ジャパンC
レース展望
過去10年で1番人気は[3−2−4−1]で5連対。日本馬は[3−2−4−0]で複勝率100%。勝った3頭はテイエムオペラオー、ゼンノロブロイ、ディープインパクトでいずれに古馬混合G1勝ちのある4歳馬。創設以来、外国馬の1番人気は[0−1−2−7]で1連対のみ。過去10年で2番人気は[2−2−2−4]で4連対、3番人気は[1−0−1−8]で1連対のみ。03年以降、5番人気以内の決着が続いていたが、昨年は9番人気のスクリーンヒーローが勝ち、波乱になった。馬連は30〜70倍台の中穴決着が多い。
連対した日本馬16頭のうち9頭にG1勝ち、残る7頭のうち6頭にG1で2着があった。昨年はG1実績のないスクリーンヒーロー(前走AR共和国杯1着)が勝ったが、スローの上がり勝負だった。絶対にないとは言えないが、G1連対のない馬では厳しい。上がり3Fメンバー最速の末脚を繰り出した日本馬は[4−2−0−3]で6連対。9頭全てがダービー連対馬で、9頭のうち8頭はダービーでメンバー最速の末脚を繰り出していた。ダービーと同じ東京芝2400mで1、2番人気に支持され、差し追い込みを決めることが多い。
最近5年の連対馬10頭のうち7頭が上がり3Fメンバー1、2位。最近は早い上がりを繰り出した馬が連対することが多い。地区別では関東馬[2−0−3−20]、関西馬[6−7−4−56]、地方馬[0−1−0−4](全てコスモバルク)、外国馬[2−2−3−50]。地の利を生かせる日本馬が優勢で関西馬が13連対と大活躍。関西馬は5番人気以内[6−7−3−19]に対し、6番人気以下[0−0−1−37]で連対なし。5番人気以内の関西馬に注目したい。外国馬は日本の高速馬場に対応できるかどうかがポイント。
日本馬のG1馬はウオッカ(天皇賞秋、安田記念など6勝)、スクリーンヒーロー(ジャパンC)、マイネルキッツ(天皇賞春)、エイシンデピュティ(宝塚記念)、アサクサキングス(菊花賞)、オウケンブルースリ(菊花賞)、レッドディザイア(秋華賞)、コスモバルク(インターナショナルC)で13頭のうち8頭がG1馬。外国馬はインターパテイション(米)、コンデュイット(英)、ジャストアズウェル(米)、シンティロ(英)、マーシュサイド(米)で5頭全てがG1馬。全馬が不利なく力を出し切る好レースを期待したい。
ウオッカは東京芝[5−3−2−1]の巧者。東京芝2400mは[1−0−1−1]でダービーをメンバー最速の33.0秒で圧勝している。07年のジャパンCは最後方からメンバー最速の33.6秒で追い込んで0.2秒差の4着。上がりの競馬で最後方ではさすがに厳しかった。エリザベス女王杯取り消し後で四位騎手が大事に乗ったのだろう。昨年のジャパンCは3番手で折り合いを欠き、直線で沈みかけたが、しぶとく伸びて0.2秒差の3着。前半5Fは毎日王冠が59.3秒、天皇賞(秋)が58.7秒、ジャパンCが61.8秒。
前2走とは全く違う流れで道中ずっと掛かったことが敗因。これまで芝2200m以上は[1−0−1−4]に対し、芝1600mは[7−2−0−0]で連対率100%。東京芝1600〜2000mでは[4−3−1−0]だが、前半5F59.0秒以下は[4−0−0−0]で勝率100%に対し、59.1秒以上は[0−3−1−0]で勝ったことがない。芝1600mの実績から見ても根がマイラーなのだろう。ただし東京芝2400mはダービーで強い勝ち方をしているし、前2年のジャパンCは力を出し切って負けた訳ではない。
この秋は毎日王冠2着、天皇賞(秋)3着に終わったが、前半5Fは60.0秒、59.8秒でこれまで勝ったことのない緩い流れだった。毎日王冠は休み明けで57キロを背負って逃げ、天皇賞(秋)はスローの上がり勝負で後方からの追い込みではある意味負けて当たり前。天皇賞(秋)の最終調教では戦闘モードに入っていなかった。今年のウオッカの最大目標は日本牝馬初のジャパンC制覇なのだろう。前2走が昨年とは違う緩い流れ、ルメール騎手に乗り替わることで今年は折り合えるのではないか。JRAはまた内枠に入れてきた。
コンデュイットはこれまで14戦して[7−2−3−2]でG1は[4−0−1−1]。今年はキングジョージを制し、凱旋門賞はシーザスターズに0.4秒差の4着。最後は外から鋭く伸びていた。その後、米に遠征してブリーダーズカップターフを2年連続2分23秒台で走って連覇。左回りは4戦4勝、芝2400mは[4−1−0−1]で凱旋門賞以外は連対を確保。母系にはフサイチコンコルド、アンライバルドの母バレークイーンに繋がる血が流れており、芝2400mの持ちタイムからも日本の馬場をこなす下地はありそう。
今回はフランスに遠征して凱旋門賞、アメリカに遠征してブリーダーズカップターフを使い、一旦英国に戻ってから日本に輸送して中2週でジャパンCという過密スケジュール。力を出せる状態にあるのかどうか、よく見極めたい。マイネル軍団の岡田氏が種牡馬として既に購入しており、来春からビッグレッドファームで種牡馬入りすることが決まっている。93年にブリーダーズカップターフを勝ってジャパンCで2着したコタシャーンも岡田氏の所有馬。デザーモ騎手のゴール板誤認事件はあまりにも有名。今回、岡田氏の馬は3頭出走する。
スクリーンヒーローはAR共和国杯1着、ジャパンC1着、天皇賞(秋)2着はいずれも緩い流れからの上がり勝負だった。並んだら抜かせない勝負根性があるが、流れが速くなったときにどこまで踏ん張れるか。距離&コースは合っている。オウケンブルースリは昨年5着に終わったが、スローの上がり勝負で直線では前が詰って立て直すロスがあった。前走の天皇賞(秋)は直線で前が詰って追い出しが遅れるロスがあり、完全に脚を余している。距離延長はプラス。脚質的にスローの上がり勝負より、速い流れで決め手勝負になった方がいい。
レッドディザイアは[3−3−0−0]で連対率100%。秋華賞では遂にブエナビスタを完封した。東京芝2400mではオークス2着がある。96年のジャパンCでは秋華賞馬ファビラスラフイン(松永幹騎手)がシングスピールにハナ差の2着に入っている。リーチザクラウンは前半5F60秒以上[3−2−0−0]、前半5F60秒以下[0−2−0−2]。自分のペースで進めたときは崩れていない。自分のペース=逃げとは限らない。武豊騎手は01年のエリザベス女王杯で逃げ先行タイプのトゥザヴィクトリーで直線一気を決めている。
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