エリザベス女王杯
レース回顧

クィーンスプマンテは前半5F60.5秒で大逃げして直後にテイエムプリキュアといった展開。3コーナー手前からペースアップして2頭で後続を大きく引き離し、直線に向いたときはセーフティリード。最後はテイエムプリキュアを突き放してレースを制した。3番手につけたリトルアマポーラのスミヨン騎手が動かなかったことで前残りの展開になった。上がり3Fは36.8秒で3着ブエナビスタはそれを3.9秒上回る32.9秒。勝ちタイム2分13秒6も平凡。3番手以下が追いかけていれば、クィーンスプマンテとテイエムプリキュアは掲示板に載れなかった可能性が高い。ただしこれが競馬。陣営はこういう展開を予想して自信があったようだ。最終調教では追走して遅れて調子が悪いように演出。3番手以下はブエナビスタが上がってくるのを待ったこともあるが、クィーンスプマンテは全くのノーマークだった。例年のエリザベス女王杯と比べるとレースのレベルは低い。次走は香港カップに出走する予定。強気の逃げでどこまで踏ん張れるか。

テイエムプリキュアは2番手からしぶとく粘って2着。ゴール前でブエナビスタが凄い勢いで伸びてきたが、ギリギリで2着を確保した。日経新春杯を49キロの軽ハンデで逃げ切って大穴をあけたが、今回は定量56キロで2番手からの粘り込んだ。展開に恵まれたことがかなり大きいが、日経新春杯で引退するのを止めた6歳牝馬がよく頑張っている。最近馬券に絡んだ3戦は、全て京都外回りの芝2200〜2400m。直線が長く差し追い込みが決まりやすいコースという騎手心理がこの馬にはいい方に働くようだ。次走は日経新春杯に向かう予定。

ブエナビスタは後方から外を回って早めに動いて4コーナーで3番手に押し上げ、メンバー最速の32.9秒で上がったが3着が精一杯。向こう正面でカワカミプリンセスの横山典騎手がこれでは逃げ切られると気付いて動き始め、その後ろからブエナビスタも動いて上がって行ったが、直線に向いたときは前の2頭とは絶望的な差がついていた。安藤勝騎手は前の2頭がどれくらい引き離して逃げているのかが全く分からなかったようだ。断然人気で勝ちに行かないといけない立場だが、安藤勝騎手にそういう認識はなかったようだ。大外を回って押し上げ、いい脚を長く使い、かつ直線で弾けるように伸びように能力は見せたが、位置取りが悪過ぎた。パドックでは馬体の張りが良くなり、踏み込みに力強さが出てかなり調子を上げていた。この秋は断然人気で2、3、3着と惜敗が続いている。桜花賞、オークスを制しているが、デビューからまだ一度もまともな競馬をしていない。次走は有馬記念に向かう予定。トリッキーな中山で乗り難しいが、能力は古馬混合G1でも通用する。まともな競馬をすると大きくパフォーマンスを引き上げる可能性があることを付け加えておく。

シャラナヤは中団から33.4秒で伸びてきたが、ブエナビスタに3馬身半差の4着。最後はいい脚を使っただけにこんな展開でなかったら馬券圏内があったかもしれない。416キロの小柄な牝馬だが、欧州の走る馬独特の雰囲気があった。今後は登録しているジャパンCは回避して来年に備えるようだ。

メイショウベルーガは中団からメンバー3位の33.3秒で伸びて5着。いつもより前につけたが、直線に向いたときは既に勝負は決していた。まだ重賞で馬券圏内に入ったことはないが、少しずつ力をつけている。直線が長いコースで展開が嵌りそうなときは注意したい。

ブロードストリートは後方からメンバー2位の33.2秒で伸びて6着。もっと前に行ける馬だが、今回も位置取りが悪く、追い込む競馬になった。この展開で4コーナーで後方は致命的。それを考えるとよく追い上げている。相馬眼的に評価できる馬でまだ成長が見込める。来年は牝馬限定重賞で活躍できそうだ。

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