安田記念
相馬眼予想(抜粋)

東京は晴れ、芝は稍重、ダートは重。日曜は晴れて気温が上がるため、良に回復しそうだが、それなりに湿り気は残りそう。土曜の芝コースは重だったが、午後の芝戦は芝1400m(500万)が追込(2位35.5秒)-先行、芝1800m(1000万)が追込(最速35.5秒)-好位、芝1600m(1600万)が差し(最速34.8秒)-好位でメンバー1、2位の末脚を繰り出した差し追い込み馬が勝っている。馬場は内側が荒れており、真ん中あたりを通った馬が伸びているが、内で粘る馬もいた。馬場が乾く過程で内が有利になる可能性はあるが、内側が荒れているため、土曜の傾向が続く可能性の方が高い。

先週日曜7Rの芝1600m(500万)ではモンテフェニックス(四位騎手)が後方から直線一気を決めた。芝1600mは内&前が有利な傾向が続いていたが、少し傾向が変わってきた印象。先週土曜7Rの芝1600m(500万)ではメイショウコウセン(四位騎手)が後方から直線一気で2着。先週、四位騎手は芝1600mで直線一気が決まるのかどうかを試していた。最近は日、月に芝刈りを行って野芝約6〜8cm、洋芝約12〜16cmに設定されていたが、今回は水曜に芝刈り(日曜の大雨で日、月にできなかったため?)をして野芝約6〜8cm、洋芝約12〜14cmで洋芝のMAXが16→14cmに2cm短くなっている。

先週を含め、芝1400mは内&前が有利で完全前残り傾向が続いていたが、土曜の7R(500万)ではシャイニーデザート(武豊騎手)が後方から直線一気を決めた。洋芝の丈を短くしたことで芝1400mにも少し変化が表れた。先週の土日、今週の土曜とも渋った馬場で表れた変化。日曜に馬場が乾いてどうなるか。馬場が乾くことで内が有利に戻るのか、それとも直線一気が加速するのか。本来、渋った馬場では前が残りやすい。渋った馬場で直線一気が決まるのなら馬場が乾けば加速するのではないか。今年は展開次第でブラックホークのような直線一気が決まる可能性がある。

次に展開だが、逃げるのはコンゴウリキシオーとローレルゲレイロ。3番手にサイトウイナー、ウオッカ、アルマダが続き、好位にタマモサポート、スマイルジャック、リザーブカード、中団にスズカコーズウエイ、スーパーホーネット、ディープスカイ、後方からアブソリュート、トウショウカレッジ、ファリダット、カンパニーといった展開。昨年はコンゴウリキシオーが単騎逃げで2番手にアルマダ、3番手にウオッカ、ジョリーダンスと隊列がすぐに決まり、競り合いのないスムーズな流れで内ラチ沿いを通ったウオッカ、アルマダ、エイシンドーバーで決着したが、今年は高松宮記念を逃げ切ったローレルゲレイロ、チャンピオンズマイルを2番手から勝ったサイトウイナーが加わり、昨年2番人気で勝ったウオッカが1番人気。

昨年、香港のブリッシュラックとグッドババは1番人気のスーパーホーネットをマークして2番人気で内ラチ沿いの好位につけたウオッカはノーマークだったが、今年はサイトウイナーとアルマダが脚質的にも1番人気のウオッカをマークしそう。昆厩舎はディープスカイとローレルゲレイロの2頭出し。先週、四位騎手が直線一気に拘っていたことを見るとローレルゲレイロがハイペースを演出する可能性もある。前に行く馬が外枠に入ったため、前半から勢いをつけて行く。昨年は前半5F57.9秒だったが、今年は前半5Fが57秒台前半(良馬場換算)に突入する可能性がある。逆に流れが平均程度なら好位から切れる脚を使えるウオッカが有利。

過去10年の安田記念では前半5Fが57.5秒以下になったのは、01年が57.1秒でブラックホークがメンバー最速タイの34.8秒で直線一気、04年が57.5秒(稍重)でツルマルボーイがメンバー最速タイの34.0秒で直線一気、05年が57.4秒でアサクサデンエンがメンバー4位の34.4秒で中団差し、07年が57.5秒でダイワメジャーがメンバー5位の34.4秒で4番手から抜け出し。ダイワメジャーはマイルCSで前半5F57.1秒で2番手から2着、57.5秒で2番手から1着と既にマイルG1でハイペースで先行して抜け出した実績があった。ダイワメジャーを除くと差し追い込みが決まっている。直線一気の追い込みが決まっていることに注目したい。

ウオッカは芝1600mで[6-2-0-0]の実績があるが、前半5Fは59秒以下だったのは、阪神JF1着(58.3秒)、安田記念1着(57.9秒)、ヴィクトリアM1着(58.6秒)の3戦のみ。平均程度の流れで好位から切れる脚を使えるのが持ち味で前半5F57秒台は宝塚記念8着(57.5秒、稍重)、安田記念1着(57.9秒)の2戦しか経験していない。昨年の安田記念から出足が早くなり、安田記念では一旦先頭に立つスピードを見せ、毎日王冠では今回と同じ2枠3番からハナを切った。天皇賞(秋)は外枠から7番手に控えたが、ジャパンC、ジュベルハッタ、ドバイデューティフリー、ヴィクトリMは内枠から全て前に行っている。

今回は内枠に入ったため、武豊騎手が絶対に控えると意識がない限り、スタートを決めて好位につけそう。安田記念とヴィクトリアMを内の好位から抜け出して圧勝したこと、内が荒れた馬場で変に控えて揉まれるのは良くないと武豊騎手は考えるはずだ。昨年は前半5F57.9秒だったが、今年は前述したとおり流れが速くなる可能性がある。そうなったときにウオッカは未知の領域に入る。今年のドバイデューティーフリーは2番手から失速して7着。ラップは不明だが、速い流れで逃げた馬が勝ち、2、3着には追い込み馬が入った。ウオッカの死角は、前に行く気性とハイペースにあるのではないか。

ウオッカはG1-5勝、東京G1-4勝、ダービーを勝ったスーパーホース。未知の領域をあっさり克服してこれまでと別次元のタイムで勝つ可能性もある。ヴィクトリアMの勝ちタイムはNHKマイルCの同タイムだが、雨で馬場が少し緩んでいたし、当日は強風が吹き荒れており、最後の直線は強い向かい風だった。実績のある内枠に入り、雨による馬場悪化も避けられた。前半5Fが58秒前後なら、好位からあっさり突き抜ける可能性が高い。これを崩すとすれば、ラスト5Fのタイムトライアルになったときのスーパーホーネット。逆に前半5Fが57秒台前半に突入すると今の馬場傾向から直線一気が決まる可能性がある。

ディープスカイはハイペースの中、好位からウオッカを負かしに行くと共倒れの可能性があるが、同厩のローレルゲレイロが前に行くこと、先週四位騎手が直線一気を試していること、次の宝塚記念が目標でそれに向けてという意識があることなどを総合的に判断すると外から差す競馬をする可能性が高い。ハイペースで追走に苦労するようなことがなければ、外から鋭く伸びてくるはずだ。ただしウオッカを負かすという意識もあるはずで位置取りは中団の後ろあたりか。強烈な末脚があるが、少し色気を持ったときは、天皇賞(秋)ではウオッカ、大阪杯ではドリームジャーニーに差されている。

大阪杯でドリームジャーニーがディープスカイをマークして外から差し切ったことに注目。ドリームジャーニーは朝日杯FSの勝ち馬だが、古馬G1では連対したことがない。そのレベルの馬が、休み明け、59キロだったとはいえ、ディープスカイを差したのである。安田記念では前半5Fが57秒台前半に突入すると直線一気が決まる傾向がある。今年直線一気を決めるとすれば、横山典騎手のカンパニーなのではないか。これまでG1勝ちがなく、マイルG1では4、5着止まりだが、今回はハイペース、外が伸びる馬場と条件が向きそう。前半5F57.3秒のハイペースになった関屋記念では強烈な大外一気を決めている。

1986年以降の平地G1で8歳馬が勝った馬はいないが、カンパニーは中山記念を連覇し、マイラーズCではメンバー2位の33.0秒で追い込みスーパーホーネットにクビ差の2着。8歳になって衰えるどころが、益々進化している。逆の展開になったときに連対圏に来ない可能性があり、その点でディープスカイの方が確度は高いが、カンパニーには一発の可能性がある。ウオッカは武豊騎手がハイペースを読んで差す競馬をすれば、頭がないとはいえない。スーパーホーネットはラスト5Fのタイムトライアルになった方が勝つ可能性が高いが、ハイペースで後方に控える作戦を藤岡祐騎手が取れれば、突っ込んでくる可能性がある。

◎ディープスカイ
○カンパニー
▲ウオッカ

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