皐月賞
レース回顧
イスラボニータは中団で脚をタメ、勝負どころで動いてメンバー3位の34.6秒で外から差し切ってレースを制した。ウインフルブルームが逃げて前半5F60.2秒の緩い流れ。流れが緩んだことで3着まで中団より前につけた馬で決着した。イスラボニータは1枠スタートから道中外に出してトゥザワールドを見ながら進め、直線で外に持ち出して差し切った。初の右回り、中山、距離2000mを全て克服。左回りの直線の長いコースで結果を出してきたが、むしろ中山の方が合っているのではないか。直線で何度も手前を替える器用な馬で調教でも動いていたように右回りは全く問題がなかった。社台はフジキセキのラストクロップになるイスラボニータで産駒初の牡馬クラシック制覇を達成。社台の馬がイスラボニータが外に出すスペースを作ったり、有力馬を外に出さないようにブロックしていたように見えたのは気にせいか。次走は皐月賞馬としてダービーに向かう。体型的に距離延長はプラスではないが、東京は4戦4勝の得意コース。社台がイスラボニータを2冠馬にしたいのなら、スローペースを作るのではないか。ただし、イスラボニータの距離適性、今年のメンバーレベルなどを総合的に判断して社台はハープスターを投入してくる可能性がある。
トゥザワールドは8枠スタートから3番手につけ、直線で抜け出したが、外からイスラボニータに差されて0.2秒差の2着。イスラボニータが内枠から好位につけ、トゥザワールドが外枠から中団につけて早めに動くと思われたが、位置取りが逆になり、イスラボニータのいい目標になった。ラスト5F59.4秒で完全な上がり勝負ではないが、いつもより前に行ったことでイスラボニータに切れ負けした。芝2000mの若駒Sと弥生賞で外から動いて力で捻じ伏せるレースをしていたが、今回は先行したことで持ち味の機動力を全く生かせなかった。それでいて川田騎手と池江調教師が勝ったイスラボニータが一枚上と簡単に認めているところにかなりの違和感を感じる。トゥザワールドの馬主キャロットファームは前週の桜花賞をハープスターで制している。イスラボニータは社台RH。これ以上は書かないが、競馬には大人の事情が多々存在するのだろう。ただしトゥザワールドが中団から機動力を生かしたとしてもイスラボニータに切れ負けした可能性があることを付け加えておく。次走はダービーに向かう予定。切れより地力タイプのため、叩き合いで弱さを露呈する可能性がある。
ウインフルブルームは大外枠から逃げてマイペースで進め、最後までしぶとく粘って0.3秒差の3着。9Rの鹿野山特別(芝2000m)をマイネルミラノで逃げ切った柴田大騎手が上手く乗っている。デビューから[2−3−2−0]で複勝率100%をキープ。こういう崩れない馬は、3歳重賞で穴をあけることが多い。脚捌きが硬く、故障リスクが高い馬だが、今のところは休みながら順調に使えている。次走はNHKマイルCに向かう予定。シンザン記念で0.1秒負けたミッキーアイルと対決することになる。
ワンアンドオンリーは最後方からメンバー最速の34.3秒で追い込んで3着に頭差の4着。逃げ馬が3着に粘る展開で最後方からでは厳しかったが、大外を回っていい脚を長く使っており、ダービーに繋がる末脚を見せた。これまでのレースを見ると馬込みで我慢して外に出すレースができており、大飛びでも不器用ではないが、1枠1番ということもあり、横山典騎手は最後方からのレースを選択した。最終調教で時計を出し過ぎ、レースでは大外をブン回してかなり負担の掛かるレースをした。次走は状態面に要注意。
アジアエクスプレスは2番手から伸び切れず、逃げたウインフルブルームも交わせず6着。これまで中団でタメて末脚の威力で勝負してきた馬が2番手につけて最後は息切れ。流れが緩むとみた陣営の作戦なのだろうが、ピンとこない乗り方だった。体型的に距離は長く、切れより地力タイプのため、切れ味が要求される馬場は合わないタイプ。土曜は馬場が緩く時計、上がりが掛かっていたが、日曜は馬場が回復したことがマイナスに働いた。今後はダート路線を進むことになった。次走はユニコーンSに向かう予定。
トーセンスターダムは好位につけたが、勝負どころで上がって行けず、直線でも見せ場なく11着。道中外からマークされて外に出せず、3コーナーで馬場の悪い内を通ったことでフットワークがバラバラになった。これまで少頭数の京都でしか走っておらず、キャリア、経験の差が出たが、これが能力ではない。武豊騎手はダービーの叩き台ということもあり、無理をしなかった。次走はダービーに直行する予定。距離はこなせるタイプで広い東京に替わるのもプラス。きさらぎ賞勝ち馬はダービーで活躍することが多い。
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