天皇賞(春)
レース展望
最強ステイヤー決定戦。過去10年で1番人気は[3−0−3−4]で3連対。最近7年では[1−0−2−4]で連対したのは単勝1.1倍のディープインパクトのみ。最近は菊花賞連対馬が1番人気で不振に終わるケースが目立つ。2番人気は[2−2−2−4]で4連対、3番人気は[1−3−0−6]で4連対。最近5年の連対馬10頭のうち4頭が10番人気以下の人気薄。最近7年の馬連は164.9倍、366.8倍、850.2倍、3.8倍、207.5倍、20.0倍、102倍で7年のうち5年が万馬券とかなり荒れている。
菊花賞と同様に最近の長距離G1は波乱傾向が強い。穴で人気の盲点になった長距離重賞実績馬に要注意。特に京都外回りコースの重賞で強い競馬をしたことのある馬に注目したい。年齢別では4歳[6−4−2−35]、5歳[3−4−7−30]、6歳[1−1−1−27]、7歳以上[0−1−0−32]で4、5歳馬の活躍が目立つ。3番人気以内に限れば、4歳馬は[4−2−2−4]で複勝率66.7%、5歳馬は[2−2−2−4]で複勝率60%。7歳以上は33頭が出走して1連対のみ。高齢馬は人気になっても過信禁物。
フォゲッタブルは芝3000m以上では菊花賞2着、ステイヤーズS1着、ダイヤモンドS1着でまだ崩れたことがない。折り合いに全く不安がないため、騎手の指示通りに動け、終いもそれなりにいい脚を使える。今年はG1馬がマイネルキッツのみ。フォゲッタブルは長距離実績が評価されて1番人気になりそうだ。昨年1月にデビューし、約1年で走った距離は31.7キロ。昨夏は1000万条件で負けていたが、ここまで急激に力をつけたのは血の成せる技か。父は長距離向きの馬を出すダンスインザダークで母は名牝エアグルーヴ。
並の馬ならこれだけ走らせるとパンクしてもおかしくないが、フォゲッタブルはパフォーマンスを引き上げてきた。池江郎調教師は来年2月で定年になるため、天皇賞(春)は最後のチャンス。フォゲッタブルにとってもG1を勝つとすれば、距離的にここなのだろう。金子氏、池江郎調教師、市川厩務員はディープインパクトのコンビ。勝てば秋には凱旋門賞挑戦というプランもありそうだ。鞍上はテン乗りの内田博騎手。武豊騎手からは敢えて馬の癖などを聞かずにレースに臨むようだ。レースでは高速ラップの持続力がカギになりそうだ。
マイネルキッツは昨年の勝ち馬。3000m以上の経験がない重賞未勝利馬だったが、初重賞制覇が天皇賞(春)となった。内から進出して抜群の手応えで3、4コーナーを回った姿が印象的。母の父が天皇賞(春)と相性のいいサッカーボーイ。距離、コースとも合うのだろう。天皇賞後は不振が続いたが、前走59キロを背負って日経賞を制し完全復活。その後、蓄膿症を発症したが、今は回復したようで昨年と同様に栗東入りして調整している。スタミナがあり、高速決着に対応できることは証明済み。昨年は1枠2番。今年は外枠に入った。
ジャガーメイルは重賞未勝利だが、AR共和国杯、目黒記念、京都記念で2着、香港ヴァーズで3、4着がある実力馬。前走の京都記念は前週のダイヤモンドSをフレグモーネで取り消した直後だったが、中団からメンバー最速タイの33.3秒でブエナビスタに迫って0.1秒差の2着。ドリームジャーニーには0.2秒先着した。昨年は香港ヴァーズからぶっつけで臨んで0.4秒差の5着。今年は昨年よりステップはいい。馬主はキンシャサノキセキで高松宮記念を勝った吉田和子氏。陣営はオーストラリアのウィリアムズ騎手を乗せてきた。
トウカイトリックは阪神大賞典の勝ち馬。中団からメンバー2位の36.0秒で内から差し切った。3、4コーナーでズブさを出し藤田騎手の鞭が飛んだが、ラスト1Fが13.1秒掛かったこともあり、最後は持ち味のしぶとさを発揮。今年8歳になったが、全く衰えはなく完全に復調した。芝3000m以上は[4−3−3−9]で天皇賞(春)は4年連続出走して9、3、7、6着。今年はG1馬が1頭しかいないメンバーなら馬券圏内か。ただし切れより地力&スタミナタイプのため、今の京都の馬場とホクトスルタンの除外がカギになる。
ジャミールは阪神大賞典で後方からメンバー最速の35.7秒で追い込んで2着に入った。外から伸びたメイショウベルーガとの競り合いをハナ差で制した。最後はトウカイトリックに内から差されたが、バテたのではなく、先頭に立ったことで馬が遊んだ感もある。前走1600万条件を勝って重賞初挑戦、かつ初の3000m級のレースだったが、いきなりG2で結果を出した。安藤勝騎手は手応えを掴んだか。ただし今年の阪神大賞典のレベルの検証は必要。昨年から11戦して[4−4−3−0]で複勝率100%。この堅実さは評価できる。
メイショウベルーガは日経新春杯で重賞初制覇。スタミナと末脚の威力を示す強い勝ち方だった。3歳時から相馬眼的に評価してきた牝馬がようやく本格化した。前走の阪神大賞典は中団から早めに動いて直線でしぶとく伸びたが、最後に競り負けてクビ+ハナ差の3着。1番人気でいつもより前につけて勝ちに行ったことが響いた。今回は直線が長く平坦な京都外回りに替わるのはプラス。テン乗りの福永騎手は芝3000m以上で[1−2−4−36]で勝率2.3%。牝馬の天皇賞(春)制覇は1953年のレダのみ。勝てば57年ぶりとなる。
エアシェイディは2年連続で有馬記念3着。距離を長くしてパフォーマンスを引き上げた。前走の日経賞はマイネルキッツに負けたが、元々久々は走らないタイプ。それを考えれば、0.1秒差なら悪くない。今回は距離克服と輸送による馬体減がカギ。ナムラクレセントは重賞未勝利だが、菊花賞と阪神大賞典で3着がある。前走の日経賞は8着に終わったが、馬体が14キロ減った影響か。昨夏の阿賀野川特別では58.5キロを背負って53キロのフォゲッタブルを子供扱いしている。馬が復調して小牧騎手が馬の持ち味を引き出せれば。
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