競馬アナリストGM
天皇賞(春)
レース回顧

アドマイヤジュピタは出遅れて後方を進み、道中はメイショウサムソンの直後をマーク。3、4コーナーからスパートして4コーナーで先団に取りつくと直線では外から一気に抜け出してレースを制した。上がり3Fはメンバー最速の34.7秒。最後はメイショウサムソンに内から迫られたが頭差で完封。武豊騎手のメイショウサムソンの直後を尾行できたことで仕掛けのタイミングもバッチリだった。ホクトスルタンが逃げて2F目以降13秒台の流れがないスタミナの問われる流れでラスト5F59.4秒は早い。ラスト5Fのラップは12.3-11.8-11.3-11.5-12.5秒でラスト4Fから11秒台のラップが続いたのだからレースのレベルは高い。G1初挑戦で阪神大賞典とは全く違う流れで制したアドマイヤジュピタの強さは相当。流れに左右されない末脚を持っている強みを存分に発揮した。母の父リアルシャダイ。やはりこの血は長丁場に強い。パドックでは少し煩かったが、さらに馬体絞り込んで勝負に来ていた。3歳時に骨折し、まだボルトは埋め込まれたまま。その馬が最もタフな天皇賞(春)を勝ったのだから凄いこと。今後は休養に入り秋に備える予定。秋は京都大賞典から天皇賞(秋)に向かう予定。来年はドバイ遠征も視野に入る。

メイショウサムソンは中団の後ろを進み、3、4コーナーでスパートして直線でアサクサキングスを楽々と交わしたが、外からアドマイヤジュピタに差されて惜しい2着。最後は差し返して頭差まで詰め寄る勝負根性を見せた。上がり3Fはメンバー2位の34.9秒。アドマイヤジュピタにマークされて2着に負けたが、自分から動いて勝ちに行ったように強い競馬をしている。有馬記念8着、大阪杯6着と精彩を欠いていたが、やはり力は衰えていなかった。昨年の天皇賞(春)を勝ったときよりレベルの高い走りをしたことで昨年馬インフルエンザで出走できなかった凱旋門賞に向けて一歩前進した。アドマイヤジュピタとは切れ味の差が出ただけで能力は負けていない。パドックでは落ち着いて貫禄のある古馬の雰囲気。この時期は馬体がボテッと映らないように仕上げやすいようだ。次走は宝塚記念に向かう予定。昨年2着の雪辱を果たせるか。

アサクサキングスは4番手を進み、勝負どころで動いてホクトスルタンを捕まえに行き、直線で抜け出しかけたが、アドマイヤジュピタとメイショウサムソンに交わされて3着。菊花賞を勝ったときと同じようなレースをして力を出し切ったが、アドマイヤジュピタとメイショウサムソンには完敗。菊花賞のラスト1Fでラップが急激に落ちていたように道中緩みのない流れでラストは余計に苦しくなったのだろう。長丁場で古馬の一線級と対戦するのは今回が初めて。そのあたりの影響もあったか。パドックでは馬体の張り、気配は良くなっていたが、4キロ減でも少し太めに映った。次走は宝塚記念に向かう予定。昨年は15着に敗れたが、良馬場ならあんなことはない。ただし決め手不足を露呈する可能性がある。

ホクトスルタンは逃げて最後までしぶとく伸びて0.5秒差の4着。これまでは道中1Fだけ13秒台に落としていたが、今回は13秒台に落とさずにスタミナの問われる流れで逃げて最後まで踏ん張った。菊花賞で0.6秒差をつけられたアサクサキングスとは0.1秒差。内枠、単騎逃げだったが、地力も強化されている。パドックでは馬体が少し重めでテンションが高かったことを考えると完全に本格化すれば、来年あたりチャンスがありそうだ。ただし高速馬場では決め手が不足しているため、少し馬場の助けが欲しい。

トウカイトリックは内の3番手を進んだが、直線で伸びを欠き7着。スタミナの問われる流れ、かつ上がりの早い展開で完全に力負け。昨年3分14秒1で3着に来ただけにもっとやれそうだが、ラップが緩まない流れは見た目以上に厳しかったようだ。

アイポッパーは中団を進んだが、3、4コーナーで藤田騎手の手が動き、直線では全く伸びずに11着。ステイヤーズSでラップが13秒台に落ちない流れを経験していたが、高速馬場の京都では勝手が違ったようだ。仕上がりは良かったが、硬い馬場が爪に影響したか。

ポップロックは中団を進んだが、3、4コーナーで手応えが悪くなり12着に終わった。勝負どころでメイショウサムソンが手応え良く上がって行ったのと内田博騎手の鞭が飛んだのは対照的。これまで大敗しなかった馬だけに7歳になってピークを過ぎたか。

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