桜花賞
レース展望

牝馬クラシックの第一弾。07年に阪神競馬場の新装に伴い、外回りコースに変更された。過去10年で1番人気は[3−3−2−2]で6連対。前走の上がり3Fが1位の馬は[2−3−0−0]で連対率100%だが、3位以下の馬は[0−0−1−2]で連対なし。08年に1番人気で8着に終わったトールポピーは前走上がりが4位だった。ちなみに今年1番人気になりそうなアパパネは前走上がり7位(重馬場)、アプリコットフィズは前走上がり3位。ただし今年は前走メンバー1位の上がりで勝った馬はいない。これは何を意味するのか。

2番人気は[2−1−1−6]で3連対、3番人気は[1−0−1−8]で1連対のみ。6番人気以下が9連対と多く、人気薄同士の決着が3回ある。馬連は10倍台までが5回あるが、50倍以上が2回、万馬券2回と波乱も多い。08年は12−15番人気で決着し大波乱になった。1番人気が崩れると人気薄が連対して荒れる傾向がある。前走チューリップ賞は[5−4−2−31]で9連対。最近はチューリップ賞で連対して桜花賞で3番人気以内に支持された馬が活躍している。今年のチューリップ賞連対馬はショウリュウムーンとアパパネ。

連対馬20頭のうち17頭が前走4着以内。前走大敗から巻き返したチアズグレイスは不良馬場、アローキャリーはハイペースの逃げと明らかな敗因があった。前走勝った馬が10連対と多いが、前走2〜4着に敗れた馬も7連対と多い。ただし最近5年の連対馬10頭のうち7頭が前走勝ち馬。最近は前走勝った馬が強い。外回りコース変更後は18−14番枠、15−18番枠、9−18番枠で決着。3年連続で大外18番枠が連対しており、外枠の馬の活躍が目立つ。ただし人気馬が外枠に入ったこともある。今年は馬場状態から見極めが必要。

アパパネは未勝利から3連勝で阪神JFを制覇。阪神JFは大外枠スタートから中団を進み、4コーナーでガラリと空いた内に潜り込み、メンバー2位タイの34.3秒で突き抜けた。最後もアニメイトバイオに半馬身差まで迫られただけに、そのまま外を回っていたら際どい争いになっていた。チューリップ賞は好位から直線で抜け出したが、外からショウリュウムーンに差されて2着。本番前の一戦で馬体は6キロ増えて少し余裕残し。蛯名騎手は目一杯に追っていなかった。重馬場で持ち前の瞬発力を生かし切れなかったこともあるのだろう。

前走チューリップ賞から連対した馬の前走着順は10、1、4、2、2、1、1、2、1着、これらの馬の前走人気は1、1、5、1、3、2、1、2、1番人気。最近はチューリップ賞連対馬が2番人気以内に支持されると堅実。前走の上がり3Fが7位というのが少し気になるが、データ的には有力。母は「栗東留学」の先駆者ソルティビッド(国枝厩舎)で今回も栗東入りして調整されている。先週は栗坂でこの日2番目に早い51.0秒を出している。ラスト2F目はこの日の最速タイとなる11.9秒。エンジンの調整は上手く進んでいる。

阪神JFと赤松賞のレースのラスト2F目は11.1秒と10.9秒。アパパネは10秒台のラップで一気に加速している。これがアパパネの持ち味で大きな武器。阪神JFでは直線でアニメイトバイオを一気に引き離した。敢えて死角を挙げるなら、これまで最も速い前半5Fが阪神JFの59.6秒という点。外回りコース変更後の桜花賞の前半5Fは59.8秒、58.5秒、59.1秒。流れが速くなったときに持ち味を生かせない可能性が少しある。赤松賞から3戦連続で大外枠だったが、今回は5枠9番に入った。揉まれずに進めたい。

アプリコットフィズは3戦2勝で前走クイーンCを楽勝した。新馬戦は2番手からメンバー2位の34.2秒で弾けるように伸びて4馬身差で圧勝。レースのラスト3Fは11.8−11.0−11.6秒。インパクトのある勝ち方だった。フェアリーSは好位から早めに動いて直線で抜け出したが、最後にコスモネモシンに差されてクビ差の2着。9頭の落馬があった日で蛯名騎手が負傷したため、急遽、田中勝騎手が騎乗。レースでは舌がハミを越し、最後は逆手前で走っていた。ハイペースで自分から動けざるを得ない立場だったことも応えた。

クイーンCは2番手からメンバー2位の35.1秒で抜け出して2馬身差で楽勝。デビューからずっと430キロで成長という点ではひと息だったが、一度使ったことで後肢の踏み込み力強くなっていた。馬体の本格化は先だが、現時点でも絶対能力は高い。過去10年でクイーンCから直行した馬は[0−1−3−13]でエフティマイアの2着があるのみ。データを覆せるか。430キロと小柄な馬なため、初の長距離輸送を克服できるかがカギになる。アパパネに騎乗する蛯名騎手はアプリコットフィズで2戦2勝。横山典騎手はどう乗るか。

アニメイトバイオは阪神JF2着馬。京王杯2歳Sでは最後方からメンバー最速の34.0秒で追い込んだが、エイシンアポロンに0.2秒差の2着。阪神JFでは中団から伸びてアパパネに0.1秒差の2着。瞬発力のあるアパパネに切れ負けしたが、最後はしぶとく伸びて半馬身差まで迫った。心肺機能が高い馬だけにもう少し厳しい流れになった方が力を出せるタイプなのだろう。前走のアネモネSは2着に敗れたが、馬体が14キロ増えて余裕残しだった。今回は本番の仕上げ。今年3年目の牧厩舎は仕上げが上手い。鞍上は内田博騎手。

オウケンサクラはフラワーCの勝ち馬。フラワーCは前半5F62.5秒のスローペースで後藤騎手が内ラチ沿いの好位につけたことが勝因。レースのラスト3Fは12.1−11.7−11.3秒で尻上がり。展開に恵まれただけではない。ローテーション的にフローラSという選択もあったが、陣営は中2週で桜花賞に使ってきた。祖母はシンザン記念の勝ち馬ミルフォードスルー、母は朝日CCの勝ち馬ランフォザドリーム。母の父リアルシャダイで距離延びても楽しみがある。安藤勝騎手は前4年の桜花賞で[3−0−0−1]で勝率75%。

ショウリュウムーンはチューリップ賞の勝ち馬。アパパネの直後をマークしてメンバー3位タイの34.7秒で差し切った。前走京都芝1600mの未勝利戦(稍重)をラスト3F11.9−11.7−11.7秒の尻上がり&持続ラップで楽勝したのはダテではなかった。過去10年でチューリップ賞の勝ち馬は桜花賞で[2−2−0−6]で1番人気では[2−2−0−0]だが、2番人気以下では[0−0−0−6]。ショウリュウムーンは1番人気にならない。データを覆せるか。今年の阪神芝1600mで活躍が目立つキングカメハメハ産駒。

あとはフリーズR2着馬ラナンキュラス、フェアリーSの勝ち馬コスモネモシン、アネモネSの勝ち馬ギンザボナンザ、フリーズRの勝ち馬サウンドバリアー、新潟2歳Sの勝ち馬シンメイフジあたりが人気になりそう。シンメイフジはデビューからずっと1、2番人気だが、前2走5着で今回は人気が落ちそう。阪神JFは出遅れて直線で他馬と接触する不利があり、フラワーCは休み明けで逃げたもの。新潟2歳Sでは最後方からメンバー最速の32.9秒で大外一気を決めたが、レースのラスト3Fは11.6−10.4−11.8秒だった。

■ステップレースの回顧
□阪神JF
□フェアリーS
□クイーンC
□チューリップ賞
□フィリーズレビュー
□フラワーC

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