競馬アナリストGM
オークス
レース展望
牝馬クラシック第2弾。過去10年で1番人気は[2-2-1-5]で4連対。単勝1倍台は[1-0-1-2]で連対したのはシーザリオのみ。断然人気でも過信禁物。桜花賞馬は[1-1-3-2]だが、1番人気では[0-0-1-1]でテイエムオーシャン3着、ダンスインザムード4着に終わっている。ただし昨年桜花賞1、2着馬がオークスで3、2着に入ったように桜花賞が外回りコースに変更されてからは少し傾向が変わってきている。1番人気で勝った2頭は上がり3Fがメンバー最速だった。1番人気で勝つには末脚の切れ味が必要。2番人気は[1-1-1-7]で2連対、3番人気は[1-0-2-7]で1連対。馬連は最近7年で万馬券が4回とかなり荒れている。
連対馬20頭のうち16頭が桜花賞組。桜花賞で4着以下に敗れた10頭が巻き返している。オークス向きの馬は桜花賞で差して届かないことが多く、桜花賞で差し追い込みで善戦した馬が直線の長い東京で巻き返すことが多い。07年の勝ち馬ローブデコルテは桜花賞でメンバー最速タイの33.5秒で上がり4着に敗れていた。昔からオークスでは小柄な馬が強いと言われるが、連対馬20頭のうち8頭が440キロ以下。6番人気以下で連対した5頭は全て440キロ以下の小柄な馬だった。昨年は432キロのエフティマイアが13番人気で2着に激走している。今年のメンバーで前走440キロ以下はデリキットピースとイナズマアマリリス。
ブエナビスタは5戦4勝でまだ牝馬には負けていない。桜花賞は後方からメンバー最速の33.3秒で差し切り勝ち。レースのラスト3Fは11.7-11.6-11.6秒で尻上がり&持続ラップ。直線に向いたときは並の馬なら届かない位置だったが、安藤勝騎手が慌てずに馬を信頼して直線勝負に徹したことが良かったのだろう。ただし阪神はブエナビスタ仕様の切れ味優先の外差し馬場だった。上がり3F33.3秒は早いが、同日の未勝利戦(芝1600m)2着のダノンヨーヨー(初出走)は、流れは違うが後方からブエナビスタより0.2秒早い33.1秒で上がっている。切れ味が助長される馬場だったことは間違いない。
ちなみにフサイチホウオーは皐月賞でメンバー最速の33.9秒で上がってハナ+ハナ差の3着に入ったが、同日の1000万条件でブレーヴハートが最後方から33.6秒で直線一気を決めていた。フサイチホウオー(安藤勝騎手)はダービーで単勝1.6倍の1番人気に支持され7着に終わっている。不気味なことを書いたが、フサイチホウオーはダービーで大きな死角があったことを付け加えておく。ブエナビスタは一戦ごとに着実にパフォーマンスを引き上げており、全5戦とも上がり3Fはメンバー最速。以前から安藤勝騎手、松田博調教師とも距離が延びるオークスの方がレースはしやすいとコメントしており、陣営に距離不安は全くない。
タイプは違うが、半兄アドマイヤジャパンは菊花賞2着、アドマイヤオーラはダービー3着、京都記念1着と距離をこなしている。デビューから体重がほとんど変わっていないが、国内全レースでメンバー最速上がりで連対したディープインパクトも馬体は増えなかった。オークスを勝てば凱旋門賞に挑戦するプランがあるようだ。そのレベルの馬が果たして負けるのだろうか。安藤勝騎手は、桜花賞前は能力が違うとコメントしていたが、桜花賞を勝った後は微妙にニュアンスが変わってきた。「いつも通り」と言い続ける松田博調教師は「これまでにない」強い調教を課してきた。これは一体何を意味するのだろう。
桜花賞でブエナビスタはチューリップ賞をひと叩きした理想的なステップ、2戦2勝の阪神芝1600m、切れ味優先の外差し馬場とこれ以上ない条件が揃っていた。それに対し2着のレッドディザイアは、キャリア2戦、オークスを意識したローテーションで2ヶ月ぶりの実戦、重賞初挑戦、初の阪神と不利な条件が揃っていた。レースはブエナビスタが勝ったが、レッドディザイアはメンバー2位の33.7秒で上がって半馬身差の2着に食い下がった。今回は2頭とも同じローテーションでどちらも経験のない東京芝2400m。ちなみにレッドディザイアの1週前調教はこれがこの時期の3歳牝馬なのかと思わせる迫力のある絶好の動きだった。
「いつも通り」でない最終調教を課してきた松田博調教師。桜花賞で食い下がられたレッドディザイアにあの動きを見せられては、攻めざるを得なかったのだろう。それくらい危機感を感じているのではないか。これまでは全て関西圏でソフトな仕上げで臨んできたが、今回は長距離輸送のある東京でハードな仕上げ。松田博調教師はオークス2勝で勝ち方を分かっているが、馬体細化のリスクを犯して勝負にきた。これが吉と出るかどうか。安藤勝騎手は共同インタビューを見る限り、今の東京の馬場を読めていない。今の東京はかなりの特殊馬場。昔より研究していない可能性がある。
レッドディザイアは桜花賞で後方からメンバー2位の33.7秒で上がってブエナビスタに半馬身差の2着。最後に伸び切れなかったのは、外からジェルミナルに来られたことで手前を替えるのが早過ぎたこともある。2着に終わったが、ブエナビスタが強過ぎただけで例年なら桜花賞馬に輝いていたのではないか。エルフィンSからぶっつけで桜花賞を使ったように最初からオークスを意識したローテーション。桜花賞のパドック診断では「馬体が成長して一流馬の雰囲気が出てきた。久々でも活気十分。キャリアは浅いがブエナビスタを力で捻じ伏せる能力は持っている」と書いた。果たして逆転はあるのだろうか。
ブエナビスタは末脚が切れることもあるが、これまで全て外から差し切っている。それに対しレッドディザイアはエルフィンSで馬群を捌いて差し切っている。1988年のスポニチ賞金杯を勝ったタマモクロスを彷彿させるレースぶり。今回は2頭とも内めの枠に入った。安藤勝騎手と四位騎手はどんなレースをするのだろう。1986年以降のオークスでブエナビスタの7番枠は[0-2-0-21]、1番人気では[0-2-0-0]でシャダイカグラとベッラレイアが2着。レッドディザイアの3番枠は[2-1-0-20]で2番人気では[2-0-0-0]でチョウカイキャロルとスティルインラブが1着。JRAのJARIS(コンビューター)は面白いことをする。引っ掛けかもしれないが・・・。
デリキットピースは2戦2勝。新馬戦はラスト3Fが13.1-11.9-11.7秒で尻上がり。忘れな草賞は大外16番枠から好位で流れに乗り、最後はまだ余裕があった。好位から切れる脚が使える。母デリキットはオークス馬アドラーブルの半妹。鹿戸厩舎は昨年エフティマイアで2着がある。ブロードストリートは忘れな草賞2着。馬体細化で本調子にないヒカルアマランサスをマークした陣営のミス。負けたことでスイートピーSを使い、中2週で再度輸送がある。東京を経験したことがプラスに出るか、1回余計に走ったことがマイナスに出るか。調教後の馬体重は458キロ(前走446キロ)。中団あたりから切れる脚を使える。藤原英厩舎は3頭出し。
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