エリザベス女王杯
相馬眼予想

京都は小雨、芝は良、ダートは稍重。朝は雨だったが、9時過ぎに小雨に変わった。雨は午前中で上がる予報。西に雨雲はなく、馬場は悪くなっても稍重。このまま小雨なら良馬場でできそうだ。馬場は少し緩い状態が想定されるが、先週の土曜は稍重だったにも関わらず、京洛S(OP、芝1200m)は1分7秒8の好タイムで勝ったスプリングソングの上がりはメンバー3位の33.5秒。長岡京S(1600万下、芝外1400m)は後方からメンバー最速の33.7秒で上がったヘイローフジが1分21秒2で差し切り勝ち。馬場が固くなっているため、多少雨が降っても大きな影響はなかった。

土曜のアンドロメダS(OP、芝2000m)は好位から33.9秒で上がったヤマニンキングリーが1分59秒4で差し切り勝ち。東山特別(1000万条件、芝外1600m)は好位を進んだケイアイケイマンが34.0秒で上がって1分33秒7で差し切り勝ち。開催が進んで芝は荒れてきているが、時計、上がりとも遅くない。ただし馬場が荒れてきたことでスパッと切れる馬より地力&パワータイプの馬が上位に来ている。流れ次第で逃げ切り、追い込みが決まる可能性はあるが、基本的には好位から中団あたりから切れる脚を使える馬が有利。地力&パワーのある馬を重視したい。

次に展開だが、逃げるのはコスモプラチナ。2番手にビエンナーレが続き、好位にフェアブリーズ、エフティマイア、レインダンス、中団にカワカミプリンセス、ポルトフィーノ、レジネッタ、リトルアマポーラ、後方からトレラピッド、ムードインディゴ、ベッラレイア、アスクデピュティといった展開。ポルトフィーノはスタートが良過ぎてスタンド前の歓声を浴びると掛かる可能性があるが、この枠から武豊騎手が押さえ込むはず。流れはコスモプラチナ次第だが、3走前の天の川Sでは前半5F58.1秒のハイペースで逃げて粘っただけに大逃げを打つ可能性がある。ただし、人気のカワカミプリンセス、ポルトフィーノ、ベッラレイア、リトルアマポーラ、ムードインディゴは全て差し追い込みタイプ。

さらに1番人気のカワカミプリンセスは3歳時の実績からハイペースの消耗戦に強いタイプだけにコスモプラチナは天の川Sのようにハイペースで飛ばすのかどうか。秋華賞はプロヴィナージュ、菊花賞はノットアローン、天皇賞(秋)はトーセンキャプテンと今秋のG1は2頭出しの厩舎が勝たせたい馬に有利な流れを作るのがトレンド。今回のメンバーで2頭出しはコスモプラチナとレインダンスを出走させる宮厩舎のみ。レインダンスは秋華賞2着(上がり3F33.7秒)のときのように中団より前につけて切れる脚を使う競馬が理想。このあたりを総合的に判断するとコスモプラチナは速いペースで逃げることはないのではないか。

ただし最初からスローだとビエンナーレがハナを主張してくる可能性があるため、前半はそれなりに飛ばして道中のラップを落とすのだろう。これによって直線一気の追い込みタイプは究極の末脚がないと厳しくなるが、各騎手がラップの緩みに気付いて早めに仕掛けてラスト1Fのラップが12秒台に落ちれば突っ込む可能性はなくはない。コスモプラチナの石橋脩騎手に事前に事情聴取しそうな横山典騎手あたりは、上がり勝負を嫌ってある程度前につけそうだ。武豊騎手はカワカミプリンセスを差し切ればという競馬をするため、カワカミプリンセスをマークして進むのだろう。

展開は水モノでスタートや各馬の出方で変わるため、完全に読むことは不可能だが、ここではコスモプラチナがハイペースで逃げない可能性が高いとみる。これによって中団より前につけて切れる脚を使える馬が有利。馬場が荒れてきていることから地力&パワーのある馬を重視したい。能力、底力、距離適性、馬場状態、展開などを総合的に判断してい狙いたいのは、カワカミプリンセス。2年前がピークだった可能性はあるが、馬体の造り、活気ある姿はいい時の状態に戻っている。G1は狙って獲るもの。府中牝馬Sを叩いてエリザベス女王杯というステップもいい。

ハイペースの消耗戦に強いタイプでこれまでラスト3Fが11秒台になったレースで好走したことはなかったが、府中牝馬Sでは2番手から11.3-11.2-11.5秒のハイラップに対応して2着に粘った。ブルーメンブラットには差されたが、休み明けで太めが残っていたし、本番前に目一杯の競馬をして勝つ必要はない。天皇賞(秋)を制したウオッカも毎日王冠ではスーパーホーネットに差されて負けていた。切れ負けしたことを悲観するより、むしろ11秒台のラップが3F続いたレースに対応できたことを評価したい。今回は流れが緩みそうだが、府中牝馬Sの経験が生きるはずだ。

横山典騎手はエリザベス女王杯で最も怖いのは切れ負けと考えていたはずで、府中牝馬Sのラップ&走りで少しホッとしたのではないか。距離が延びればそのぶん地力が問われるし、流れが緩くても府中牝馬Sのようにラスト3Fが11秒台前半になる可能性は低い。道中は前を射程圏に入れながら、早めに動いて地力勝負に持ち込むはずだ。まだ10戦しかしていない5歳牝馬。完全復活を期待してみたい。西浦調教師はテイエムオーシャンとカワカミプリンセスで牝馬G1を5勝。牝馬の仕上げに関してはプロ中のプロ。エリザベス女王杯は06年に1位降着になったレース。仕上げに抜かりはない。

復調したカワカミプリンセスを逆転するには、3歳馬が一気にパフォーマンスアップするか、逃げや追い込みなど極端な競馬が嵌った場合。一気にパフォーマンスアップする可能性がある3歳馬はリトルアマポーラとポルトフィーノ。逃げではコスモプラチナ、ビエンナーレ、追い込みではベッラレイア、アルコセニョーラが候補。ただし、カワカミプリンセスが強気に動くため、逃げは大逃げにならないと厳しいか。追い込みにしても馬場が少し緩んだし、展開が嵌らないと厳しそう。それでも古馬のOP以上を勝ってきたビエンナーレ、アルコセニョーラは少し押さえておきたい。ベッラレイアは中団からの競馬もできるので残しておきたい。

リトルアマポーラは渋った馬場をこなすし、ルメール騎手が中団につければ、3冠とは違った競馬になる。いい脚を長く使えるし、カワカミプリンセスが強気な競馬をすれば、持ち味が生かせそうだ。他馬が苦しくなってからひと伸びできる底力のある馬。休み明けの秋華賞を使われての上積みもある。ポルトフィーノは折り合いが最大にポイントだが、内枠なら武豊騎手が押さえ込むはず。馬体の造りは今回のメンバーでトップクラス。折り合って前走の末脚を使えれば、カワカミプリンセスを差し切る可能性がある。半姉アドマイヤグルーヴはエリザベス女王杯で1、1、3着。血が騒ぐか。

あとは中団あたりにつければ勝負になるベッラレイア、好位からしぶとく粘り込むエフティマイア。ベッラレイアはウオッカ、ダイワスカーレットがいる最強世代。ひと叩きして馬体が良くなっているし、京都外回りで末脚爆発の可能性がある。エフティマイアは3冠全てで掲示板を確保した唯一の3歳馬。秋華賞5番人気以内で5着以内というデータを満たす唯一の馬でもある。あとは穴馬でレインダンス。同厩舎のコスモプラチナがどういう逃げを打つか分かっているのは大きい。1枠1番からロスなく好位につければ、秋華賞の再現があり得る。馬体、調教を見る限り、不振は脱している。阪神芝2200mを勝ったときの走りからこの距離は合う。外国馬は雨が降ったので押さえてもいいが、もっと馬場が悪化しないと厳しい。

本命カワカミプリンセス、対抗リトルアマポーラ、準対抗ポルトフィーノ、押さえベッラレイア、エフティマイア、レインダンス、ビエンナーレ、アルコセニョーラ。馬券は馬連・ワイド◎−○▲を本線に馬連◎−△注、○−▲。馬連◎−☆を少し押さえておきたい。3連複は◎→○▲△注ボックスの10点。3連単は1着固定◎→○▲△注とフォーメーション○▲→◎→○▲△注、○▲→○▲→◎の30点。

◎カワカミプリンセス
○リトルアマポーラ
▲ポルトフィーノ
△ベッラレイア
注エフティマイア
注レインダンス
☆ビエンナーレ
☆アルコセニョーラ

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