弥生賞
レース回顧

トゥザワールドは中団の外からメンバー2位タイの35.7秒で早めに抜け出し、最後はワンアンドオンリーの追撃をハナ差で凌ぎ切ってレースを制した。アグネスドリームが逃げて前半5F61.2秒。スタミナ&地力が問われる緩急のある流れで差し追い込み馬が上位を独占した。トゥザワールドは中団から早めに動いて先頭に立つ正攻法のレースで優勝。直線で早めに抜け出したことでワンアンドオンリーに迫られたが、ギリギリ凌ぎ切った。急坂のある中山の力のいる馬場を苦にせず、勝負どころで機動力を見せたことは本番に繋がりそうだ。全兄トゥザグローリーと同様に500キロを超える大型馬で切れより地力タイプだが、軽い馬場の適性は兄より高い。最終調教では雄大な馬体で伸びやかなフットワークが目立った。現時点の完成度が高くレースが上手い。過去10年の皐月賞で弥生賞を1番人気で勝った馬は全て1番人気に支持され[2−1−0−3]でディープインパクトとヴィクトワールピサが勝っている。今の調子をキープできれば、皐月賞で大崩れすることはない。

ワンアンドオンリーは後方からメンバー最速の35.5秒で鋭く伸びてハナ差の惜しい2着。追って味のある馬らしく、横山典騎手が一杯に追うと最後に鋭く伸びてきた。上がりの掛かる展開が嵌った感はあるが、能力がないとあの脚は使えない。パドックでは馬体が10キロ増えたことで全体的なバランスが良くなり、前走より気配が良くなっていた。これまで攻め駆けしなかった馬が最終調教では坂路で先着。以前より脚捌きが力強くなり、パワーアップしていた。遅咲きのハーツクライ産駒。馬体が成長して力をつけている。ラジオNIKKEI杯2歳Sのレベルは高くないが、ワンアンドオンリーが弥生賞で2着に入ったことでサトノアラジンとモンドシャルナは見直せるのではないか。橋口調教師は自身が管理したハーツクライの産駒でクラシック制覇を目指す。ダービーまで横山典騎手が騎乗する予定。

アデイインザライフは内ラチ沿いの5番手から伸びて0.4秒差の3着。スタートを決めて好位につけ、追い込み一辺倒から脱却した。前につけたぶん末脚は鈍ったが、3着に入り皐月賞の出走権を確保。馬体は2キロ絞れていたが、まだ太めが残っている。あと20キロぐらい絞れて後肢の踏み込みが大きくなれば、一変するのではないか。今後は厩舎がそのレベルに持っていけるのかがポイントになる。好位の内でタメるレースができたことは今後に繋がりそうだが、皐月賞が速い流れで消耗戦、かつ外が伸びる馬場なら外から差した方が持ち味を生かせる。

キングズオブザサンはスタートが遅く後方を進み、直線で内から馬群を捌いて0.7秒差の5着。スタートは遅かったが、大野騎手は仕掛けて行かず、後方に控えることを選択。差すレースもできるが、ある程度前につけないと持ち味を生かせない。社台は皐月賞で人気になりたくないのか、わざと負けたようなレースだった。もう少しまともなレースできれば、最低でも3着争いができたのではないか。本番の皐月賞では注意が必要だが、4戦連続中山に輸送する点に注意。中山は4月になると芝が生え揃うと高速化する傾向がある。そのあたりがどう出るか。

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