マイルCS
レース回顧
カンパニーは内枠スタートから内の7番手を進み、直線で内から一気に抜け出してレースを制した。上がり3Fはメンバー2位の33.5秒。マイネルファルケが単騎で逃げて前半3F34.8秒、5F58.7秒の緩い流れ。ある程度前につけた馬が上位を独占した。道中はスペースがなくらならないように同厩のザレマ(内田博騎手、ジャパンCで同厩のオウケンブルースリに騎乗)が内に馬が来ないようにブロック。その作戦が見事に功を奏し、直線でポッカリ空いた内から楽々と抜け出してきた。これで3戦連続緩い流れの切れ味勝負で内枠スタートから差し切り勝ち。馬主の近藤夫妻は今年獲得賞金が少なかったが、カンパニーの3連勝で帳尻を合わせた。安田記念の回顧で「パドックではパワーアップした馬体をキープし、8歳馬ながら本格化を窺わせた」と書いたが、やはり本格化していたようだ。G1を勝てなかった馬がG1を連勝して種牡馬入り。まさに有終の美を飾った。今後は種牡馬として活躍を期待したい。どんな産駒を出してくれるのか楽しみだ。
マイネルファルケは内ラチ沿いを単騎で逃げて直線でしぶとく粘り0.2秒差の2着。前半4F目にラップを12.4秒に落とし、ラスト3Fは11.4−11.2−12.1秒。最後はラップが0.9秒落ちたが、何とか2着に粘り切った。芝1600mで逃げたときは[4−1−0−0]で連対率100%。今回は展開や緩んだ馬場に恵まれた面があったが、逃げるとしぶとい持ち味を発揮した。先週のエリザベス女王杯が前残りだったが、誰も追いかけず、この流れでは差し追い込み馬はお手上げ。1番人気のカンパニーが上がり勝負に強いタイプだけに緩い流れを嫌う騎手がいても不思議ないが、流れを乱す騎手はいなかった。社台RHのキャプテントゥーレが直線で外に寄れたのも不可解な動きだった。マイネルファルケは強さとモロさが同居するが、芝1600mで単騎で逃げれそうなときは注意したい。
サプレザは外枠スタートから好位につけて直線で外からしぶとく伸びて3着。ペリエ騎手が好位で流れに乗って直線で伸びてきたが、スパッと切れる脚を使えなかったのは、馬場が緩かったことが微妙に影響しているのだろう。勝ったカンパニーとは通ったコースの違いもある。レッドディザイアを小柄にしたような馬で機敏さが日本の馬場にマッチするとみていたが、ほぼ想定通りの走り。パドックでは小柄な馬らしく手足の軽い歩様で気配はまずまずだった。キャリア10戦の4歳馬。また来年遠征してくるかもしれない。
キャプテントゥーレは2番手を進みだが、直線で外に寄れるロスが響いて4着。川田騎手に馬場のいい外に出す指示が出ていたようだ。直線でかなり外に寄れて2着とはクビ+ハナ差。まっすぐ走っていれば2着だったかもしれない。前に行った馬に有利な展開、緩い馬場が得意な馬で雨が味方している。天皇賞(秋)は見せ場なく12着に終わったが、今回は恵まれた部分があったとはいえ、G1で4着なら悪くない。相手なりに堅実に走るタイプだが、G1を勝ち切るにはもうワンパンチ欲しい。
アブソリュートは後方からメンバー最速の33.0秒で追い込んで5着。最後は内から鋭く伸びてきたが、田中勝騎手が控え過ぎて位置取りが悪くなったことが応えた。前が残る流れで4コーナー後方2番手では届かなくて当たり前。輸送をクリアして仕上がりは良かっただけにもう少し流れに乗っていればといったところ。オープン入りしてからずっとマイル重賞を使われ、少しずつ地力が強化されている。来年の安田記念はメンバー次第でチャンスがありそうだ。
スマイルジャックは後方から馬群を捌いて伸びてきましたが6着が精一杯。直線でごちゃついて捌くのに苦労したが、それ以前にこの流れで位置取りが後ろ過ぎた。今年の重賞で三浦騎手は[1−0−2−45]で1連対のみ。G1では[0−0−0−11]で6着が最高であとの10回は全て2桁着順。人気を集まる騎手だが、G1で着順が人気を上回ることはほとんどない。その点は考慮しておきたい。スマイルジャックは芝1600〜1800mのG2、G3で狙いたい。
ヒカルオオゾラは3番手から伸び切れず7着。直線で一瞬見せ場を作ったが、緩い馬場で踏ん張りが利かなかったのか、いつもよりフワフワとした走りで伸び切れなかった。天気予報では雨は夕方まで降らない予報だったが、早めに振り出したことがマイナスに働いた。差す競馬もできるが、前残りを考慮してスミヨン騎手が前につけたのだろう。力はあるが、条件が噛み合わないレースが続いている。色々な条件を使うより、まずは勝ちパターンを馬に教え込んだ方が良さそうだ。
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