スプリンターズS
レース展望

秋のスプリント王決定戦。過去10年で1番人気は[4−4−0−2]で8連対。前走セントウルSで連対した馬は[2−2−0−0]、外国馬は[2−0−0−0]、夏に強いと言われる牝馬は[2−2−0−0]で連対率100%。連対を外したゼンノエルシドはGTと芝1200mが初めて、サニングデールは直線で致命的な不利があった。2番人気は[1−3−4−2]で4連対、3番人気は[1−2−1−6]で3連対。連対馬20頭のうち18頭が5番人気以内と人気馬が堅実だが、時々極端な人気薄が激走して大波乱が起きる。連対馬20頭のうち15頭が前走3着以内。前走4着以下から巻き返した5頭のうち4頭はG1で連対した経験があった。前走4着以下に敗れた馬は、G1連対実績があることが目安になる。過去10年で外国馬は[2−0−1−7]で連対率20%。1番人気に支持されたサイレントウィットネスとテイクオーバーターゲットは勝っている。

今年は昨年の勝ち馬で芝1200m[3−2−0−0]のスリープレスナイトが屈腱炎を発症し回避。このまま引退することになった。スリープレスナイトの回避でG1勝ちのある日本馬はローレルゲレイロしかいない。ローレルゲレイロは前走セントウルSで14着に終わっている。G1で3着以内がある日本馬はキンシャサノキセキ(高松宮記念2着、スプリンターズS2着、NHKマイルC3着)、アイルラヴァゲイン(NHKマイルC3着、スプリターズS3着)、ビービーガルダン(スプリンターズS3着)、ソルジャーズソング(高松宮記念3着)、グランプリエンゼル(NHKマイルC3着)の5頭。スプリント重賞の勝ち馬は日替わりで今年のスプリント重賞で2勝を挙げた馬はまだいない。キーンランドCを勝ったビービーガルダンとセントウルSを勝ったアルティマトゥーレに更なるパフォーマンスアップの期待が高まる。日本馬はこの2頭が人気になりそうだ。

シーニックブラストは08年、09年シーズンの豪州年度代表馬で最優秀スプリンター。今年はグローバルスプリントチャレンジの第1戦のライトニングS(G1)と第2戦のキングスタンドS(G1)を制しており、現在32ポイント獲得で2位に17ポイント差をつけて首位独走。スプリンターズSまたは香港スプリントを勝つと3カ国でG1制覇となり、チャンピオンボーナスとして100万米ドルが支給される。スプリンターズSの1着賞金は約1億円。普通なら勝負度合いはかなり高いが、馬主と調教師が日本の馬場を見てどう判断するのかは分からない。シーニックブラストは現在ワールドサラブレットランキングのスプリント部門でトップタイ。06年のスプリンターズSを逃げて楽勝したテイクオーバーターゲット(豪州)もライトニングSとキングスタンドSを制していた。まともに走られるとあっさり勝たれるかもしれないが、果たして死角はないのだろうか。

ビービーガルダンは昨年の3着馬。前半3F33.6秒で勝ったスリープレスナイトの上がり3Fは33.9秒。先行してしぶとく伸びたが、上がりの早い展開で切れ負け。切れより地力タイプだけにもっと速い流れの方が力を出せる。それでも初G1挑戦で3着なら上々。今年は阪急杯でローレルゲレイロを子供扱いしたが、高松宮記念は初の左回り、テン乗りの武幸騎手、内が有利な馬場で外枠が応えて16着。函館スプリントSは左前脚の腫れで回避したが、立て直したキーンランドCでは3番手から楽々と抜け出して快勝。力の違いを見せつける強い勝ち方だった。その後はサマースプリントシリーズには拘らず、スプリンターズS1本に絞って調整されている。先週は500万条件の芝1200mで1分7秒5が出た。昨年は散水してスリープレスナイト向きの馬場を作った馬場造園課はどんな設定にするのだろう。ビービーガルダンは馬場のマッチングと展開が鍵になる。

アルティマトゥーレはアイビスSDは3着に敗れたが、セントウルSは3番手から直線で先頭に立ち、2着に0.4秒差をつけて快勝。前半1Fが12.2秒と遅く、前半3F33.8秒で前が残る展開が味方したが、スリープレスナイトに2馬身半差をつけて勝ったことは評価できる。パドック診断では「馬体のバランスが良くなり本格化気配」と書いたように馬体、気配が一変していた。芝1200mでは[4−1−0−0]で現在4連勝中。一戦ごとに着実にパフォーマンスを引き上げている。母はモーリス・ド・ゲスト賞(仏G1)で2着があるエアトゥーレ、半兄は皐月賞馬キャプテントゥーレ。秋に移動後のスプリンターズSでセントウルS勝ち馬は[1−1−0−7]で2連対。連対したビリーヴとサンアディユはセントウルSが0.7秒差以上の圧勝でスプリンターズSで1番人気だった。奥平厩舎のコイウタでヴィクトリアMを制した松岡騎手がまた持ってくるか。

カノヤザクラは2年連続でサマースプリントシリーズ優勝。アイビスSDでは2年連続で有利な外枠に入っていた。北九州記念3着は実質トップハンデと内枠が応えている。セントウルS4着は馬群に包まれて追い出しが遅れたことが響いた。サマーシリーズ連覇に向けて坂路で攻めて仕上げたが、レースで目一杯走らなかったことがプラスに出る可能性がある。昨年のスプリンターズSは0.4秒差の7着に終わったが、スタート直後に挟まれて位置取りが悪くなったことが応えたもの。最後はメンバー2位の33.8秒で鋭く伸びていた。昨年のセントウルSのようなレースができれば。グランプリエンゼルはNHKマイルCで13番人気で3着に入り大波乱を演出したが、函館スプリントS1着、キーンランドC3着でそれがフロックでなかったことを証明した。芝1200mは休み明けを除くと[3−1−1−0]。高速決着に課題があるが、雨が降ればプラスに働きそう。

ローレルゲレイロはセントウルSで逃げて直線で失速し14着。休み明けで59キロを背負っていたとはいえ、高松宮記念馬があまりに情けない負け方だったが、負けるときはトコトン負けるのがこの馬の特徴。中2週で昆調教師がどこまで仕上げてくるか。キンシャサノキセキはスプリントG1で2着が2回ある実力馬。今回はテン乗りの三浦騎手が騎乗する。マルカフェニックスは昨年の阪神カップの勝ち馬。セントウルSは後方から0.6秒差の5着まで追い上げた。叩き3戦目、1キロ減の57キロ、初の中山でどこまで変わるか。トレノジュビリーはテレビ愛知オープンを1分6秒9で勝ち、CBC賞でトップハンデ57キロを課せられた馬。CBC賞を感冒で取り消して調子を崩し、前2走は7着、5着に終わったが、3戦目でどこまで調子を上げてくるか。鞍上は岩田騎手。今年は中山の馬場設定が大きなポイントになりそう。馬場のマッチングを重視したい。

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