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■[7+]ブエナビスタ
[8−5−3−0]でまだ一度も崩れたことがなく、G1を5勝している現役最強馬。牝馬はウオッカ(ダービー、安田記念、天皇賞秋、ジャパンC)、ダイワスカーレット(有馬記念)も強かったが、ブエナビスタは互角かそれ以上のパフォーマンスを見せている。この秋は天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念を使うと決めており、ぶっつけで天皇賞(秋)を使い、鞭を使うことなく楽勝した。1986年以降、秋に芝中距離以上の牡馬混合G1を制した牝馬はエアグルーヴ(天皇賞秋)、ヘヴンリーロマンス(天皇賞秋)、ウオッカ(天皇賞秋、ジャパンC)、ダイワスカーレット(有馬記念)がいるが、そのシーズンのG1は1勝のみ。G1を2勝以上した馬はいない。ブエナビスタは天皇賞(秋)を制し、ジャパンC1位入線で実質は2勝。有馬記念を勝てば実質3勝目になる。世界には凱旋門賞を勝つ牝馬もいるが、日本にこのレベルの牝馬が出たのは初めて。牡馬はディープインパクトはリミッターを振り切ったが、牝馬はブエナビスタがリミッターを振り切ろうとしている。3歳時に凱旋門賞に挑戦しようとした日本の牝馬がこれまでいただろうか。社台はブエナビスタの心肺機能の高さが世界レベルだということを最初から知っている。桜花賞、オークスの内容で凱旋門賞挑戦という話が出るはずはない。この秋はぶっつけで天皇賞(秋)を使って楽勝できたことが多い。ジャパンCは厳しいレースになったが、最終調教を見る限り、状態はキープできている。昨年の有馬記念はかなり厳しいレースで並みの馬なら立ち直れないほどのダメージがあってもおかしくないが、ブエナビスタはドバイに遠征し、日本に帰国してからもずっと連対を確保している。

これまでにいないタフな馬で精神面も強いスーパー牝馬。それがブエナブスタの正体。このレベルの馬を日本で走らせておくにはもったいない。デビューから7連勝で凱旋門賞を制した3歳牝馬ザルカヴァに騎乗していたスミヨン騎手は天皇賞(秋)を勝った後に「ザルカヴァによく似ている。ブエナビスタはそれ以上の馬になるかもしれない」とコメント。今回は輸送で馬体が少し減りそうだが、大きく減っていなければ力を出せる状態とみたい。現時点では1番強いが、競馬は1番強い馬が常に勝つものではない。これまで直線の長いコースでは[7−1−1−0]で勝率77.8%に対し、直線の短いコースでは[1−3−1−1]は勝率16.7%。直線の短いコースでは未勝利戦しか勝っておらず、札幌記念、秋華賞、宝塚記念で取りこぼしている。直線の長いコースならどんな展開でも末脚の威力と心肺機能の高さで何とかなるが、直線の短いコースでは上手く立ち回った馬に先着を許している。前を射程圏に入れながら進め、昨年のように厳しいレースになり過ぎなければ勝つ可能性が高いが、今年は逃げ馬が不在でどんな流れになるか想定しにくい。流れと位置取りがアンマッチになったときに取りこぼす可能性がある。あとはブエナビスタより前で進めた馬に大きくパフォーマンスを引き上げられた場合だろう。来年はドバイ、凱旋門賞など世界で活躍しないといけない馬。3歳馬がパフォーマンスを引き上げられないとディープインパクトのラストランのように圧勝もある。

■[7]ヴィクトワールピサ
皐月賞を勝ち、ダービーで1番人気に支持された馬。ダービーは3着に終わったが、スローの上がり勝負で切れ負けしたもの。エイシンフラッシュとローズキングダムに地力で負けたのではない。その後フランスに遠征し、ニエル賞は4着、凱旋門賞は7着に終わった。ニエル賞は直線でスムーズさを欠く不利があったが、休み明けで本番は先のため、角居厩舎は仕上げていなかった。凱旋門賞では直線で前が壁になって追い出しが遅れ、まともに追えたのはラスト1F程度。最後は武豊騎手が諦めていた。武豊騎手が下手というより、名前の知れた騎手だけに外国人にマークされやすいこともあるのだろう。2戦とも力を出し切れずに終わったが、今となってはそれがプラスに働いている。秋に芝2400mを3戦とも全力で走ったら普通は持たない。ジャパンCは0.3秒差の3着に負けたが、海外遠征明けでギュイヨン騎手がテン乗りというハンデがあった。ブエナビスタは叩き2戦目、ローズキングダムは叩き3戦目でどちらも調子が良かった。不利のあったローズキングダムに差されたが、海外遠征明けで3着に粘ったことを評価したい。フランスの2戦が不振に終わったため、ギュイヨン騎手が正直に乗り過ぎた感もある。ただしそれによって前につけても最後まで踏ん張れることが分かった。脚質の幅を広げることは強くなるための一歩。G1を何勝もする馬は、少しずつ課題をクリアしていく馬が多い。

ジャパンCは海外遠征明けのため、陣営は攻めていなかったが、今回は最終調教を見る限り、前走より動き、気配とも良くなっている。フランスでまともに走れなかったことがここに来て利いている。中山は皐月賞と弥生賞を制しており2戦2勝。軽い馬場で33秒台の切れ味が問われるレースでは切れ負けするため、上がりの掛かる中山に替わるのはプラス。皐月賞と弥生賞は内から一気に抜け出したきたが、それを考えると絶好とも言える1枠1番に入った。ただし皐月賞で内からインパクトのあるレースをしたヴィクトワールピサが1枠1番に入ったことでマークは厳しくなる。デムーロ騎手は先週の朝日杯FSで降着ギリギリの騎乗をしたため、もし今週も強引なレースで審議になると競馬をブチ壊す可能性がある。外国人騎手だけに日本人の感覚とはズレがあるかもしれないが、今週はあまり強引な騎乗はできないのではないか。そのあたりが少し気になるが、タフな馬場での爆発力だけならブエナビスタに対抗できる。馬場が渋ってブエナビスタの決め手が削がれる状態になった方がいいが、中山は雨が降りそうにない。ブエナビスタはジャパンCで降着になったため、スミヨン騎手は外を回す可能性が高い。ヴィクトワールピサが好位の内で脚をタメ、ブエナビスタが3、4コーナーで外を回って上がり、直線に向いたときにヨーイドンとなるような展開。そうなったときにコース取りと末脚の爆発力でブエナビスタを逆転する可能性がある。来年はあらためて凱旋門賞を狙うのだろう。

競馬アナリストGM

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