日本ダービー
レース回顧
ロジユニヴァースは1枠1番スタートから内ラチ沿いの3番手を進み、直線でリーチザクラウンを内から交わして後続を引き離し4馬身差でレースを制した。雨で馬場が悪化し、勝ちタイムは2分33秒7、レースの上がりは39.7秒。ジョーカプチーノが前半5F59.9秒のハイペースで飛ばしたことで消耗戦になった。馬場はどこを通っても悪く、その点で内ラチ沿いをロスなく回ってきたことは有利だった。走法から渋った馬場はこなすタイプ。パンパンの良馬場では切れ負けの懸念があっただけに馬場が渋ったことはプラスに働いた。それでもハイペースで前に行って抜け出したように能力があるからこその勝利。弥生賞の最初の直線で見せたフットワークは有馬記念のダイワスカーレットを彷彿させたが、3歳春の時点でこのレベルのフットワークで走る馬は稀。恵まれた点はあったが、ダービー馬になれる資質を備えていたということだろう。パドックでは馬体が増えて皐月賞のときとは気配が違っていた。絶好調ではないが、陣営の懸命な仕上げによってデキは上向いていた。横山典騎手はデビュー24年目、15回目の騎乗で念願のダービー制覇。今後は休養して菊花賞を目指す予定。まだ切れ不足の懸念は払拭できていない。休養してもうひと皮剥けることを期待したい。
リーチザクラウンはスタートを決めて内ラチ沿いの2番手を進み、直線でしぶとく伸びて2着を確保。ラスト1Fで一杯になったが、そこから何とか粘り込んだ。ラジオNIKKEI杯2歳Sでもロジユニヴァースに交わされた後に一杯になったが2着を確保している。この粘りは底力以外の何物でもない。これから馬体に芯が入って本格化すれば、相当なレベルまでいきそうだ。パドックでは馬体が10キロ増えたことで全体的にしっかりした印象で気合乗りが目立っていた。馬体細化に悩まされた馬だが、きさらぎ賞の後に休養したことが良かったのだろう。秋は菊花賞を目指す予定。折り合い面に課題はあるが、体型的に距離をこなす下地はありそうだ。
アントニオバローズは5番手を進み、直線でしぶとく伸びて3着。心肺機能が高い馬で消耗戦で底力を発揮。最後までリーチザクラウンを交わせなかったが、現時点の力は出し切った印象。プリンシパルSを使って中2週で再度輸送があったが、調教の動きが良くなり、パドックでは気合乗りが良化していた。本番のダービーで陣営は上手く作ってきていた。それほど切れる脚はないが、スタミナがあるため、菊花賞では面白い存在になりそう。角田騎手はヒシミラクルが勝ったときのように強気な捲くりを仕掛けてきそうだ。アントニオバローズの父は菊花賞馬マンハッタンカフェ。皐月賞とダービーはネオユニヴァース産駒が勝って父子制覇を達成したが、菊花賞も父子制覇の可能性がありそうだ。
ナカヤマフェスタは出遅れて後方を進み、大外からメンバー最速タイの39.0秒で追い込んで4着。渋った馬場は得意ではないが、持ち前の根性で伸びてきた。直線の伸びは目立ったが、出遅れて位置取りが悪くなったことが応えている。4コーナーから直線で1番人気のアンライバルドをマークして沈めたが、そのぶん仕掛けが遅れた感もある。オークスで誰もブエナビスタをマークしなかったことが蛯名騎手の頭にあったのかもしれない。4着に敗れたが、現時点の力は示した。勝負根性のある馬。こういうタイプは追いかけて損はない。
アプレザンレーヴは中団から伸びてきたが、5着が精一杯。内田博騎手が直線で外に出してしぶとく伸びてきたが、最後は外からナカヤマフェスタに交わされた。渋った馬場が影響しているのかもしれないが、これまでスローの上がり勝負しか経験しておらず、底力を露呈した感もある。池江郎調教師が攻め抜いて仕上げてきた馬。秋にひと皮剥けるかどうかは、今後の成長に懸かっている。ダービーの着順は父シンボリクリスエスとは違ったが、父にどこまで近づけるか。
アンライバルドは後方のまま見せ場なく12着に終わった。攻めの仕上げでさらに馬体が引き締まり、パドックでは気配が目立っていたが、不良馬場で力を出せなかった。渋った馬場はこなせるタイプだが、ここまで悪くなると厳しい。4コーナーから直線ではナカヤマフェスタの蛯名騎手にブロックされ、直線でスムーズさを欠いたことも応えた。皐月賞で凄い脚を使ったように一気にトップギアに入るタイプ。位置取りが悪くなったのは、岩田騎手がそこを意識し過ぎた感もある。皐月賞でレベルの高い勝ち方をした馬。古馬のG1でやれる下地がある。
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