オールカマー
レース回顧
マツリダゴッホは大外枠から仕掛けてハナを切り、前半5F61.0秒のスローペース。ラスト3Fからペースアップして直線入り口で後続を引き離すと2着に2馬身半差をつけてオールカマー3連覇を達成した。これまで外枠に入ったときは馬券圏内がなかったが、逃げることで折り合い面をクリア。有馬記念勝ちのある中山巧者にこのペースで折り合って単騎で逃げられたら負かすのは難しい。スローペースで馬群が縦長になる珍しい展開。マツリダゴッホと横山典騎手に勝ってくださいという展開だった。それでもラスト5F58.2秒、ラスト3Fを11.3−11.2−11.6秒でまとめており、スローペースでもレースのレベルは低くない。2、3着馬を含め、その点は考慮しておきたい。最終調教ではいい時と比較するともう少し力強さが欲しい感じがあったが、パドックではこちらの想定より仕上がりが良かった。マツリダゴッホは中山では落ち着きがあるし、どう走ればいいのかを良く知っている。サンデーサイレンス産駒は今年重賞初制覇でこれで1994年から16年連続で重賞制覇となった。今後は天皇賞(秋)またはジャパンCを使って有馬記念に向うことになりそう。今回は逃げて外枠をクリアしたが、有馬記念では内枠に入ったら要注意。
ドリームジャーニーは中団を進み、4コーナーで外から上がってきたが、逃げたマツリダゴッホに追いつけず2馬身差の2着。流れが遅過ぎて差し切れなかったが、休み明けで59キロを背負い、いつもより前につけて上がりを33.6秒でまとめたように復帰初戦としては上々の内容。420キロ台の小柄な馬が59キロをこなしたことは評価できる。これは確かな実力の証明。今年は中山記念からずっとレベルの高い走りを続けている。最終調教の時点では馬体が少しフックラ映ったが、パドックでは太め感なくきっちり仕上っていた。長距離輸送があるときはあれくらいボリュームがあって丁度いいようだ。次走は天皇賞(秋)に向う予定。4つのコーナーがあるコースの方が合うタイプで広くて直線の長い東京では[0−0−1−3]で連対したことがない。小柄な馬でスピードの持続力よりも一瞬の切れ味が持ち味。それでも今の充実ぶりなら昨年のようなことはないはずだ。
シンゲンは中団を進み、4コーナーで内から上がって直線で馬群を捌いてきたが、最後はドリームジャーニーに競り負けて3着。もっと前に行ける馬だが、天皇賞(秋)に向けてスタイルを崩さず、中団から差す競馬に徹していた。その結果が3着。やはり目標は次の天皇賞(秋)なのだろう。休み明け、実績の少ない右回り、G1馬を相手に3着なら今後の目処は立ったとみたい。33.7秒で上がったように右回り、中山も問題ないようだ。パドックではいつものようにイレ込んでいたが、減っていた馬体が戻って雄大さ増し、休み明けでも前走より気配が良くなっていた。この仕上がりなら好位からマツリダゴッホをマークしていれば、逆転があったかもしれない。次走は天皇賞(秋)になるが、東京は[6−0−0−2]の得意コース。心肺機能が高くスピードの持続力があるが、今はこれに末脚の切れ味が加わっている。馬場と展開がマッチすれば面白い存在になる。
トウショウシロッコは後方からメンバー3位の33.4秒で追い込んで4着。昨年のオールカマーと今年のAJCCは内をロスなく回って内から追い上げて3着に入ったが、今回は外枠で外を回って差してきたことを考えると4着でも上々の内容。今年は例年より強いメンバーが揃っていた。最終調教では馬体に重厚感が出て気配が良くなっていたが、パドックでも前走より歩様が柔らかく良化を窺わせた。叩き3戦目でようやく良くなってきたようだ。G2以下で右回りの芝2000〜2200m(ハンデ戦は除く)では[1−3−3−1]で4着以内を確保。この条件に使ってきたときは馬券に絡めたい。
ダンスアジョイは最後方から大外を回ってメンバー最速の33.2秒で追い込んで6着。追い込みが利きにくい中山で後方からいい脚を長く使ったが、スローペースで逃げた馬が勝つ展開ではここまでが精一杯。それでも中山で33.2秒で上がったことは評価できる。昨年の有馬記念で最後方からアドマイヤモナークが2着に突っ込んだように展開が嵌れば中山でも突っ込みがありそう。前3走を見る限り8歳馬でも衰えはなく、昨年より地力が強化されている。過去2年4、5着のAR共和国杯に使ってきたら、ハンデと展開次第で注意したい。松永幹厩舎の管理馬は馬体の造りが目立つ馬が多くなってきている。
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