有馬記念
レース展望

ファン投票で選ばれた馬たちによるドリームレース。過去10年で1番人気は[5-1-0-4]で6連対。4歳馬は全て牡馬で[5-0-0-1]だが、良馬場なら[5-0-0-0]で勝率100%。牝馬は3歳のファインモーションが5着に終わっている。2番人気は[1-2-0-7]、3番人気は[1-2-2-5]で各3連対。連対馬20頭のうち16頭が5番人気以内。良馬場で行われた8年では、1〜3番人気が最低1頭連対している。逆に馬場が渋った02年は13番人気、昨年は9番人気が連対して荒れた。人気馬が堅実で馬連は6回が10倍台までに収まっている。最近は良馬場なら1番人気が連対し10倍台までの堅い決着が続いている。

年齢別では3歳[3-3-2-28]、4歳[7-3-2-23]、5歳[0-2-4-34]、6歳[0-1-1-19]、7歳以上[0-1-1-11]で3、4歳馬の活躍が目立つ。4歳馬は現在5連勝中。同年のG1で連対した4歳馬が強い。5歳以上は1着がなく、2着止まり。5歳以上で連対した4頭のうち2頭には芝2200m以上の古馬混合G1で連対、残る2頭には中山芝2200m以上のG2で連対があった。これが条件になる。過去10年で3着以内に10番人気以下の人気薄が4頭入っているが、このうち3頭には中山芝2200m以上のG2で連対があった。穴でAJCC、日経賞、オールカマーなど、中山芝2200m以上のG2で連対のある馬の激走に注意。

今年は出走馬14頭のうち8頭がG1馬でG1勝利は合わせて14勝だが、今年G1を勝った馬はジャパンCを制したスクリーンヒーローしかいない。今年のG1で2着がある馬は、メイショウサムソン(天皇賞春、宝塚記念)、フローテーション(菊花賞)、ダイワスカーレット(天皇賞秋)、カワカミプリンセス(エリザベス女王杯)の4頭のみ。ウオッカ(安田記念、天皇賞秋)、ディープスカイ(ダービー、NHKマイルC)、エイシンデピュティ(宝塚記念)の回避によってメンバーのレベルはかなり下がった。有馬記念は時期的に秋のG1戦線で激走した馬たちによるサバイバル戦になるが、今年は天皇賞(秋)とジャパンCを使った馬はアサクサキングスとアドマイヤモナークしかいない。

ダイワスカーレットはこれまで11戦して[7-4-0-0]で連対率100%をキープ。天皇賞(秋)はウオッカと同厩のトーセンキャプテンに絡まれてこれまで経験のない前半5F58.7秒で飛ばしたが、最後までしぶとく伸びてウオッカにハナ差の2着。直線ではウオッカに一旦交わされたが、ゴール前で差し返してきた。ウオッカとは差はわずか2cm。アンカツが最後までまじめに追っていれば勝っていたのではないか。アンカツはスプリンターズSとセントウルSのビリーヴでも最後に横を見て手が止まり、接戦で負けている。最後に追わないのは男の美学なのか、油断なのか、何なのかは分からないが、ダイワスカーレットは勝てるレースを落とした。

天皇賞(秋)は前半5F58.7秒で後半5F58.5秒。時計が出る新潟を除き、芝2000mで前後半5Fを58秒台で走り切ったのはダイワスカーレットが初めて。東京は高速馬場だったが、ダイワスカーレットのスピードの持続力は史上最強レベルなのではないか。パドックでは馬体に実が入って春よりパワーアップしていた。有馬記念を牝馬が勝てば、1971年のトウメイ以来37年ぶりになる。昨年の有馬記念はマツリダゴッホに負けたが、アンカツがマツリダゴッホ(札幌記念で騎乗し7着)を甘く見たこともあるようだ。ただし半兄のダイワメジャーが控える競馬でダイワスカーレットに真っ向勝負を挑まなかった点は見逃せない。

松田国厩舎のG1での年齢別成績は2歳[1-0-0-6]、3歳[9-4-5-41]、4歳[0-3-0-5]、5歳[0-0-0-6]、6歳[0-0-0-5]、7歳以上[0-0-1-3]で4歳以上は1着がない。松田国厩舎の管理馬は3歳春の東京G1で最大パフォーマンスを発揮するように仕上げられており、クロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハが屈腱炎で3歳秋で引退したように古馬になるまで脚が持たない。今年はダービー3着のブラックシェルが屈腱炎を発症した。ダイワスカーレットは古馬になってパフォーマンスを引き上げているが、感冒でオークスを回避したことが今になって利いているのだろう。直前でエイシンデピュティが回避。懸念材料がひとつ消えた。

マツリダゴッホは中山芝[7-1-1-1]でセントライト記念で落馬した以外は3着以内を確保。昨年のオールカマーを勝ってから現在中山で4連勝中。中山は広い東京とは全く違うトリッキーなコースで適性が問われるコース。先行力と機動力が中山にマッチするのだろう。何より馬が中山での競馬をよく知っている。昨年は9番人気でノーマーク、内をロスなく回った馬が有利な馬場など恵まれた面があったが、日経賞で59キロを背負って楽勝したことで有馬記念がフロックでなかったことを証明した。ジャパンCは左回り、スローの上がり勝負で4着なら上々。香港に遠征したストレスは、使うごとに解消されてきている。

スクリーンヒーローはAR共和国杯とジャパンCを連勝。ジャパンCは前半5F61.8秒のスローペースで各馬折り合いを欠く中、完璧に折り合い、直線半ばで抜け出すと最後はディープスカイの追撃を完封した。14番人気でラジオNIKKEI賞2着、セントライト記念3着した馬がG1を勝つとは思わなかったが、鹿戸厩舎に転厩して一気に素質が開花した。今は馬が賢くなり、無駄な仕草が一切ない。エフティマイアも馬が変わったが、鹿戸厩舎には馬をやる気にさせる技術の裏づけがある。過去10年の有馬記念でジャパンC勝ち馬は[3-1-0-1]だが、4歳馬なら[3-1-0-0]で連対率100%。ダイワスカーレットとの映画馬券もあり得る。

メイショウサムソンは引退レース。凱旋門賞はごちゃついて位置取りが悪くなり10着、ジャパンCは苦手なスローの上がり勝負で6着。力を出しておらず度外視できるが、春のG1は[3-3-0-0]に対し、秋のG1は[1-0-1-6]で11〜12月は[0-0-1-4]で寒くなると調子が落ちてくるタイプ。過去2年の有馬記念は5、8着に終わった。ただし昨年は天皇賞(秋)とジャパンCで激走した疲れがあったようだ。有馬記念が引退レースだった馬に武豊騎手が騎乗すると[2-2-0-1]で連対率80%。オグリキャップとディープインパクトで制している。今週の武豊騎手の騎乗は、土曜ラジオNIKKEI杯2歳S、日曜有馬記念の2レースのみ。

カワカミプリンセスは府中牝馬S2着、エリザベス女王杯2着と復調してきた。エリザベス女王杯はリトルアマポーラに負けたが、レースが上がり勝負に傾いたことが影響している。今回はメンバーが強くなるが、01年以降の有馬記念で1番枠は[2-2-0-3]で連対率57.1%。全盛期の力を発揮できれば。アルナスラインはメトロポリタンSでG1級の走りをした馬。AR共和国杯は58キロを背負って3着に敗れたが、勝ったスクリーンヒーロー(53キロ)はジャパンC1着、2着ジャガーメイル(56キロ)は香港ヴァーズ3着に好走した。メトロポリタンSが強過ぎたことが出世を遅らせている。過去10年の有馬記念でペリエ騎手は[3-1-0-2]で連対率66.7%。

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