神戸新聞杯
レース回顧
イコピコは内ラチ沿いの後方で脚をタメ、直線入り口で外に出すとメンバー最速の33.7秒で豪快に突き抜けて2馬身差でレースを制した。2着に武豊騎手が入り、3年連続で四位騎手と武豊騎手での決着となった。時計の出やすい馬場で2分24秒2のレコード決着。唯一33秒台の末脚を繰り出してレコードで走ったのだから強いのは間違いないが、道中内ラチ沿いでロスなく進めて末脚の切れ味を引き出した四位騎手の好騎乗もある。休み明けでも西園厩舎らしく乗り込んで仕上げてきていた。春は賞金が足りずクラシックに出られなかったが、プリンシパルSでは出遅れて最後方から追い込んで4着、白百合Sでは3番手から差し切り勝ち、ラジオNIKKEI賞はトップハンデ57キロを背負って4着と力は見せていた。体型や血統からは中距離が合いそうだが、距離を延ばしてパフォーマンスを引き上げたことは評価すべきだろう。次走は菊花賞になるが、四位騎手は折り合い次第とみているようだ。西園厩舎はG1[1−1−1−21]で01年の阪神JFをタムロチェリーで制している。
リーチザクラウンは外枠スタートからハナを切って前半5F60.3秒。ラスト5Fを59.3秒でまとめたが、外からイコピコに差されて2馬身差の2着。馬体が18キロ減っていたこと、外枠スタートから前半脚を使ったことを考えると2着でも上々の内容。折り合って道中ラップを落とせたし、本番に向けて武豊騎手は手応えを掴んだのではないか。馬体が減ったのは、競馬場に来てからイレ込んだことが影響したようだ。橋口調教師は次は10キロ以上増やして出せるとコメント。これまで8戦して[3−4−0−1]で掛かって自滅した皐月賞以外は連対を確保。スピードの違いで逃げているが、折り合えばラップを落とせる馬できさらぎ賞では道中ラップを落とし、ラスト3Fから再加速して楽勝している。次の菊花賞では各1000mを「速い−遅い−速い」という2段ロケット戦法でくるのではないか。ちなみに父スペシャルウィーク(武豊騎手)は菊花賞でセイウンスカイにこの2段ロケット戦法で負けている。
セイウンワンダーは4番手からしぶとく伸びて3着。最終調教では馬体、特に腹目が少し太く映ったが、目一杯に追ったこともあり、パドックでは思ったほど太くなく仕上がっていた。追い込む競馬を封印して好位で流れに乗ってしぶとさを発揮。陣営は距離を気にして結果次第で路線を変えるつもりだったようだが、この内容なら菊花賞に向うのだろう。ただし馬体が18キロ減っていたリーチザクラウンを交わせず、上がり3Fが0.1秒しか上回れなかったことは少し気になる。本番で福永騎手がどう乗るのかは分からないが、もう少しタメて瞬発力を生かす競馬をした方がいいかもしれない。
アンライバルドは中団を進み、直線で外から伸びてきたが、ラスト1Fで脚が鈍って4着止まり。スタートしてから行きたがり、道中は折り合いを欠くシーンが何度かあった。岩田騎手はずっとハミを噛んで力んで走っていたとコメント。この距離で折り合いを欠いては直線で伸び切れなくて当然。本番に向けて大きな課題が見えた。最終調教では全体的に実の入りが良くなって成長を感じさせたが、当日、馬体が増えていなかったのは輸送&競馬場で減ったのかもしれない。馬体の造り、気性的に現時点では2000mあたりがベストだが、春より馬体が成長していたし、能力もあるので、折り合い次第で距離はこなせるのではないか。長丁場を走るのならもう少し首が長い方がいいが、今はこれで全体的なバランスはとれている。ディープインパクトとレーティング116で皐月賞を勝った馬。距離を考慮して天皇賞(秋)という選択もありそうだが、相馬眼的に今後も注目していきたい馬であることは変わらない。
アントニオバローズは中団を進み、4コーナーで外から上がって行ったが、直線で全く伸びず11着に終わった。乗り込んで仕上がりは良かっただけに敗因は不明。逃げたリーチザクラウンが2着に粘ったことを考えてもあの止まり方は何かおかしい。角田騎手は息遣いが荒かったとコメントしているし、ノド鳴りなどがあるのかもしれない。切れよりスタミナタイプのヒシミラクルで菊花賞を制したように角田騎手はこういうタイプの乗り方は心得ているが、本番に向けて危険信号が灯った。陣営が今回の惨敗の敗因をどこに求めるのか注目したい。
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