桜花賞
レース展望

牝馬クラシックの第一弾。過去10年で1番人気は[2-3-2-3]で5連対。最近7年は[2-3-2-0]で前走重賞を勝ち中2〜4週できた馬は[2-3-0-0]で連対率100%。2番人気は[2-1-1-6]で3連対、3番人気は[2-0-1-7]で2連対。6番人気以下の人気薄が7連対と多い。馬連は10倍以下は1回しかなく、10〜30倍台の決着が6回と多い。以前はトライアル勝ち馬が人気で不振に終わり、人気の落ちたトライアル2〜4着馬が巻き返すことが多かったが、最近4年の連対馬8頭のうち6頭は前走重賞勝ち馬で残る2頭は重賞2着馬。最近は前走重賞連対馬が強い。阪神外回りコースの適性も加味したい。

トールポピーは阪神JFの勝ち馬。前半5F58.1秒のハイペースで前に行った馬が止まる展開が見方したが、、ラスト1Fから地力&スタミナで伸びてきた。チューリップ賞は前半5F61.3秒のスローペースになり、逃げたエアパスカルを捕まえられずにハナ差の2着。阪神JFと全く違う流れだったが、好位の馬込みで流れに乗る正攻法の競馬で脚質の幅を広げた。これまで5戦して[2-3-0-0]で連対率100%。フサイチホウオーの全妹で急に走らなくなる懸念はあるが、兄は皐月賞3着。この時期なら大丈夫か。角居厩舎はG1を目標に仕上げる厩舎。G1で1番人気になると[3-2-1-1]で連対率71.4%。死角はないのか。

リトルアマポーラは阪神芝1600mの新馬、500万条件を連勝した後、牡馬相手の京成杯に挑戦し0.2秒差の4着。4コーナーから直線で内に押し込められて追い出しが遅れたのが応えた。1番人気に支持されたクイーンCはメンバー最速の34.4秒で外から楽々と差し切った。勝ちタイム1分35秒5は平凡だが、この日は風が強く最後の直線は向かい風だった。馬体は12キロ減っていたが、間隔を空けたことでどこまで持ち直したか。芝1600mは3戦3勝、阪神芝1600mは2戦2勝という実績は魅力だが、過去10年の桜花賞でクイーンCから直行した馬は[0-0-4-13]で3着止まり。データを打ち破れるか。

オディールはファンタジーSの勝ち馬。直線では逃げたエイムアットビップとかなり差があったが、鋭く伸びて一気に差し切った。阪神JFは好位から4コーナーで2番手に押し上げて直線でしぶとく伸びたが0.3秒差の4着。チューリップ賞は後方からメンバー最速の33.5秒で追い込んでハナ差の際どい3着。阪神JFではハイペースで先行、チューリップ賞ではスローペースで追い込みと最も展開に合わない競馬をしているが、それで崩れていないのだから底力があるのだろう。チューリップ賞は外が伸びにくい馬場で切れる脚を使った。アンカツは桜花賞3連覇の自信を深めたか。展開と位置取りがマッチすれば。

ポルトフィーノは新馬戦とエルフィンSを逃げ切り勝ち。アーリントンCは控える競馬を試したが、大外枠スタートから馬を前に置けず道中頭を上げて掛かり、直線で伸び切れず8着に敗れた。桜花賞に向けて課題は明らかになったが、武豊騎手&角居厩舎がどう対策してくるか。スタートして掛かるようならエルフィンSのように行かせるのだろうが、今回は馬を前に置ける好枠に入った。母エアグルーヴで半姉にアドマイヤグルーヴがいる超良血馬。エルフィンSのパドックでは一流馬独特の雰囲気を漂わせ、レースのラスト3Fは11.5-11.7-11.2秒でラスト1Fが尻上り。アーリントンCは不甲斐なかったが、一変の可能性はある。

フラワーCの勝ち馬ブラックエンブレム、チューリップ賞の勝ち馬エアパスカル、熱発明けのフィリーズRで10着に敗れたエイムアットビップ、アネモネSの勝ち馬ソーマジック、フィリーズRで出走権を確保したマイネレーツェル、ベストオブミー、レジネッタ、アネモネS2着のシャランジュあたりが人気面で続きそう。ブラックエンブレムはフラワーCを逃げ切ったが、前半3F37.8秒のスローペースでもその後のラップが早く、途中から早めに来られる厳しい展開だった。暮れの葉牡丹賞(中山芝2000m)ではマイネルチャールズにクビ差の3着がある。関東馬で関西への輸送リスクを減らすため栗東入りしているが、軽めの調教しかしていない。これがどう出るか。

エアパスカルはチューリップ賞を前半5F61.3秒のスローペースで逃げて、トールポピーとオディールをハナ差で完封した。展開に恵まれたのは確かだが、ラスト2F目に10秒台のラップで後続を引き離している。410キロ台の小柄な馬だが、ウォーエンブレム産駒独特の持続力がある。芝では[2-3-0-0]で相手なりに堅実に走るタイプ。前走馬体が減っていたため、馬体の維持が鍵。エイムアットビップはファンタジーS2着、阪神JF3着の実績からフィリーズRでは1番人気に支持されたが、見せ場を作ったものの、直線で一杯になって惨敗した。地力はあるだけに叩き2戦目で立ち直っていれば。距離は阪神JFでこなした。

ソーマジックは3連勝でアネモネSを制した。過去10年でアネモネS組は桜花賞で[1-0-2-25]と不振だが、3連勝でアネモネSを制した馬はいない。田村厩舎は3歳馬15頭が勝ち上がっている。マイネレーツェルはステイゴールド産駒の小柄な牝馬。前走馬体が減って400キロを切っていたが、レースでは全く関係なかった。今回も調教は緩めていない。ベストオブミーは坂路で心肺機能が高そうな走りをする馬。混戦になったときに岩田騎手が持ってくるか。レジネッタはアエローザの全妹。阪神JFでは武豊騎手が騎乗していた。前2走は全力を出していない感がある。シャランジュは今回も末脚勝負。前崩れの展開になれば。

有力馬はそれぞれ死角を抱えており、調子はもちろん、馬場、展開、位置取りなど全てがマッチした馬が勝つのではないか。そのため、各馬の特徴をしっかり捉えた上で予想することがいつも以上に重要になる。高松宮記念はファイングレインが好位から抜け出して1分7秒1で制した。前2走は追い込む競馬で勝ちタイムは1分9秒1と遅かったが、全く違う競馬で高速決着に対応してみせた。まだ見せていないパフォーマンスの想像力。結果の分析だけが予想ではない。競走馬は生き物で成長する。パフォーマンスの想像力を裏打ちするのは相馬眼。皆が見ていない部分に競馬の核心がある。

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