ジャパンC
レース展望

過去10年で1番人気は全て日本馬で[4−2−4−0]で連対率60%、複勝率100%。単勝1.5倍以下は[2−0−0−0]。日本ダービー馬(古馬含む)は[2−1−1−0]。単勝1.5倍以下、日本ダービー馬を除くと[1−1−3−0]で3着が多い。前走天皇賞(秋)を勝った1番人気は[2−0−3−0]でこちらも3着が多い。2番人気は[1−3−2−4]で4連対、3番人気は[1−0−1−8]で1連対。連対馬20頭のうち17頭が5番人気以内、最近7年では14頭のうち13頭がこれに当て嵌まる。唯一5番人気以下で連対したのは、08年に9番人気で勝ったスクリーンヒーロー。前半5F61.8秒のスローペースだった。

連対した日本馬16頭のうち15頭にG1連対があった。残る1頭は前走AR共和国杯を勝ったスクリーンヒーロー。今年出走する日本馬でG1連対がないのはシンゲンのみ。関東馬は[2−0−3−22]、関西馬は[6−8−5−56]、外国馬は[2−1−2−50]。中山で行われた02年以外は日本馬が必ず連対している。地の利を生かせる日本馬が優勢で関西馬が14連対。G1連対のある5番人気以内の関西馬を重視したい。外国馬は3連対だが、06年以降は[0−0−1−17]で06年にBCフィリー&メアターフを勝って参戦したウィジャボードの3着があるのみ。G1実績馬でも日本の馬場に合わない馬は不振に終わっている。

最近5年の連対馬10頭のうち7頭は上がり3Fがメンバー1、2位だった。ディープインパクトはメンバー最速の末脚で直線一気を決めたが、最近は好位から切れる脚を使った馬が勝ち、メンバー最速の末脚で追い込んだ馬は2着が多い。東京芝2400mは極端なスローの上がり勝負にならなければ紛れは少ない。中団より前につけて切れる脚を使える馬を重視したい。年齢別では3歳[1−4−3−27]、4歳[6−3−4−31]、5歳[2−2−3−32]、6歳[1−1−0−22]、7歳以上[0−0−0−21]で4歳馬が6勝2着3回と目立つ。東京実績のある4歳馬を重視。3歳馬はダービー馬ジャングルポケットが制している。

日本馬のG1馬はブエナビスタ(天皇賞(秋)など5勝)、ナカヤマフェスタ(宝塚記念)、ジャガーメイル(天皇賞春)、オウケンブルースリ(菊花賞)、エイシンフラッシュ(日本ダービー)、ヴィクトワールピサ(皐月賞)、ローズキングダム(朝日杯FS)の7頭。日本馬はレッドディザイアを除いた現役最高レベルの布陣。外国馬のG1馬はヴォワライシ(ローマ賞)、ジョシュアツリー(カナディアン国際S)。昨年は5頭全てがG1馬だったが、今年は8頭のうち2頭のみ。BCターフを制したデンジャラスミッジ、英&愛オークス、エリザベス女王杯を制したスノーフェアリーの回避で少し小粒になった。全馬が力を出し切る好レースを期待したい。

ブエナビスタは[8−4−3−0]で複勝率100%。昨年の有馬記念から連対を確保している。前走の天皇賞(秋)は中団からメンバー2位の34.1秒で抜け出して2馬身差で楽勝。スミヨン騎手は肩ムチしか入れておらず、抜け出してから後ろを振り返る余裕があった。JRA発表のレーティング121(牡馬換算125)は近年の天皇賞(秋)で最高レベル。桜花賞の前にディープインパクトと同じような雰囲気を漂わせていた馬(究極のバランス)。昨年のエリザベス女王杯の時点でこのレベルのパフォーマンスはあったが、スミヨン騎手が騎乗したことでようやく本来の力を出せるようになった。ディープインパクトのレベルに来たのではないか。

秋の目標は天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念を連勝して年度代表馬になること。天皇賞(秋)はハイレベルでもブエナビスタにとっては調教のようなもの。今回は一度使った上積みが期待できる。東京芝は3戦3勝でオークス、ヴィクトリアM、天皇賞(秋)を制している。直線の長いコースのG1では[5−0−1−0]でメンバー最速の32.9秒で勝ち馬の上がりを3.9秒上回りながら負けたエリザベス女王杯を除き全て勝っている。今回スミヨン騎手が本気で走らせるとエルコンドルパサー、ディープインパクトを超える国内レースで最高レベルのパフォーマンスを発揮する可能性がある。日本馬が過去の限界を超える瞬間。見逃してはいけない。

ナカヤマフェスタは宝塚記念を勝ち、フォア賞と凱旋門賞で2着に入った。宝塚記念はブエナビスタが荒れた内を通って伸びあぐねたこともあり、外から一気に差し切った。揉まれると良くないタイプだけに距離ロスがあっても外を回った方がいいようだ。凱旋門賞は勝負どころで前に入られて蛯名騎手が手綱を引く不利があったが、頭差の2着に入り、能力が世界レベルということを証明した。極悪馬場のダービーで大外からメンバー最速の末脚で4着に追い上げた馬。前3走は稍重、重、重で雨で馬場が悪化すると有利になる。昨年の有馬記念でブエナビスタに勝ったドリームジャーニーと同じステイゴールド産駒。課題はあるが、能力でクリアするか。

オウケンブルースリは昨年のジャパンCで大外からメンバー最速の34.1秒で追い込んでウオッカにハナ差の2着。4コーナーでコスモバルクに内から強引に来られて外に弾き飛ばされたロスが響いた。末脚の威力を生かせる東京芝2400mは合っている。前走の京都大賞典はメイショウベルーガに半馬身差の2着に敗れたが、休み明け初戦で馬体が22キロ増えていた。レース後に前脚に腫れが見つかったため、天皇賞(秋)を回避し、ぶっつけで臨んできた。調教後の馬体重は前走から2キロ減の502キロ。東京への輸送でどこまで馬体を絞れるか。鞍上はテン乗りのルメール騎手。今年はブエナビスタがいるため、昨年以上のパフォーマンスが必要。

3歳馬はダービー馬エイシンフラッシュ、同2着馬ローズキングダム、皐月賞馬ヴィクトワールピサ、青葉賞馬ペルーサが出走する。ペルーサはダービー、毎日王冠、天皇賞(秋)と3戦連続で出遅れて自滅した。天皇賞(秋)は後方2番手からメンバー最速の33.6秒で追い込んで0.3秒差の2着。後方でタメたこともあるが、最後の伸び脚はかなり目立った。ブエナビスタが強過ぎただけで例年なら勝っていたのではないか。筋力(すじぢから)を感じさせる馬でアグネスデジタルを彷彿させる。安藤勝騎手がスタートを決めてまともなレースができるかがカギ。東京芝2400mは青葉賞を圧勝したコースだが、距離延長がマイナスに働く可能性がある。

エイシンフラッシュはスロー上がり勝負になったダービーを中団からメンバー最速の32.7秒で差し切った。バネの利いたフットワークで大きなストライドで走る馬。持ち味であるトップスピードの持続力を最大限に生かせた。前走の神戸新聞杯は中団からメンバー最速タイの33.3秒で上がったが、ローズキングダムにクビ差の2着。道中少し折り合いを欠き気味で狭いところで揉まれてストレスのかかるレースだったが、メンバー最速の上がりを繰り出し地力を見せた。菊花賞を左後肢の筋肉痛で回避したが、ダービーと同コースのジャパンCに使いたかったというのが本音か。現時点では地力勝負より、スローの上がり勝負の方が持ち味を生かせる。

ローズキングダムはダービー2着、神戸新聞杯1着、菊花賞2着。神戸新聞杯では直線でエイシンフラッシュに迫られたが、並んだら抜かせない勝負根性を発揮。馬体が22キロ増えて実の入りが良くなり、後肢の踏み込みが力強くなっていた。これでもうワンランク上を目指せるのではないか。菊花賞は後方からメンバー2位の33.9秒で伸びて0.2秒差の2着。直線入り口で内にモタれてエンジンの掛かりが少し遅れたことが応えたが、直線に向いたときは致命的な差がついていた。長距離が得意な武豊騎手らしからぬ位置取りだった。これまで[4−2−1−1]で馬体が減った皐月賞以外は3着以内を確保。相手なりに走る強みを発揮するか。

ヴィクトワールピサは皐月賞馬。直線で岩田騎手が追い出すと一気にエンジンが点火して一瞬のうちに突き抜けた。インパクトのある走り。ダービーは内ラチ沿いの好位から直線で狭いところを割ってきたが、0.3秒差の3着に終わった。エイシンフラッシュに切れ負けしたが、直線で狭い内を突いたこと、荒れた内を通ったことが響いている。ニエル賞は直線で伸び切れず4着、凱旋門賞は後方から追い込んで7着。凱旋門賞は直線まで団子状態で動けず、追い出しが遅れる致命的なロスがあった。前3走芝2400mで3連敗。このあたりをどう考えるか。相馬眼的に東京芝2400mが合わないとは思わない。鞍上は今年ブレイクしたギュイヨン騎手。

外国馬はジョシュアツリーが最終調教で早い時計を出し攻めている。前走カナダに遠征してカナディアン国際SでG1初制覇。カナディアン国際Sは褒賞金対象レースで勝てば褒賞金として1億円が支給される。レーティングは低いが、まだキャリア6戦の3歳馬。管理するオブライエン調教師は07年のジャパンCに凱旋門賞馬ディラントーマスを連れてきたが、馬ウイルス性動脈炎で入国が許可されず出走できなかった。ジョシュアツリーの父は凱旋門賞でエルコンドルパサー(二ノ宮厩舎)に勝ったモンジュー。ジャパンCではブエナビスタの父スペシェルウィークの4着に敗れている。地の利のある日本馬が簡単に負けるとは思わないが少し注意したい。

★ブエナビスタが出走した重賞レースの回顧
2008年阪神JF
2009年チューリップ賞
2009年桜花賞
2009年オークス
2009年札幌記念
2009年秋華賞
2009年エリザベス女王杯
2009年有馬記念
2010年京都記念
2010年ヴィクトリアM
2010年宝塚記念
2010年天皇賞(秋)

WAKUWAKU競馬道場
競馬アナリストGM

★重賞レース展望には有力各馬について基本事項を掲載しています。狙える馬の相馬眼的評価、本質、死角などの詳細は「有力馬診断」、馬場、展開、穴馬などを含めた最終決断は「相馬眼予想」でお届けしています。なお携帯版HPはPCからもご覧いただけます。

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