬が強い。今年の出走馬で秋のG1を勝ったのは、メイショウサムソン、ダイワメジャー、ダイワスカーレット。2着はポップロック、フサイチパンドラ。00年以降の連対馬でみると14頭のうち12頭にG1連対があった。残る2頭は13番人気で激走したアメリカンボスとタップダンスシチーで、中山芝2200m以上のG2で連対があった。穴でこれに当て嵌まる馬に注意。有馬記念は時期的に秋のG1戦線で激走してきた馬たちによるサバイバル戦になる傾向。基本的に余力が残っている馬、調子のいい馬を狙いたい。
メイショウサムソンは天皇賞春秋連覇を達成。天皇賞(秋)は各馬不利を受ける中、内からスムーズに捌いて2馬身半差で快勝。最も得意とする稍重だった。ジャパンCは天皇賞(秋)と枠の内外が逆転し、内から捌いたアドマイヤムーンとポップロックに負けて3着。スローの上がり勝負で外を回って1、2着馬と同じ33.9秒で上がったように力負けではない。パドックでは完成された古馬の雰囲気でドッシリとしていた。ぶっつけで天皇賞(秋)を使ったことで今回が叩き3戦目。昨年は5着に敗れたが、今年は馬が完成されている。過去10年の有馬記念で武豊騎手は[1-4-1-4]で連対率50%。
ダイワスカーレットは[6-2-0-0]で連対率100%。現在4連勝中。ウオッカには3戦2勝と勝ち越している。桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯を勝ちG1-3勝。デビューからずっとパフォーマンスを引き上げている。ダイワメジャーの半妹でスピードの持続力があり、これまで上がり3Fメンバー最速は一度もないが、8戦のうち6戦で上がり5Fを58秒台でまとめている。エリザベス女王杯では逃げてラスト4Fを11.8-11.1-11.4-11.6秒でまとめて快勝。消耗戦の経験はないが、自分のペースで行ければいい脚を長く使える。課題は展開、距離2500m、馬場状態。秋3戦は目一杯に仕上げておらず、今回は攻めている。
ウオッカは64年ぶりに牝馬によるダービー制覇を達成。秋は秋華賞3着、ジャパンC4着に終わったが、秋華賞は縦長の隊列で後方からの馬には厳しい展開、ジャパンCはスローの上がり勝負で最後方から追い込む競馬だった。ジャパンCは直線で馬群を捌くのに手間取ったが、上がり3Fはメンバー最速の33.6秒。取り消しのアクシンデントがなく、四位騎手が強気に乗れる状態なら勝ち負けになっていたのではないか。古馬の一線級に通用する目処は立った。中山内回りがポイントだが、京都内回りの秋華賞で外から捲くってきたようにこなす下地はある。差し切れる位置につけたい。
ポップロックは宝塚記念3着、京都大賞典2着、天皇賞(秋)4着、ジャパンC2着と勝ち切れない競馬が続いているが、一線級を相手に崩れていない。ジャパンCは好位から馬群を捌いて伸びてきたが、アドマイヤムーンに頭差の惜しい2着。アドマイヤムーンは内からスムーズに伸びてきたが、ポップロックは馬群を捌くロスがあった。3着のメイショウサムソンとは枠順、コース取りの差が大きかった。昨年の有馬記念は直線で不利がありながらしぶとく伸びて2着を確保。芝2500mは[4-1-2-0]で最も得意とする距離。過去10年の有馬記念で6歳馬は[0-1-0-18]と不振だが、得意距離でペリエなら侮れない。
ダイワメジャーはG1-5勝の実績馬。今年は安田記念とマイルCSを制した。天皇賞(秋)で不利を受けて9着に敗れたが、マイルCSでは6歳馬でも衰えていないことをアピール。距離2500mは課題だが、昨年の有馬記念では2番手から3着に粘っている。鞍上は皐月賞で騎乗して勝っているデムーロ騎手。どんな乗り方で持ってくるか。ロックドゥカンブはデビューから4連勝でセントライト記念を制し、菊花賞は0.2秒差の3着。メンバー最速の35.4秒で上がったが、位置取りが後ろ過ぎた。キネーン騎手はインターナショナルSでエレクトロキューショニストに騎乗してゼンノロブロイを完封。ロックドゥカンブはエレクトロキューショニストと同じレッドランサム産駒。
ドリームパスポートは骨折明けのジャパンCで14着に敗れ、初めて掲示板を外した。昨年は神戸新聞杯1着、菊花賞2着、ジャパンC2着、有馬記念4着でメイショウサムソンには全て先着。調子が戻れば、このメンバーでも通用する力はある。鞍上は高田潤騎手に決定。前走惨敗と鞍上でどれくらいの人気になるか。高田潤騎手が騎乗した皐月賞と同じ1枠2番に入った。ジャパンCで好位から5着に踏ん張ったデルタブルース、中山重賞2勝のマツリダゴッホ、ジャパンC10着から右回りで巻き返しを狙うインティライミ、エリザベス女王杯2着のフサイチパンドラ、ジャパンCで逃げて6着に粘ったチョウサンあたりが人気面で続きそう。
今年の3歳牝馬は牝馬3冠に加え、NHKマイルC、ダービー、スプリンターズS、エリベザベス女王杯を制しG1-7勝。有馬記念で3歳牝馬の連対は94年のヒシアマゾン以来ないが、今年のレベルなら通用しても何ら驚けない。メンバーは世界レベルだが、ダイワスカーレットは来年ドバイ遠征プランがあり、ウオッカは凱旋門賞に挑戦する予定だった。有力馬の力差はそれほどないため、展開、位置取り、馬場などの外部条件が重要になる。各ファクターで好走できる幅の広い馬は崩れないが、ひとつでも大きく上回る馬に逆転される可能性がある。自分の得意なパターンに持って行けるか、騎手の腕が問われそうだ。
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