朝日杯ＦＳ
レース展望
過去１０年で１番人気は［１−４−４−１］で５連対。前走重賞勝ち馬は［０−４−１−０］で０６年のオースミダイドウが３着に敗れた以外は連対を確保。逆に前走重賞で負けた馬は［０−０−２−１］で連対なく不振。１番人気は９８年から０３年までは全馬連対していたが、０４年以降は３、３、３、５、３着で３着が多い。２番人気は［４−１−０−５］で５連対、３番人気は［１−１−１−７］で２連対。０７年を除き１、２番人気のどちらかが連対している。最近４年の馬連は２５倍、３７倍、８２倍、１９倍で中穴決着が続いている。

連対馬２０頭のうち１８頭が前走３着以内。前走勝ち馬が１３頭と多く、勝った勢いで連勝することが多い。前走４着以下は［２−０−１−３０］で勝った２頭は前走重賞で１番人気に支持されていた。前走４着以下はこれが目安になる。中山芝１６００ｍの外枠はコースロスが大きく、多頭数になるほど不利になる。過去１０年で７枠は［０−０−２−１８］、８枠は［０−１−０−１８］と不振。唯一連対したのはデビューから無傷の４連勝、重賞２連勝中で１番人気に支持されたメイショウボーラー。人気馬が外枠に入ったときにどう考えるか。

過去１０年の連対馬の脚質は逃げ３先行５差し１０追込２。４コーナー１０番手以下だった馬は［１−０−３−４５］で１連対のみ。唯一勝ったのは、最後方から捲くったドリームジャーニー。３着はペールギュント、テイエムリキサン、マチカネホクシン。差し追い込み馬は４コーナー９番手以内につけないと厳しい。今年は野路菊Ｓの勝ち馬リルダヴァル、デイリー杯２歳Ｓの勝ち馬リディルが骨折でリタイア。相馬眼的に評価できる２頭が早々とリタイアしたのは残念だが、今年の３歳馬は層が厚くまだ相馬眼的に評価できる馬がいる。

ローズキングダムは新馬、東スポ杯２歳Ｓを連勝。新馬戦では１枠１番からロスなく立ち回ってヴィクトワールピサを完封。レースのラスト３Ｆは１１．６−１１．３−１１．３秒の尻上がり＆持続高速ラップだった。２着のヴィクトワールピサはその後未勝利、京都２歳Ｓを楽勝している。東スポ杯２歳Ｓは好位を進み、直線で外からトーセンファントムが来るのを待って追い出すとしぶとく伸びて最後まで抜かせなかった。キャリア１戦の馬とは思えないしぶとさだった。橋口厩舎は２歳時にキャリア１戦の馬を重賞に使うことは少ない。

これまで２戦はいずれもスローの上がり勝負だったため、流れが速くなったときに真価が問われそうだ。過去５年の朝日杯ＦＳの前半５Ｆは５７．４秒、５９．０秒、５８．９秒、５８．３秒、５８．８秒で流れは緩むことはほとんどない。ローズキングダムはスピードと自在性があるので対応できても何ら不思議ないが、速い流れの経験がない点がどう出るか。陣営は当初、リディルを朝日杯ＦＳに使う予定だった。来年の皐月賞を狙えそうな馬だが、今回の条件で死角があればそのあたりか。勝てば「バラ一族」悲願のＧ１制覇になる。

バラ一族のＧ１成績は［０−３−２−２８］で１番人気はなし、２番人気は［０−２−０−０］でローズキングダムの母ローズバドが秋華賞とエリザベス女王杯で２着に入っている。小牧騎手＆橋口調教師のコンビはＧ１で［０−０−３−１４］で３着止まり。１番人気では［０−０−１−０］、２番人気では［０−０−１−１］。１９８６年以降の２歳Ｇ１で橋口厩舎は［０−２−４−１５］で２、３着が多い。ローズキングダムは阪神ＪＦを勝ったアパパネと同じキングカメハメハ産駒。キングカメハメハ（社台）の種付け料は４００万円。

トーセンファントムは新馬、いちょうＳを連勝し、東スポ杯２歳Ｓはローズキングダムに競り負けてクビ差の２着。新馬戦は前半５Ｆ６１．６秒のスローペースだったため、勝ちタイムは分３５秒８と遅いが、バネの利いたフットワークで持続力のある末脚を見せた。２着のエーシンウェズンは次走京都芝１６００ｍの未勝利戦を前半５Ｆ５７．８秒のハイペースで逃げて１分３４秒２の好タイムで勝っている。いちょうＳは後方からメンバー２位の３４．０秒で外から一気に差し切った。札幌２歳Ｓ３着のアーバンウィナーを相手にしなかった。

東スポ杯２歳Ｓはローズキングダムに競り負けたが、上がり３Ｆはメンバー最速の３３．４秒と末脚は切れた。前半５Ｆ６１．１秒のスローペースで前に行った馬に有利な展開だったことを考えると負けて強しの内容。抜け出すときに一気に脚を使ってしまったぶん、ラストは１１．２−１１．８秒に落ちたが、これによって今後の課題は見えたのではないか。本番前に課題を洗い出せたことは大きい。今回は前が残りやすい中山でローズキングダムが出走するため、前２走のように後方に控える競馬にはならなそうだが、内田博騎手がどう乗るか。

父は初年度から皐月賞馬とダービー馬を出したネオユニヴァースで母はフサイチゼノン（弥生賞）、アグネスゴールド（きさらぎ賞、スプリングＳ）の半姉バースデイローズ。松田国厩舎は０５年にフサイチリシャールが東スポ杯２歳Ｓと朝日杯ＦＳを勝っている。フサイチリシャールと同様にトーセンファントムもセレクトセールで約１億円で取引された馬。馬主の島川氏はセレクトセールで高額馬を多数購入しているが、今年の重賞は［０−２−２−１６］で未勝利。先週の中日新聞杯のトーセンジョーダンは最後方からの競馬で４着に終わった。
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