桜花賞
相馬眼予想

阪神は晴れ、芝ダートとも良馬場。雨の心配はなく、パンパンの良馬場。土曜の大阪-ハンブルクCは最後方からメンバー最速の33.6秒で上がったゼンノグッドウッド、阪神牝馬Sは後方からメンバー最速の33.6秒で上がったジョリーダンスが差し切り勝ち。引き続き外差しが決まる馬場で上がりも速い。今週は芝刈りを行っておらず、先週より芝丈は長いが、大きな影響はなく、外差しが決まりやすい状態が続いている。土曜午後の芝戦の1、2着馬の上がりは8Rが1位-1位、9Rが1位-2位、10Rが1位-2位で展開、コースに関係なく、メンバー1、2位で上がった馬が連対している。今の阪神は切れ味優先の馬場。

次に展開だが、逃げるのはヴィーヴァヴォドカ。中山芝1600mの未勝利戦を前半5F57.9秒のハイペースで逃げ切り、フラワーCでも逃げてディアジーナを完封した馬。2枠4番に入ったことからもハナに行くのだろう。2番手にサクラミモザ、ショウナンカッサイが続き、好位にコウイハート、ワンカラット、ルシュクル、ジェルミナル、中団にダノンベルベール、ルージュバンブー、ツーデイズノーチス、アイアムカミノマゴ、レッドディザイア、ブエナビスタ、後方からアンプレショニスト、カツヨワイニングといった展開。流れはヴィーヴァヴォドカ次第だが、長い直線、ブエナビスタが追い込みタイプということを考慮して無理に飛ばすことはなさそう。過去2年の桜花賞の前半5Fは59.8秒、58.5秒。

昨年の阪神JFは前半5F59.6秒で上位3頭は追込-差し-追込だった。ブエナビスタが追い込みタイプだけにスローペースもあり得るが、ヴィーヴァヴォドカは切れる脚がないこと、ブエナビスタがスローペースのチューリップ賞を勝っていることからヴィーヴァヴォドカはスローペースにはしない。2番手につけるサクラミモザはスローペースのチューリップ賞で2着に粘ったが、ハイペースのダート戦を連勝してきた馬で本質的にスローの上がり勝負は歓迎のタイプではない。前に行くヴィーヴァヴォドカとサクラミモザは関東馬でサクラミモザの畠山吉厩舎は横山典騎手のアンプレショニストと2頭出し。ブエナビスタを苦しめる流れが作ろうとするのではないか。

ブエナビスタの安藤勝騎手はスローペースのチューリップ賞で後方から動いて差し切ったことで馬の能力に自信を持っているが、直線でサクラミモザに引き離されたときに一瞬ヒヤッとしたとコメントしている。チューリップ賞は13頭立てで能力の低い馬もいたが、今回は18頭立てでチューリップ賞のときより強いメンバーが揃っている。チューリップ賞では外から徐々に進出して4コーナーで先団に取りつけたが、今回は頭数が多くメンバーが揃っているため、チューリップ賞と同じような競馬ではロス&ストレスが大きくなる。安藤勝騎手はサクラミモザにヒヤッとさせられたこと、18頭立てでロスが大きくなることを考慮して乗るはずだ。

断然人気を背負って後方でドンと構え、スローペースになったときに差して届かなかったということは避けたいという心理もある。ただし今の外差し馬場なら前に行かなくてもブエナビスタの末脚があれば届くという意識もあるはず。このあたりを総合的に判断すると前走より少し前、中団の後ろあたりにつけるのではないか。どんな展開にも対応できる位置取りを取るはずだ。人気を背負った差し追い込みタイプに最もキツイのは、上がって行きたいときにペースアップして脚を使わされること。チューリップ賞は道中12.6-12.7秒とラップが緩んだときにブエナビスタは上がって行った。

おそらく横山典騎手は、このことに気付いている。断然人気を背負った安藤勝騎手がどう乗るのかも読めている。関東馬で前に行くヴィーヴァヴォドカの村田騎手、サクラミモザの北村宏騎手と打倒ブエナビスタに向けて作戦を立てているはずだ。ディープインパクトが無敗の3冠を達成したときに最後まで苦しめたのが、横山典騎手のアドマイヤジャパン。その半妹を負かそうというのだから面白いが、断然人気に簡単に勝たせない流れを作るはずだ。前半ゆったりと進めてブエナビスタを誘き出し、チューリップ賞のように中盤のラップを落とさず、ブエナビスタが動くときに11秒台の速いラップを刻む展開。

この展開は前に行く馬に楽ではないが、途中から動く馬も脚を使わされて厳しくなる。前に行くヴィーヴァヴォドカとサクラミモザはスローよりハイペース志向。特にサクラミモザはダート2戦を見る限り、激戦に耐える可能性を秘めている。今の阪神の馬場でこういう展開なら、ビエナビスタは直線一気でも届くが、前半ゆったり進めることでブエナビスタの安藤勝騎手にスローペースと錯覚させることがポイント。これにブエナビスタの安藤勝騎手が乗ってくれば、直線でいつもの切れ味を発揮できない可能性がある。それでも現時点では能力が抜けているだけに厳しい流れで底力を見せつけることもある。

出走馬18頭のうち11頭が阪神JFに出走しており、ブエナビスタと勝負付けが済んでいる馬が多い。阪神JFは前半5F59.6秒で底力が問われたレース。ブエナビスタを負かす馬はいないのではないか。負かすとすれば、未対戦の馬でまだ底を見せていない馬だろう。相馬眼的な評価を含め、逆転があるとすればレッドディザイア。まだキャリア2戦で荒削りな面があり、真価を発揮するのは距離が延びるオークスかもしれないが、相馬眼的評価、前2走のインパクトのある走り、最終調教で見せた想定以上の動き、気配などからここで狙えると判断した。今年のクラシックは「無敗」がテーマになる可能性がある。

07年の桜花賞は単勝1.4倍の1番人気のウオッカに四位騎手、3番人気のダイワスカーレットに安藤勝騎手が騎乗していた。勝ったのは、チューリップ賞より早めに動いたダイワスカーレット。断然人気で2着に敗れた四位騎手は苦汁を舐めた。今回は安藤勝騎手のブエナビスタが単勝1.3倍の断然人気、2番人気が四位騎手のレッドディザイアで立場が逆転。07年の桜花賞で相当に悔しい思いをした四位騎手は打倒ブエナビスタのことしか考えていないはずだ。その証拠に今日の騎乗馬は10、11Rの2頭のみ。勝負が懸かった馬がいるときは騎乗数を減らして集中力を高めるのがパターン。ディープスカイもそうだった。

ブエナビスタはチューリップ賞で内枠に入ったが、揉まれる競馬を経験させず、大外を回す安全策で勝った。本来、賞金が足りている馬にとってトライアルとは本番に向けて課題を洗い出すためのレース。そこでブエナビスタは外を回して勝ちを選んだ。そのため、今回も馬込みに入れたり、直線で馬群を割るような競馬をすることはない。松田博調教師はスタートで最後方に下げてそこから上がって行けば勝てると超強気なコメント。安藤勝騎手はそのコメントを鵜呑みにすることはないが、馬込みに入れず、直線で外に出すことは確定的。多頭数でチューリップ賞よりロスが大きくなるのは間違いない。

レッドディザイアは大外枠というのは有利ではないが、前走で馬込みを経験させ、直線で馬群を捌いて勝った。4コーナーから直線で外に馬がいたため、仕方なく内を突いたものだが、それでも馬群を割ってきた経験は大きい。現時点ではブエナビスタの方がキャリア、コース経験があり安定して走るのは間違いないが、末脚の切れ味は互角。大外18番から少し内に入れて道中のロスを少なくし、ブエナビスタより前で進められれば逆転の可能性がある。あとはブエナビスタが勝負どころで脚を使わされ、レッドディザイアが後方でタメたときに最後の最後で大逆転があり得る。四位騎手は一発勝負に強い。

◎ブエナビスタ
○レッドディザイア
・・
注ジェルミナル

[パドック診断]
○7:レッドディザイア 馬体が成長して一流馬の雰囲気が出てきた。久々でも活気十分。キャリアは浅いがブエナビスタを力で捻じ伏せる能力は持っている。
○7:ブエナビスタ 馬体が増えてフックラした。叩いたぶん馬体の張りが良くなり落ち着きも十分。これなら力出せる。
△5+:ジェルミナル 馬体が減って腹目が細く映るが元々細く見せるタイプで悪くない。

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