有馬記念
レース回顧

ドリームジャーニーは出遅れて道中は後方2番手を進み、3、4コーナーで外から捲くって直線に向くと先に抜け出したブエナビスタを交わしてレースを制した。上がり3Fはメンバー最速の35.2秒。1986年以降の有馬記念で最も速い流れで追い込みが決まった。池添騎手の涙のガッツポーズが印象的。出遅れて後方からの競馬になったが、ハイペースの展開がズバリ嵌った印象。4つのコーナーがある小回りコースでは持ち前の機動力をフルに生かせる。本来は暑くなるに連れて調子を上げるタイプだが、秋はオールカマー、天皇賞(秋)の2戦に絞って使い、ここを目標にしてきたことが良かったのだろう。中山に輸送すると馬体が減ることが多いが、今回は馬体が4キロ増えて調教時点のボリューム感のある馬体をキープできていた。これで春秋グランプリ制覇を達成。朝日杯FSを勝った馬だが、年齢を重ねるごとにパフォーマンスを引き上げている。来年の春は天皇賞(春)と宝塚記念を目指す予定。グランプリ3連覇なるか楽しみだ。

ブエナビスタは1枠スタートから内の好位を進み、3、4コーナーで少し外に出して直線で抜け出したが、外からドリームジャーニーに差されて半馬身差の2着。上がり3Fはメンバー3位の35.8秒。交わされた後もしぶとく食い下がっており、完全に止まった訳ではないが、今回はドリームジャーニーに展開が向いた。リーチザクラウンが飛ばして前半5F推定58.4秒のハイペースでブエナビスタを除くと7着まで道中10番手以下を進んだ馬だった。それを考えるとブエナビスタはかなり強い競馬をしている。結果的にいつものように差す競馬なら勝っていたかもしれないが、この流れで好位から崩れなかったことでほとんど死角はなくなったとみたい。馬格はないが、相当な底力がある。末恐ろしい馬。馬体は8キロ減って少し細く映ったが、パドックではいつも通り落ち着き十分で堂々と周回していた。今後はひと息入れてドバイに遠征する予定。ドバイでウオッカとの対決が楽しみだ。

エアシェイディは最後方からメンバー2位の35.7秒で追い込んで3着。前の2頭には4馬身差をつけられたが、後藤騎手が追い込みに徹して3着に持ってきた。展開が嵌ったのは確かだが、パドックでは馬体の張り、気合乗りが目立ち、隙のない仕上げった。これまで12〜1月の中山芝では[2−3−1−0]、叩き3戦目は[1−3−0−0]。この時期は調子が良く、安定して走ることもあるのだろう。以前は芝1600mを中心に使われていたが、距離が長い方が安定して走れる。年が明けると9歳になるが、まだ衰えはない。後藤騎手は大きなところを獲らせたいとコメント。9歳馬のG1制覇を期待したい。

フォゲッタブルは後方から捲くってしぶとく伸びて3着に頭差の4着。外を回っていい脚を長く使ったが、切れより地力タイプだけにドリームジャーニー、エアシェイディに切れ負けした形。それでも3歳馬でこれだけやれれば上々。母エアグルーヴ、半姉にアドマイヤグルーヴがいる良血馬。夏には1000万条件を勝てなかったが、距離を延ばして良さが出てきた。春から休みなく使い込んだため、来年は反動が心配だが、上手く立て直せば天皇賞(春)を狙えそう。故障で引退に追い込まれた菊花賞馬スリーロールスのぶんまで頑張ってもらいたい。

マツリダゴッホは中団を進み、3コーナー手前から動いて4コーナーで先頭に立ったが、直線で一杯になって7着に終わった。道中内に入れられず外で折り合いを欠き気味だったが、蛯名騎手が外から一気に捲くって見せ場を作った。最後は止まったが、引退レースで馬体が12キロ増えてこれまで最高体重を更新していたこともあるのだろう。ここが勝負というより、馬体は引退モードだった。有馬記念制覇、オールカマー3連覇など、中山巧者として記憶に残る馬。今後は種牡馬として活躍を期待したい。

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