富士S
レース回顧

アブソリュートは中団の内を進み、直線で前が空かず追い出しを待たされたが、狭いスペースを一気に割って抜け出しレースを制した。休み明けで馬体が8キロ増えており、少し余裕を残した仕上げだったが、ベストの左回りのマイルで激走した。安田記念は出遅れて流れに乗れず惨敗したが、これで左回りのマイルは5戦4勝。東京新聞杯に続き、東京マイルで重賞2勝目。レースのレベルは高くないが、次走のマイルCSではひと叩きされた上積みが見込める。ただしマイラーズCで馬体が14キロ減ったため、長距離輸送を克服できるかが鍵。中山のクリスマスCで外から豪快に差し切ったように右回りもこなせるタイプ。もうワンランク、パフォーマンスを引き上げられれば馬券圏内がありそうだ。直線が平坦の新潟で切れる脚を使った馬。京都がマッチする可能性がある。

マルカシェンクは大きく出遅れて離れた最後方を進み、直線で大外からメンバー最速タイの33.7秒で伸びてハナ差の惜しい2着。出遅れは致命的に見えたが、4コーナーで馬群が圧縮されて直線での決め手勝負になったことで持ち前の末脚の切れ味を生かせた。切れ味優先の外差し馬場、勝ちタイムが早くならなかったことも良かったのだろう。最近は惨敗が目立つようにムラな面があるが、G3以下の芝1600mで良馬場なら[2−2−0−2]と堅実。今後のこの条件が揃ったときは注意したい。昨年のマイルCSは後方2番手から追い込んで0.4秒差の6着。色気を出さずに一発狙いに徹して展開が嵌れば、馬券圏内の可能性がある。

マイケルバローズは後方からメンバー最速タイの33.7秒で追い込んで0.1秒差の3着。直線でずっと前が詰り気味で最後まで目一杯に追えなかった。勝浦騎手は「スムーズなら勝っていた」とコメント。朱鷺Sで直線一気を決めたのはダテではなく、立て直したことで完全に調子が戻ったようだ。勝浦騎手は東京での追い込みはテレグノシスで何度も経験しており、末脚の引き出し方をよく知っている。マイケルバローズは8歳ということもあり、好走しても人気にならない。外差し馬場で嵌りそうなときは注意。

ザレマは好位からしぶとく伸びて0.1秒差の5着。外枠スタートから終始外を回り、直線で外から馬群に飲み込まれそうになったが、そこから内田博騎手の鞭に応えてしぶとく伸びてきた。前に行って掲示板に載ったのは、この馬だけ。次走のマイルCSを意識して馬体が14キロ増えていたことを考えると上々の内容。芝1600mは[2−2−1−4]で5着以内を確保。調子が落ちなければ、この距離で大きく崩れることはなさそうだ。ある程度前につけてしぶとい脚を使うダイワメジャーのようなタイプ。次走のマイルCSでは同厩のカンパニーが強敵になる。

ケイアイライジンは中団から伸び切れず7着。直線で外から一瞬伸びかけたが、最後は切れ負け。直線で他馬に乗りかかられてバランスを崩したことが応えている。まともならもう少しやれたはずだ。京成杯AHは出遅れて0.3秒差の4着。今回は直線で不利があって0.2秒差の7着。結果は出なかったが、古馬に揉まれたのはいい経験になったはず。切れ味勝負により、消耗戦に強いタイプ。激戦になりそうなときは要注意。

マイネルファルケは2番手追走から直線で先頭に立ったが、ラスト1Fで一杯になり9着。マイルで逃げたときは4戦4勝だが、今回はマイネルスケルツィにハナを切られて自分のペースで行けなかったことが応えた。2頭は同じ馬主だが、戦略はないようだ。松岡騎手の呆れたようなコメントが印象的。次走は叩き3戦目でまだ上積みが見込める。マイルで逃げられそうなときは注意したい。

サンカルロは大外を回って早めに上がってきたが、直線で伸び切れず11着。直線で一瞬見せ場を作ったが、3歳馬の中では最も重い56キロを背負って大外18番枠では、さすがに厳しかった。NHKマイルCで斜行して降着になったため、吉田豊騎手が他馬に不利を与えないように乗ったこともある。春より馬体が成長し、馬の気配は良くなっていた。相馬眼的にこれから力をつけてきそうな馬。

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