フェブラリーS
レース展望
ダートマイル王決定戦。06年カネヒキリ、07年サンライズバッカス、08年ヴァーミリアンと過去3年のフェブラリーS優勝馬が揃った。ジャパンCダート2着のメイショウトウコン、平安Sの勝ち馬ワンダースピード、フェブラリーS2年連続2着のブルーコンコルドが回避したことで全体レベルは少し下がったが、それでも好メンバーが揃った。実績的にはG1-7勝のカネヒキリと6勝のヴァーミリアンが抜けているが、過去10年のフェブラリーSで7歳以上は[0-3-2-37]で未勝利。ただし1番人気はおらず、2番人気は[0-1-0-0]だけにデータだけで軽視するのは危険。2頭であっさり決まるのか、それとも世代交代があるのか。全馬が力を出し切る好レースを期待したい。
カネヒキリはジャパンCダート、東京大賞典、川崎記念を3連勝。フェブラリーS、ジャパンCダート、東京大賞典とヴァーミリアンには3戦3勝。東京大賞典では外から迫られたが、クビ差で最後まで抜かせなかった。前3走はルメール騎手が上手く乗っていることもあるが、屈腱炎を克服してG1を3連勝というのは並の馬にはできない。国内G1は[7-1-0-0]で帝王賞でアジュディミツオーに負けた以外は全て勝っている。「砂のディープインパクト」と呼ばれたが、G1成績はディープインパクトの生涯成績と全く同じ。G1-7勝はシンボリルドルフ、テイエムオペラオー、アドマイヤドン、ディープインパクト、ブルーコンコルドがいる。今回は新記録の8勝目を目指す。
屈腱炎がいつ再発するか分からないため、一戦ごとが勝負の馬。昨年11月に復帰してから中3週、中2週、中3週、今回が中2週と厳しいローテーションが続いている。G1最多勝利記録を達成するには、自分との戦いもある。東京ダ1600mは[2-1-0-1]で屈腱炎明け&直線で前が空かず追えなかった昨秋の武蔵野S以外は連対を確保。06年のフェブラリーSは外からメンバー最速の35.7秒で差し切り、3馬身差で圧勝している。距離は1600mがベストとは思わないが、ルメール騎手はマイラー体型のためマイルがベストとコメントしている。東京ダ1600mはマイル以上の距離適性と底力が問われるコース。力で捻じ伏せるか。
ヴァーミリアンはジャパンCダート3着、東京大賞典2着と2戦連続でカネヒキリに負けたが、外を回るロスがあって0.1秒差、クビ差ならコース取り次第で逆転できそう。ジャパンCダートは岩田騎手がテン乗り、東京大賞典は武豊騎手が骨折の影響が残る状態だった。武豊騎手は2月の重賞で3週連続重賞制覇と絶好調。陣営もその勢いに乗りたいところだろう。国内ダートG1は[6-1-1-2]で東京では07年のジャパンCダートと昨年のフェブラリーSを勝っている。07年に本格化してから国内G1では[6-1-1-0]、武豊騎手が騎乗したときは[5-1-0-0]で連対率100%。カネヒキリは国内G1で[7-1-0-0]。この2頭はかなり強力。
ずっと長い距離を使われてきたため、昨年のフェブラリーSは距離が不安視されたが、好位からメンバー最速の35.9秒で抜け出して快勝し不安を一掃した。8枠15番スタートから外を回ってスムーズなレースができたことも良かったのだろう。直前の川崎記念を球節炎で回避したが、レースでは全く問題なかった。今回は水曜に追い切る予定だったが、右肩の出方が悪いため、木曜追いに変更された。攻め駆けしないタイプで判断は難しいが、最終調教の動き次第で死角になり得る。最近の重賞は不安材料があって人気が落ちた馬が激走することが多い。石坂調教師のインタビューの表情に注目。
カジノドライヴはロールオブザダイスの回避で出走に漕ぎ着けた。ジャパンCダートは好位からしぶとく伸びて0.5秒差の6着に終わったが、同じ3歳のサクセスブロッケンには先着。阪神競馬場での調整で太め残り、レースで外を回るロスがあり、キャリア4戦だったことを考えると能力は示した。前走のアレキサンドライトSは2番手からメンバー最速の35.3秒で抜け出して3馬身半差で圧勝。最後は抑える余裕があった。馬体が22キロ絞れてジャパンCダートとは気配が一変していた。まさにベールを脱いだといった印象。今回はドバイ遠征前の一戦。全馬57キロで斤量のアドバンテージはなくなるが、アンカツは手の内に入れている。
エスポワールシチーはダート[4-1-0-0]でまだ底を見せていない。東京ダ1600mの錦秋Sを逃げて5馬身差で圧勝したが、勝ちタイムはヴァーミリアンの勝ったフェブラリーSと同タイム。平安Sはワンダースピードに差されたが、見直せる要素はないか。安達厩舎はバンブーエールと2頭出し。ゴールドアリュール産駒で勝てば父子制覇になる。フェラーリピサはエルムSと根岸Sを連勝。根岸Sは顔の神経痛で4ヶ月半ぶりの出走だったが、全く問題なかった。東京ダートは[3-1-0-1]でスタートで両側から挟まれて位置取りが悪くなったオアシスS以外は連対を確保。昨年5月の欅Sから6戦連続連対中の上がり馬。岩田騎手が持ってくるか。
ヒシカツリーダーは根岸Sで後方からメンバー最速の35.0秒で鋭く伸びてフェラーリピサにクビ差の2着。昨年秋に脚質転換して距離を短くするとレースぶりが一変。ダ1200〜1400mは[2-1-2-0]で外に出せた4戦の上がり3Fは全て35秒台と末脚の威力は相当。根岸Sはダート重賞初挑戦、初の東京、不良馬場の高速決着を克服しての2着。ダ1700mで3勝の実績から距離をこなす下地はある。木幡騎手とは相性が良く[2-1-0-0]で連対率100%。木幡騎手はG1[0-0-1-27]で97年桜花賞ホーネットピアスの3着が最高。フサイチコンコルド産駒はブルーコンコルドがフェブラリーSで2年連続連対中。追い込みが嵌る条件はないか。
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