菊花賞
レース回顧

スリーロールスは1枠1番スタートから内ラチ沿いの好位を進み、直線でリーチザクラウンとヤマニウイスカーの間を割って一気に抜け出して大きく外に寄れたが、最後はフォゲッタブルの追撃を完封してレースを制した。0歳の浜中騎手はG1初制覇。連対した2頭は内枠スタートから内をロスなく回っており、外枠から外を回った馬は全滅状態。道中ロスなく回ってきたことが功を奏したのは確かだが、リーチザクラウンが飛ばしてスタミナの問われる流れになっただけにそれだけではない。ダンスインザダーク産駒でかなりのスタミナがある。陣営は菊花賞を目指して早めに休養し馬体の成長を促したが、それが実を結び、ここにきて馬体のバランス、馬の雰囲気がかなり良くなっていた。G1は狙って獲るもの。人気はなかったが、まさに狙いの一戦だった。04年の菊花賞はダービー馬不在(キングカメハメハ)で、ダービー2着馬のハーツクライ(武豊騎手、橋口厩舎)が1番人気になったが、勝ったのは前走1000万条件を勝ってきたダンスインザダーク産駒のデルタブルース。今回もこれと全く同じパターン。ダンスインザダーク(菊花賞馬)が橋口厩舎の管理馬だったというところが面白い。混戦の年はダンスインザダーク産駒に要注意。今後は有馬記念に直行する予定。今回の好走がフロック視される可能性があるが、95年には好位から抜け出して菊花賞を勝ったマヤノトップガンが有馬記念を逃げ切っている。スタミナが問われる流れなら侮れない。

フォゲッタブルは内ラチ沿いの中団から直線でメンバー2位の35.0秒で伸びてハナ差の惜しい2着。持ち前のスタミナで最後にしぶとく伸びて突っ込んできた。生田特別→阿賀野川特別→トライアル3着→菊花賞というステップは昨年のオウケンブルースリと同じ。来年もこのステップできた馬がいれば要注意。芝2000mでは不甲斐ないレースをしていたが、芝2200m以上では[2−1−1−1]と堅実だった。リーチザクラウンが飛ばしてスタミナの問われる流れになったことが良かったのだろう。父ダンスインザダーク、母は名牝エアグルーヴという良血馬。スタミナの問われる長丁場で良血が開花した。まだ中距離では信頼度は高くないが、長丁場なら堅実に走りそう。ただし春から休みなく使われ、今回は目一杯に仕上げられたため、次走は状態面に注意したい。

セイウンワンダーは道中7番手を進み、直線でフォゲッタブルと接触して外に寄れたが、そこからしぶとく伸びて3着。朝日杯FSの勝ち馬が距離の全く違う菊花賞で好走したのだから大したもの。芝2400mの神戸新聞杯で善戦していたことからもスタミナがあるのだろう。母系に菊花賞御用達血統のリアルシャダイが入った馬。昨年2着馬フローテーションに続き、今年も激走した。リアルシャダイの血が入った馬は今後も要注意。今回は道中少しスムーズを欠いており、もう少し福永騎手が上手く乗っていれば勝ち負けに加われたかもしれない。距離はこなせるが、朝日杯FSを勝ってから3着止まりが続いている。陣営が今後どこに適性を求め、どの距離を使ってくるのか注目したい。

イコピコはスタートで躓いて道中は後方3番手。勝負どころでも動けず、直線で大外を回ってメンバー最速の34.8秒で追い込んできたが、0.4秒差の4着が精一杯。外を回った馬が壊滅状態になる中、凄い脚で伸びてきた。先週の秋華賞でブエナビスタが降着したこともあり、四位騎手は安全策で外を回したが、内を突いていれば馬券圏内があったかもしれない。神戸新聞杯で直線一気を決めたのはダテではなく、かなりの能力がある。今回は4着に終わったが、1頭だけ目立つ脚を使ったことはしっかりと記憶しておきたい。来年の天皇賞(春)は面白そうだ。次走はジャパンCに向かう予定。狙い目はありそうだ。

リーチザクラウンは逃げて自分の競馬に徹したが、直線で一杯になって5着。5F通過は59.9秒−63.2秒−60.8秒で走破タイムは3分3秒9。98年に逃げ切ったセイウンスカイは59.6秒−64.3秒ー59.3秒で3分3秒2、06年に逃げて3着のアドマイヤメイン(武豊騎手)は58.7秒−63.5秒−60.8秒で3分3秒0。ハイペースで飛ばしたアドマイヤメインよりはまともな流れだったが、それでも中盤の5Fは少し早い。もっと中盤のラップを落としてラスト5Fを59秒台でまとめられればといったところ。ただしこういう逃げを打つことが、他の騎手にバレていたことでやりにくかった面もある。距離はこなせるが、現時点では折り合い面に課題があり、長い距離では最後のひと伸びがない。今後は色々な条件を使って適性を見極めることになりそうだ。

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