宝塚記念
有力馬診断
■[7]オルフェーヴル(1位評価)
天皇賞(春)は隊列が縦長の展開で後方でタメ過ぎたことが敗因。ラスト5Fで物理的に届かない位置だった。4コーナーで大きく外に膨れたこと、調教再審査でストレスがあったことなども着差に影響したのだろう。ではなぜ池添騎手は後方に控えたのか。阪神大賞典で単勝1.1倍に支持された3冠馬が3コーナーで逸走するという前代未聞のアクシデントがあったため、折り合いを欠いて逸走だけはできないと折り合いに専念したのだろう。スローの上がり勝負になった有馬記念(中山内回り)で後方から捲ってメンバー2位の33.3秒で差し切ったため、直線が長い京都外回りなら後方から捲っても届くという過信もあったのだろう。実際、3、4コーナーで捲ったが、みんなが一斉にペースアップして高速ラップを刻んだため前に追いつけず、さらにスピードを上げたため、4コーナーで外に大きく膨れた。坂の下りでトップスピードに乗ってコーナーを回れる馬はいない。馬を壊してもおかしくない乗り方だったが、幸いオルフェーヴルは故障しなかった。天皇賞(春)は固い馬場で脚元が強いことで知られるジャガーメイル、ナムラクレセントが故障している。オルフェーヴルは11着に負けたが、ストレスの掛かるレースをしたため、回復に時間が掛かっているのだろう。
最終調教は陣営が言うほど動き、気配とも悪くない。むしろ他馬との比較で上位にランクできる。ただし昨年は一戦ごとに馬体が増えて、馬体の造り、調教の動きとも良くなったが、今年は馬体、動きのバージョンアップが止まっている。それでも元値が高いため、並のG1馬なら十分という動きを見せている。池江調教師が7割のデキというのは、昨年秋の絶好調時と比較してのもの。国内G1なら絶好調時の7割でも通用するという手応えもあるのだろう。前走のストレスあるのか、トモの張りは昨年の状態に戻り切っていないが、1週前より張りは良くなっている。追い切って筋肉の張りが良くなるタイプ。日増しに良化しているのではないか。前2走は大外枠だったが、今回は6枠11番に入った。2頭が大逃げする展開になると少し乗り難しいが、距離短縮、流れが速くなるのは、折り合い、適性どちらの面でもプラスに働く。天皇賞(春)の反省を生かし、早めに動いて4コーナーで前を射程圏に入れる強気なレースをするのだろう。直線で止まるとすれば速い流れで早めに動き過ぎた場合なのだろう。位置取りと追い出しのタイミングがマッチすれば前を捕まえて後続も完封できるのではないか。池添騎手は不振が続いている点は少し気になるが、馬の能力を信じてみたい。
■[6+]ルーラーシップ(2位評価)
3歳の鳴尾記念からずっと大外を回るレースをしていたが、前走のクイーンエリザベス2世カップは内ラチ沿いの3番手から直線で内から抜け出して圧勝した。飛びが大きいため、外を回ってノビノビと走らせていたが、内ラチ沿いをロスなく回って折り合い、直線で切れる脚を使って抜け出したのである。2年連続で相馬眼的に追いかけて損のない馬として取り上げた馬。ようやく本格化したのではないか。これまでG2以下は[7−1−1−1]に対し、G1[1−0−0−5]で国内では5、6、5、4着に負けている。ただしこれらは全て大外を回るロスがあった。昨年の宝塚記念は内枠に入ったが、後方まで下げて大外を捲るロスのあるレースで0.9秒差の5着。宝塚記念以来の出走だった有馬記念は後方から大外を回ってメンバー最速の33.2秒で追い込んで0.2秒差の4着。今回は4枠7番に入ったため、大外を回らずにスムーズな競馬ができればG1でも通用するのではないか。香港遠征明けで絶好調ではないが、馬体、気配は上々の動きも悪くない。角居厩舎の管理馬は海外遠征直後に国内重賞に出走したときは[4−2−1−5]で連対率50%。1番人気では[4−1−0−0]で連対率100%。絶好調ウィリアムズ騎手は魅力。高速化し過ぎない方がいい。
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