エリザベス女王杯
レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[2−3−0−5]で5連対。単勝1倍台の断然人気馬は[2−1−0−0]で連対率100%。ただし今年8月以降の平地重賞で単勝1倍台の1番人気は[0−3−1−1]で未勝利。ブエナビスタ、レッドディザイア、ウオッカが負けている。賢い人は断然人気馬を外した単勝で儲けている。2番人気は[4−3−2−1]で7連対、3番人気は[1−1−0−8]で2連対。連対馬20頭のうち18頭が5番人気以内。毎年1、2番人気のどちらかが必ず連対している。

秋華賞を勝った3歳馬が1番人気になることが多いが、2年連続で秋華賞馬の出走はない。2番人気は00年にトゥザヴィクトリーが4着に終わった以外は3着以内を確保しており、1番人気より堅実。毎年1、2番人気が連対するため、馬連は万馬券はなく荒れても中穴止まり。10倍台までが6回と堅く収まることが多い。昔から2年連続して連対する馬が非常に多い。過去10年の傾向から秋華賞組は4番人気以内に支持され5着以内、府中牝馬S組は5番人気以内に支持され3着以内に好走していることがひとつの目安になる。

今年のメンバーで秋華賞4番人気以内で5着以内を満たす馬は、ブエナビスタ、ブロードストリート、ミクロコスモス。府中牝馬S5番人気以内で3着以内を満たす馬はいない。府中牝馬Sは前崩れの展開になり1〜4着は後方から追い込んだ馬。5番人気以内に支持された馬はリトルアマポーラ5着、カワカミプリンセス6着、ニシノブルームーン7着で3頭とも外枠から先行したもの。その点を考慮する余地はある。フランスからはキャリア4戦でオペラ賞(牝馬限定G1、芝2000m)を制したシャラナヤ(3歳)が出走する。

ブエナビスタは[5−1−2−0]で上がり3Fは全てメンバー最速。秋華賞は中団の内から捌いてメンバー2位の34.3秒で上がったが、レッドディザイアにハナ差の2着(3位降着)。これまでとは違い、内から捌いてきたが、直線では馬群を捌くだけで精一杯。最後まで鞭を一発も入れられなかった。直線ではレッドディザイアの外に出すロスもあった。このあたりを考えると負けて強しの内容。末脚の切れる馬にこういう競馬をされると死角がなくなる。パドックでは相変わらず物事に動じず、落ち着き払っていた。

今回は京都外回りの芝2200mで秋華賞よりレースはしやすい。能力的に古馬が相手でも問題ない。まともならあっさり差し切るのではないか。ただし、また他馬に不利を与えて降着というは避けたいため、いつものように大外から追い込む可能性が高い。最悪なのはゆったりとしたペースで縦長の隊列になった場合。04年のスイープトウショウはこのパターンで追い込んで5着に沈んでいる。安藤勝騎手の全てが試される一戦。勝ったらジャパンCで「夢の対決」を実現して欲しい。競馬の注目度も売り上げもアップする。

ブロードストリートはローズSを1分44秒7でレコード勝ち。秋華賞は出遅れて後方2番手から内を突いて追い込んで0.2秒差の3着(繰り上がり2着)。スタートを決めて陣営が思い描いていた競馬ができれば、レッドディザイアに迫ったかもしれない。不利を受けた後、強引に内に切れ込んだが、進路を譲った武豊騎手は翌週8勝したが、藤田騎手は16戦未勝利に終わった。ブロードストリートは競馬センスのいい馬で自在性があり、末脚がしっかりしている。今回は距離延長が課題も藤田騎手次第で馬券圏内がある。

シャラナヤはオペラ賞の勝ち馬で勝てば、褒賞金として9000万円が支給される。小柄な牝馬(11月6日、417キロ)だが、オペラ賞の大外から直線一気は凄かった。VTRを見た人はブエナビスタとの末脚比べが楽しみと思ったはずだ。馬主はアーガー・ハーン4世で来年から騎乗契約が決まっているルメール騎手が騎乗する。ルメール騎手は昨年のエリザベス女王杯をリトルアマポーラで制している。日本の馬場向き、京都外回り向きの馬を連れてきたのではないか。オペラS3着のミッドデイはBCフィリー&メアターフを制している。

府中牝馬Sで派手な差し切りを決めたムードインディゴ、昨年の勝ち馬で今年はスミヨン騎手が騎乗するリトルアマポーラ、昨年の2着馬カワカミプリンセス、古都Sで大外一気を決めたメイショウベルーガも人気になりそう。レインダンスは秋華賞2着(ウオッカに先着)があり、昨年のエリザベス女王杯は馬場の荒れた内から追い込んで5着。生産・社台ファーム、馬主・吉田照哉氏は、天皇賞(秋)2着のスクリーンヒーローと同じ。厩舎は「帰厩して日が浅い、まだ体が太い、息遣いが悪い」とコメント。何か匂う。

[Home]