フェブラリーS
レース回顧

コパノリッキーはスタートを決めて2番手につけ、直線でエイシントップを交わして先頭に立つとホッコータルマエの追撃を振り切ってレースを制した。エーシントップが逃げて前半5F60.6秒のスローペース。コパノリッキーは直線で先頭に立つとラスト2Fを11.5−11.9秒でまとめて押し切った。スローの上がり勝負で2番手で流れに乗れたこと、内枠の馬がごちゃついて脚を余したことなど、恵まれた部分があったのは確かだだが、能力がないとこの走りはできない。ホッコータルマエを完封したのはダテではなく、G1レベルの力を持っていた。これで12番より外枠に入ったときは4戦4勝。外からスムーズなレースができると最後までいい脚を使うタイプ。昨年のヒヤシンスSは同日のフェブラリーSより0.3秒速い前半5F58.3秒のハイペースで3番手から1分36秒8走り3着に粘っている。兵庫Chsではベストウォーリアに6馬身、ソロルに15馬身差をつけて圧勝した。ベストウォーリアは武蔵野S3着、すばるSレコード勝ちで3番人気。コパノリッキーは前2走10、9着に惨敗して最低の16番人気。前2走はあまりに不甲斐なかったが、叩き3戦目で馬体のバランスが良くなり、調教の動きが良くなっていた。過去10年で12〜16番枠が7勝(今年を含まず)。フェブラリーSは外枠からスムーズなレースをした馬が勝つことが多い。このあたりから狙える下地はあったか。次走はかしわ記念に向かう予定。G1を最低人気で勝ったサンドピアリス、ダイタクヤマトに続き、コパノリッキーも記憶に残る馬になった。2歳時から高評価して狙ってきた馬。今後の活躍を期待したい。

ホッコータルマエは外枠スタートから5番手につけ、メンバー最速タイの35.1秒で伸びたが、コパノリッキーを捕まえられずに半馬身差の2着。最後の直線で幸騎手が前にいたコパノリッキーより後ろから来る馬を警戒し仕掛けが遅れたことが堪えたが、コパノリッキーの脚色は最後まで鈍っておらず、早めに捕まえに行っても粘られた可能性がある。スローの上がり勝負で好位からメンバー最速の末脚を繰り出したように力は見せたが、今回は勝ったコパノリッキーを褒めるべきなのだろう。パドックでは馬体の張りが良く活気もあり、一連の高いレベルのデキをキープしていた。これで昨年以降のダートG1では[5−2−1−0]。JCダートで負けたベルシャザールに先着したことを評価したい。次走はドバイワールドCに向かう予定。現役最強レベルのダート馬がどんなレースを見せてくれるのか楽しみだ。

ベルシャザールは中団の外からメンバー最速タイの35.1秒で伸びて0.4秒差の3着。スタートが遅く、最初の芝でスピードに乗れず、位置取りが悪くなったことが堪えた。スローの上がり勝負で前残りの厳しい展開になったが、Cデムーロ騎手が外に出して早めに自分のスペースを確保したことで3着まで追い上げることができた。1番人気で3着に終わったが、展開を考えると負けて強しの内容。パドックでは休み明けでも馬体の張り良く、次にドバイが控えていても9割程度仕上がっていた。ここにきてさらに馬体の造りが良くなった印象でドバイでもやれそうな雰囲気があった。1600mもこなせるが、距離はもっと長い方が合っている。次走はドバイワールドC。差し馬向きの展開になるとホッコータルマエを再度逆転する可能性がある。

ブライトラインは7番手から外を回って早めに上がってきたが、直線でモタれて伸びを欠き0.5秒差の4着。外枠スタートで馬を前に置けず掛かり気味に進み、直線でホッコータルマエの外に併せたが、内にモタれて伸び切れなかった。道中馬を前に置いて折り合い、直線で内にモタれなければ、勝ち負けになったのではないか。レース展望で「京都記念のジェンティルドンナのように福永スペシャルがまた炸裂する可能性がある」と書いたようにこれは予想の範囲内。掛かり気味に行く馬に福永騎手を乗せた時点で終わっていた。ブライトラインは根岸Sを使われて馬体の張りが良くなり、活気も出て調子を上げていた。まともに走ればG1で勝ち負けできる力を持っている。ダ1600mのG1に拘って使っていけば、どこかで結果が出るのではないか。

ワンダーアキュートは内枠スタートから中団の内を進み、メンバー3位の35.2秒で最後に鋭く伸びて6着。直線でごちゃついて追い出しが遅れたことが堪えた。外枠の馬が有利な展開になり、内枠から内を回った馬はごちゃついて脚を余した馬が多い。ワンダーアキュートは11年のJCダート以降、G1では[1−7−4−0]で3着以内を確保していたが、2年3ヶ月ぶりに馬券圏内を外した。こういうデータを信頼すると裏切られることがよくあるため注意したい。最後に切れる脚を使って0.5秒差まで追い上げたように8歳馬でも大きな衰えはない。適距離の2000m前後ならG1で十分にやれるが、2、3着が多いことを考慮したい。

ニホンピロアワーズは中団を進み、直線で伸び切れず8着。外枠スタートからロスがあってもスムーズなレースができたときに好走するタイプ。中枠で馬群に揉まれると大型馬だけにスムーズさを欠くことが多いが、まさにその通りになった。それよりも酒井騎手が距離1600mを考慮して控えめに進めたことが堪えている。もっと馬を信頼していつも通り強気なレースをすれば、上位争いできたのではないか。酒井騎手はニホンピロアワーズで9勝15連対しているが、初距離で馬を信頼していなかったのではないか。馬体が16キロ絞れて調子を上げていただけに勿体ない。今後は揉まれないように今まで以上に前に行くことになりそうだ。

WAKUWAKU競馬道場
競馬アナリストGM

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