阪神牝馬S
レース回顧

アイアムカミノマゴは道中7番手を進み、メンバー3位の34.2秒で抜け出して2着に2馬身差をつけてレースを制した。前走のオーロCで牡馬を相手にメンバー最速の末脚で直線一気を決めたのはダテではなかった。心肺機能が高く、速い流れになっても簡単にはバテないタイプ。こういう馬は芝1400mが合う。昨年のフィリーズレビューではワンカラットに負けたが、今回ワンカラットは出遅れて自滅した。休み明けで55キロを背負ってテン乗りの秋山騎手で勝ったことは評価できる。芝1400mなら牡馬相手の重賞でもやれそうだ。2歳時から心肺機能が高そうな馬と言い続けてきた馬が重賞制覇。心肺機能が高そうな馬は追いかけて損がない。次走はヴィクトリアMに向かう予定。母は短距離馬でアイアムカミノマゴの実績からも距離延長はプラスではないが、一発狙いの乗り方をすると嵌る可能性があるので注意したい。

プロヴィナージュは中団を進み、直線で外からしぶとく伸びてラドラーダとの叩き合いを制し2着に入った。それほど切れる脚はないが、外を通った馬が伸びにくい力のいる馬場で持ち味のしぶとさを発揮した。芝1400mは初めてだったが、1分20秒台の高速決着に対応できた。パドックでは馬体の張りが目立っており、5歳になって充実期を迎えた印象。ここにきて一戦ごとにパフォーマンスを引き上げている。次走のヴィクトリアMは直線の長い東京コースのため、切れ負けの懸念が付きまとうが、昨年ブラボーデイジーが2着に粘ったように地力&しぶとさがあれば善戦可能。小島茂厩舎はブエナビスタが断然人気になったエリザベス女王杯をクィーンスプマンテで制している。

カノヤザクラは道中内をロスなく進み、直線で馬群を捌いてしぶとく伸びて3着。10番人気で穴をあけた。スプリント戦線で牡馬の一線級と戦ってきた馬。芝1400mでも普通に走れば、これくらいはやれる。最終調教ではまだ少し馬体を持ち余し気味だったが、ひと叩きされたことで馬体が引き締まり、動き、気配とも良くなっていた。これで芝1400mは[2−0−1−2]。最近は少しズブくなっているため、芝1400mの方に適性が傾きつつある。次走は未定だが、サマースプリントシリーズ3連覇を目指すのだろう。

ブロードストリートは中団からしぶとく伸びて4着。前走は休み明け、牡馬相手に57キロを背負って惨敗したが、今回はしぶとく伸びて地力を示した。他馬より1キロ重い57キロを背負い、距離が1F短かったことを考えると及第点の内容。最終調教とパドックを見る限り、まだ本調子にはなく、使いながら良くなっている段階。次走のヴィクトリアMは叩き3戦目で良くなってきそうだ。ローズSでレッドディザイアに勝った馬。完全復調すれば、ブエナビスタ、レッドディザイアが相手でも面白そうだ。

ショウナンラノビアは前半3F33.8秒、5F57.0秒で逃げて0.5秒差の5着。復帰後は惨敗が続いていたが、ようやく本来のハイペースの逃げで持ち味のしぶとさを見せた。外枠から仕掛けてハナを切ったことを考えるとよく粘っている。昨年のヴィクトリアM3着馬だが、ここで賞金を加算できなかったことで出走は厳しくなった。

ラドラーダは中団の外から伸びてきたが、直線でプロヴィナージュに競り負けて6着。外が伸びない馬場で外枠スタートから終始外を回ったことが応えた。最後はしぶとく伸びていただけにもう少し位置取りが前なら馬券圏内があったかもしれない。安藤勝騎手はテン乗りで結果が出ず、2戦目で好結果を出すことが多い。賞金的にヴィクトリアMは厳しくなった。相馬眼的に前向きさを失わないように馬体をパワーアップできれば、G1を狙える馬に育つ可能性がある。藤沢和調教師がどう仕上げてくるか注目したい。

ワンカラットは出遅れて後方2番手を進み、直線で大外からメンバー最速の33.8秒で伸びてきたが9着が精一杯。スタートが遅く、藤岡祐騎手も行く気がなく、後方2番手になった時点で終わっていた。フィリーズレビュー1着、阪急杯2着がある阪神芝1400m巧者。前走から馬体が引き締まってさらに気配が良くなっていたが、陣営は次のヴィクトリアMが本番という認識でいるようだ。藤岡祐騎手は重賞で人気になると何でそうなるの的な騎乗をすることが多いので注意。

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