AJCC
レース回顧

ネヴァブションは内ラチ沿いの好位で脚をタメ、直線で逃げたシャドウゲイトで捕まえてレースを制した。上がり3Fはメンバー最速の34.7秒。昨年と同じようなレースでAJCCを連覇。伊藤正厩舎はAJCCを3連覇。外枠スタートから上手く内に入れてロスなく回ってきた横山典騎手の好騎乗。横山典騎手は今の中山ではどこを通ってどう動けば好走できるかがよく分かっている。1〜3着馬は全て道中内ラチ沿いをロスなく回ってきた馬。中山は馬場が荒れて内側の洋芝が剥げると内を通った馬が有利になることが多い。シャドウゲイトが途中から逃げて飛ばしたことでスタミナが問われる流れになったことも良かったのだろう。調教診断では「やれば動く馬だが、今回はいつもより手控えている。昨年の勝ち馬だけに派手に動かすと人気になることを考慮しているフシがある」と書いた。伊藤正厩舎はこれまで勝負レースで調教をやり過ぎて失敗していたことが多かったが、こういう調教で勝ったことは今後に繋がりそう。パドックを見る限り、絶好調という感じではなかったが、そのぶんまだ上積みが見込める。次走は日経賞に向かう予定。春の最大目標は宝塚記念になりそうだ。

シャドウゲイトは途中からハナを切って直線で後続を引き離したが、最後にネヴァブションに差されてクビ差の惜しい2着。近走は不振が続いていたが、前走の有馬記念は前半5F推定58.4秒のハイペースで4コーナーで先頭に立って見せ場を作った。今回は斤量が1キロ増えていたが、前半5F60.5秒で距離300m短縮。有馬記念と同じくらい走れば、このメンバーではこれくらいやれるということなのだろう。時計の掛かる荒れ馬場だったこともプラスだった。今年8歳になったが、久々にG2級のパフォーマンスを披露。展開や馬場など色々と条件はつくが、まだやれそうだ。有馬記念で惨敗したネヴァブションとシャドウゲイトの激走で有馬記念が高レベルだったことが裏付けられた。前に行って2着に粘ったブエナビスタは世界レベルの馬になる可能性がある。

トウショウシロッコは内ラチ沿いの7番手を進み、直線で内からしぶとく伸びて3着。直線で前が壁になる不利があったが、最後は3馬身半差をつけられた。1、2着馬より1キロ軽い57キロでロスなく回ってきたことを考えると完敗。冬場は馬体が絞れないこともあるが、最終調教、パドックを見る限り、仕上がりに問題はなかった。タメればそれなりに切れる脚を使えるが、色気を出して少し前に行くと詰めが甘くなる。中山芝2200mは得意コースで今回も崩れなかったことは評価できるが、重賞を勝つには展開、位置取りなどズバリ嵌らないと難しそうだ。

マイネルキッツは出遅れ気味のスタートで後方を進み、直線で大外からメンバー2位タイの35.1秒で追い込んで4着。スタートして松岡騎手が押してもダッシュがつかず、位置取りが悪くなったことが応えた。有馬記念でも馬体が6キロ増えて少し余裕があったが、今回はさらに6キロ増えていた。天皇賞(春)連覇を狙う馬が、この時期に59キロを背負うレースではさすがに仕上げないということなのだろう。スタートが遅い点は少し気になるが、馬体が仕上がって距離が延びれば一変がありそう。今後は日経賞から天皇賞(春)に向かう予定。

デルフォイは中団から伸び切れず6着。スタートが遅く、隣のトウショウシロッコが前に行って控えたため、流れに乗れず、位置取りが後ろになり、道中馬込みで揉まれ、直線でもごちゃついたことで力を出せなかった。叩き2戦目、距離延長と好材料が多かったが、これだけスムーズさを欠くとさすがに厳しい。最終調教の動きは良かったが、まだ馬は本格化していない。シックスセンスの半弟。本格化を待ちたい。

キャプテントゥーレは3番手を進んだが、直線で一杯になって11着。シャドウゲイトが逃げてスタミナの問われる流れになり、最後はバテていた。相手なりに堅実に走るタイプがこの負け方。2000mを超える距離が初めてでスタミナ不足を露呈した感じだが、馬体が12キロ減っていた影響もあったか。天皇賞(秋)でも惨敗しており、58キロが応えている可能性もある。今後はひと息入れて立て直す予定。

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