高松宮記念
レース回顧

コパノリチャードはスタートを決めて2番手につけ、直線で抜け出して3馬身差で圧勝した。不良馬場でエーシントップが逃げて前半3F34.5秒、5F59.0秒。5番コパノリチャード、9番ストレイトガールを除くと8着まで12番より外枠に入った馬が占めた。中京芝1200mは外枠が有利で3、4コーナーで外を回って勢いをつけて直線に向いた馬が切れる脚を使って激走することが多い。コパノリチャードは他馬が馬場のいい外を通る中、内をロスなく回って脚をタメ、直線入り口で馬場のいい外に出したMデムーロ騎手の考えられた騎乗で圧勝した。荒れ馬場、渋った馬場をこなすパワーがあるからこそできた騎乗ともいえるが、単純に馬場のいい外を通るレースをした騎手が多かっただけにMデムーロ騎手の好騎乗が光った。内をロスなく回ったことが3馬身差の圧勝に繋がったのだろう。Mデムーロ騎手はネオユニヴァースが勝った日本ダービーでもこの乗り方で勝っている。パドックではひと叩きされたことで馬体の張りが良くなり、前走からの上積みを感じさせた。初の芝1200mでG1を制したが、不良馬場だったため、高速馬場の芝1200mに対応できるかという課題は残った。スピードの絶対値が高く、短距離馬特有のパワーを持った馬。まだ馬が賢くなった感じはないが、これからレース慣れすれば、スプリンターズS制覇も十分にありえる。スピード能力を最大限に生かせる馬場になると脅威のレコードが刻まれる可能性がある。

スノードラゴンは後方からメンバー2位の36.1秒で伸びて3馬身差の2着。直線に向いたときはかなり後ろにいたが、馬場のいい外に出すと坂を上がってから猛然と伸びてきた。近走はカペラS2着、ジャニュアリーS1着、オーシャンS2着と芝ダートを問わず1200mでメンバー1、2位の末脚を繰り出して連対を確保していた。末脚のしっかりした馬。不良馬場を苦にした馬が多い中、逆に味方につけて突っ込んできた。芝では[0−5−0−1]で5回目の2着。中京芝1200mで有利な外枠の差し馬という視点ではマヤノリュウジンにも可能性があったが、後方で脚をタメて終い勝負に徹したスノードラゴンに分があった。アドマイヤコジーン産駒は中京芝1200mで激走が多い。速い持ちタイムがないため、高速馬場では苦戦しそうだが、荒れ馬場、渋った馬場で時計が掛かりそうなときは注意したい。

ストレイトガールは7番手の外から直線でしぶとく伸びて0.7秒差の3着。最後に逃げたエーシントップをクビ差交わして3着を確保した。不良馬場で最後までしぶとく伸びているが、馬格&パワーがある馬場適性の高い牡馬2頭に先着を許した。函館で重い馬場、中京と京都で輸送競馬、中京で左回り、京都で高速決着と高速上がりなど、課題をひとつずつクリアしてG1に手が届くレベルにきたが、馬格&パワーがある馬に有利な不良馬場では厳しかった。2012年に新コースになってから芝戦はこの日が初めての不良馬場だった。流れに関係なくスタートを決めて中団より前につけ、必ず直線で切れる脚を使えるタイプ。今後もこれは大きなアドバンテージになる。ここにきて馬体がボリュームアップして本格化してきているのは間違いない。秋のスプリンターズSに向けて順調に進めていきたい。

ハクサンムーンは出遅れて後方を進み、直線で外からメンバー3位タイの36.5秒で伸びて5着まで追い上げた。出遅れて惨敗かと思われたが、切れる脚を使って地力を見せた。不良馬場で外から差して5着に入ったことは脚質の幅を広げたともいえるが、スピードが持ち味なだけに今後に向けてプラスになるとは言い難い。ただし、この日の馬場では前に行っても厳しかったか。一度使ったことで気合乗りが良くなっていた。今後はひと息入れて昨年と同じローテーションになりそうだ。

マヤノリュウジンは大外枠スタートから6番手につけたが、直線で伸び切れず8着。好位につけて勝ちに行ったが、そのぶん伸び切れなかった。馬格&パワーがあり、渋った馬場はこなせるが、ここまで悪くなると良くないようだ。最近は成績にムラがあるが、休み明けを除き、直線に坂がある芝1200〜1400mで良馬場なら[1−0−1−0]で心斎橋S1着、スプリンターズS3着がある。7歳馬でもまだ衰えはない。この条件が揃ったときは注意したい。

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