天皇賞(秋)
レース回顧

カンパニーは中団の内で脚をタメ、直線でスクリーンヒーローの外から抜け出してレースを制した。横山典騎手は直線でスクリーンヒーローが抜け出すとみて直後を尾行しスムーズに捌いてきた。05年のジャパンCを勝ったアルカセットのデットーリ騎手もウィジャボードの直後を尾行しスムーズに捌いて勝っている。横山典騎手は今年41歳になったが、また腕を上げたのではないか。ヘヴィンリーロマンスが勝った05年の天皇賞(秋)で横山典騎手はゼンノロブロイ2着、北村宏騎手はダンスインザムード3着で悔しい思いをしている。東京芝2000mでスローならどう乗ればいいのか心得ているのだろう。JRAは2頭を内枠に入れていた。前半5F59.8秒の緩い流れで上がり3Fはメンバー最速タイの32.9秒。この流れで勝ちタイム1分57秒2は優秀。これで昨年秋以降、前半5Fが59.1秒以上なら[3−1−0−0]。緩い流れでの上がり勝負では連対を外していない。今回は緩い流れ、内枠と条件が揃ったこともあるが、8歳馬でも衰えがないことを証明した。8歳馬の平地G1制覇は史上初。G1制覇によって種牡馬入りすることが決定した。次走のマイルCSがラストランになる。過去2年は追い込んで5、4着。条件が揃えば、G1連覇もありそうだ。

スクリーンヒーローは内ラチ沿いの2、3番手を進み、4コーナーから直線で少し外に出して追い出すとしぶとく伸びて2着を確保。北村宏騎手が内枠スタートからほぼ完璧に乗ったが、カンパニーの切れ味に屈した形。最後はウオッカに迫られたが、持ち前の勝負根性で抜かせなかった。昨年のジャパンCでもしぶとく伸びてディープスカイを完封している。芝2000mの実績、持ちタイムがなく、春不振に終わったことから人気はなかったが、だいぶいい時の状態に戻っていたし、元々東京のスローの上がり勝負に強いタイプ。ジャパンCの後半の走り、宝塚記念の走りから距離はこなせるとみていたが、その通りだった。鹿戸厩舎の管理馬は走りに前向きで集中力のある馬が多い。今後も鹿戸厩舎の管理馬には特に注意を払いたい。次走のジャパンは、休み明けを使われた上積みが見込め、距離延長もプラスに働く。好位から高速ラップでまとめられるタイプ。今年も流れが向くようなら連覇の可能性がある。流れが速くなったときは真価が問われそうだ。

ウオッカは後方から馬群を捌いてメンバー最速タイの32.9秒で上がったが、最後はスクリーンヒーローを交わせずに3着が精一杯。スタート後に武豊騎手が少し控えたことで外から一気に上がって来られて位置取りが悪くなったことが応えた。ラスト1Fでブレーキをかけて外に持ち出し、そこから内に切れ込んで伸びてきたが、これだけ上がりが早いとさすがに厳しい。中団あたりにつけられれば、カンパニーと叩き合いに持ち込めたのではないか。それでも直線で馬なりのまま好位に上がってきた姿には凄味があり、レース内容は決して悪くない。今回は最終調教で馬を戦闘モードに入れていなかったように、秋の最大目標は次のジャパンCなのだろう。後方で折り合って追い込む競馬をしたことはジャパンCでプラスに働く。毎日王冠ではカンパニーに切れ負けしたが、タメれば切れることをあらためて証明。ジャパンCでは豪快な大外一気が見られそうだ。

オウケンブルースリは中団の後ろから伸びてきたが、3着に3馬身差の4着。直線で前が詰って追い出しが遅れるロスがあり、完全に脚を余した。前の3頭には水をあけられたが、スムーズな競馬ができていれば3着争いに加われたのではないか。スローの上がり勝負より、スタミナの問われる消耗戦に強いタイプ。東京ではジャパンC5着、天皇賞(秋)4着と結果が出ていないが、どちらもスローの上がり勝負だったことは考慮しておきたい。長期休み明けを使われたことで馬体は引き締まってスッキリしていた。次走のジャパンCは適度に上がりの掛かる消耗戦になれば面白そう。4歳馬の代表として頑張ってもらいたい。

シンゲンは中団から伸び切れず5着が精一杯。この馬なりにいい脚を使っているが、切れより地力タイプでスローの上がり勝負は得意ではない。心肺機能が高くスピードの持続力があるだけにもう少し流れが速くなっていればといったところ。ここを目標に仕上げられて、パドックでは馬体の張り、気配が目立っていた。レース後に右トウ骨遠位端骨折が判明。今後は治療に専念して復帰を目指す。

ドリームジャーニーは後方2番手からメンバー3位の33.4秒で伸びて6着。馬群に突っ込んでしぶとく伸びてきたが、さすがにこの流れで後方2番手からでは厳しかった。夏に調子を上げるタイプで7〜9月は[5−1−0−0]と崩れたことがないが、今回は調教でいつもより前脚の可動域が狭く、少し脚捌きが硬く映った。直線でガツンと伸びなかったのはそのあたりもあるのだろう。

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