マイルCS
レース展望
秋のマイル王決定戦。過去10年で1番人気は[4−2−0−4]で6連対。G1馬は[4−0−0−2]で連対を外した2頭は6歳馬。4、5歳のG1馬なら[3−0−0−0]。G1勝ちのない馬は[0−2−0−2]で2着止まり。2番人気は[0−2−2−6]で2連対、3番人気は[1−2−0−7]で3連対だが、連対馬20頭のうち18頭が5番人気以内と上位人気馬が堅実。馬連は10番人気以下が連対した00年と02年に万馬券が出たが、それ以外は5番人気以内の決着で荒れても30倍台までに収まっている。
過去10年で前走天皇賞(秋)は[4−4−2−18]で8連対。6着以下に敗れた馬でもマイル実績のある馬は巻き返している。ちなみに1986年以降、前走天皇賞(秋)を勝った馬はニッポーテイオー、ダイワメジャーともに勝っている。カンパニー陣営には心強いデータ。開催終盤で馬場の内側が荒れているため、過去10年で1枠は[0−0−3−17]、2枠は[0−0−1−19]で連対がなく不振が続いている。ただし昨年同様、今年も今週からB→Cコースに変更される。内枠が不利にならない可能性があるので注意。
今年のメンバーで古馬G1、G2を勝った日本馬は、カンパニー(天皇賞(秋)、G2は6勝)、ファイングレイン(高松宮記念)、スズカコーズウェイ(京王杯SC)の3頭しかいない。天皇賞(秋)を勝ったカンパニーが出走するが、例年に比べると日本馬のメンバーレベルは低い。天皇賞馬カンパニーがG1馬の貫禄を見せつけるのか、それとも今後のマイル戦線を担う新たなスターが誕生するのかどうか。外国馬はエヴァズリクエスト(ムンロ騎手)、サプレザ(ペリエ騎手)が出走予定。手に汗握る好レースを期待したい。
カンパニーは毎日王冠、天皇賞(秋)を連勝。前半5Fはそれぞれ60.0秒、59.8秒の緩い流れで上がり3Fは33.0秒、32.9秒でどちらもメンバー最速。2戦とも内枠だったことも良かったのだろう。昨年秋以降、前半5F59.0秒以下では[0−0−0−4]で全てG1で4着に終わっているが、59.1秒以上では[3−1−0−0]と崩れていない。スローの上がり勝負に強いタイプだが、過去5年のマイルCSの前半5Fは58.4秒、57.1秒、57.5秒、58.0秒、57.9秒で流れが緩んだことはない。
先週の時点では確たる逃げ馬はいなかったが、回避馬が出てマイネルファルケ(芝1600mで逃げたときは4戦4勝)が滑り込んだ。カンパニーは芝1600m[3−1−0−7]で前半5F57.3秒の関屋記念、58.8秒のマイラーズCを勝っている。流れが速くても自分の位置取りで調整できるタイプだが、多頭数で位置取りが悪くなると差して届かないケースが考えられる。実際、マイルG1では5、11、5、4、4、4着(11着は不利あり)で後方から追い込んで届かず、勝ち馬に0.3秒差というレースが続いている。
このあたりを横山典騎手がどう考えて克服させることができるのかどうかが焦点。枠順、馬場状態も影響してきそうだ。天皇賞(秋)は毎日王冠を勝ったのにも関わらず5番人気で各騎手はノーマークだったが、今回は1番人気でマークされる。これまで通り4着の指定席に戻る可能性がなきにしもあらず。1986年以降のマイルCSで7歳以上は[0−0−0−26]で昨年4着のカンパニーが最高。ただし、これまで1番人気になった馬はいない。カンパニー史上初めて8歳で平地G1を制した馬。今回もおじさんパワー全開か。
ザレマは芝1600m[2−2−1−4]で5着以内を確保。距離が長いとズブさを出すため、芝1400〜1600mが合う。京成杯AHを1分32秒1の好タイムで重賞初制覇。追える内田博騎手は合っている。富士Sは0.1秒差の5着に終わったが、終始外を回ったことことを考えると内容は悪くない。ある程度前につけてしぶとい脚を使うダイワメジャーのようなタイプ。富士Sでは馬体が14キロ増えていたようにマイルCSを意識した緩い仕上げだった。昨年は牝馬のブルーメンブラットが制している。音無厩舎は2頭出し。
ライブコンサートは芝1600m[5−3−3−6]で六甲Sと都大路Sを勝っている。安田記念では中団からしぶとく伸びて0.5秒差の5着に入った。4着カンパニーとは0.2秒差。和田騎手は「大きいところを狙える手応えが掴めた」とコメント。その後は不振が続いているが、休み明けの富士Sは9着でも勝ち馬とは0.3秒差。直線で前が空かずに完全に脚を余している。今年のG1で岩田騎手は[1−0−0−12]で皐月賞しか馬券に絡んでいないのは気になるが、ライブコンサートとは[2−3−1−1]の好相性。
ヒカルオオゾラはエプソムCと関屋記念で2着に好走したが、京成杯AHは9着、カシオペアSは5着に終わった。京成杯AHは消極的な騎乗、カシオペアSは馬場悪化が応えている。芝1600mは[4−2−0−2]で京都芝1600mは2戦2勝。折り合いが難しく、大飛びで器用さがなく、体型的に一気にトップギアに入らないため急激なラップ変化に弱いタイプが、裏を返すと京都外回りのハイペースは合う。実際、前半5F56.6秒の朱雀Sを1分32秒5で圧勝している。鞍上は先週の女王杯で大逃げを演出したスミヨン騎手。
富士Sの勝ち馬アブソリュート、関屋記念の勝ち馬スマイルジャック、京王杯SCの勝ち馬スズカコーズウェイ、朝日CCの勝ち馬キャプテントゥーレ、昨年の3着馬ファイングレイン、富士S2着のマルカシェンク、3歳馬はニュージーランドTの勝ち馬サンカルロ、ラジオNIKKEI賞の勝ち馬スロトングガルーダ、朝日杯FSの2着馬フィフスペトルなど、かなりの混戦メンバー。今年は重賞未勝利のマイネルキッツが天皇賞(春)、8歳馬のカンパニーが天皇賞(秋)を制した。データは通用しない年。今回のサプライズは何か。
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