天皇賞(春)
レース回顧
フェノーメノは中団の内で脚をタメ、勝負どころで押し上げて直線で抜け出し、メンバー6位タイの34.3秒でウインバリアシオンの追撃をクビ差振り切った。サトノノブレズが逃げて前半5F61.7秒のスローペース。後半5Fは12.3−11.7−12.0−11.1−11.7秒で58.8秒。フェノーメノは人気の有力馬が後方から追い込む中、中団から自分のレースに徹して2連覇を達成。過去10年の連対馬20頭のうち17頭が4コーナーで5番手以内につけていた。4コーナーでフェノーメノは5番手、ウインバリアシオンは8番手、キズナは10番手、ゴールドシップは14番手。ウインバリアシオンは岩田騎手(騎乗停止)→シュタルケ騎手(落馬負傷)→武幸騎手、キズナは4歳春を迎えても追い込み一辺倒、ゴールドシップは出遅れ癖を克服できず。天皇賞(春)を勝つためのポジションにつけたフェノーメノがその通りに制した。ひと叩きされて馬体が10キロ増え、前走からの上積みを感じさせたが、絶好調だった昨年のデキまでは戻っていなかった。それでも勝てたのは、昨年より遅い流れで人気の有力馬が後方からのレースになったことが大きかったのではないか。今後は荒れ馬場で行われることが多い宝塚記念には出走せず、秋の天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念を使う予定。サンデーレーシングは今年の3歳馬が大不振だが、前2週で重賞3勝を挙げた。G1制覇で損失は補填され、ひと区切りついた。今週は社台RHの馬に要注意。
ウインバリアシオンは後方から捲って直線でフェノーメノに並びかけたが、最後に競り負けてクビ差の2着。上がりはメンバー3位タイの34.1秒でフェノーメノを0.2秒上回ったが、位置取りの差で差し切れなかった。シュタルケ騎手の落馬負傷で急遽乗り替わった武幸騎手は上手く乗っているが、必ず勝ち負けできる位置につけるシュタルケ騎手ならもう1、2列前につけて際どいレースになったのではないか。鞍上が岩田騎手→シュタルケ騎手→武幸騎手と替わったように運がなかった。これでG1は[0−4−1−2]で4回目の2着。芝3000m以上のG1は[0−2−1−0]。胴長の馬体は、寸詰まりのキズナより、長距離適性の高さを感じさせた。6歳になって馬体が絞れてバランスが良くなり、心身ともに本格化している。最近は馬が賢くなりレースで自分が何をすべきか分かっている。屈腱炎を克服してこのレベルまで成長させた陣営に拍手を送りたい。今後は宝塚記念は使わずに秋に備える予定。高速馬場もこなせるが、荒れた力のいる馬場の方が持ち味を生かせる。中山芝2500mは[1−2−0−0]。昨年の有馬記念はオルフェーヴルに8馬身差の2着だったが、もうオルフェーヴルはいない。有馬記念に向けて大事に使っていきたい。G1制覇のチャンスがある。
ホッコーブレーヴは中団の内で脚をタメ、メンバー最速タイの34.0秒で最後に猛然と伸びて2着にハナ差の3着。田辺騎手が内ラチ沿いで脚をタメて一発狙いの騎乗が嵌ったが、能力がないとあの脚は使えない。前走日経賞で後方からメンバー2位の34.3秒でガツンと伸びたのはダテではなく、長い距離で頭角を現してきた。父マーベラスサンデーの血が開花してきたのではないか。芝2400m以上で三浦騎手では[1−1−0−5]だが、三浦騎手ではなければ[2−3−2−0]で複勝率100%。三浦騎手が騎乗するとパフォーマンスを大きく下げる馬が異常に多い。逆に言うと三浦騎手で負けた馬が乗り替わると人気薄でおいしい馬券になることが多い。三浦騎手は先週日曜の東京で5勝。最近は馬質が上がって以前より結果を出している。ホッコーブレーヴはG1を視野に入れながら目黒記念、AR共和国杯が目標になりそう。田辺騎手はフェブラリーSを16番人気で勝ち、天皇賞(春)を12番人気で3着。今春のG1で穴馬券を演出している。
キズナは後方2番手から捲って4コーナーで10番手に押し上げ、メンバー最速タイの34.0秒で上がり0.2秒差の4着。ラスト1F過ぎに前にいた馬と同じ脚色になり、最後はホッコーブレーヴに差された。デビュー以来、自分より後ろにいた馬に差されたのは初めて。馬体の造りから距離適性の差が出たともいえるが、最後はじりじりと差を詰めていたようにもう少し強気に乗れば際どかったのではないか。最終調教で逆手前で走っていたが、レースでも手前を替えず、逆手前で走っていた。レース後に左第3手根骨々折が判明。最後にギアが上がらなかったのは、馬自身が脚元を気にしてセーブした面があるのかもしれない。ただしレース中に骨折していたとしてもホッコーブレーヴに差されたことで底が見えた可能性がある。佐々木晶調教師は現役続行とコメントしているが、ダービー馬だけにオーナーは種牡馬入りを選択するのではないか。ダービー馬キズナは天皇賞(春)4着、同2着馬エピファネイアはクイーンエリザベス2世C4着。世代レベルに注意。現役最強馬が3歳牝馬の可能性がある。
フェイムゲームは後方からメンバー6位タイの34.3秒で伸びて0.4秒差の6着。最後に猛然と伸びてゴールドシップをクビ差交わした。ダイヤモンドSで出遅れて大外をブン回して楽勝したのはダテではなく、長い距離で頭角を現してきた。京都の長距離G1で北村宏騎手は[0−0−0−5]で惨敗するのが例年のパターン。それだけにフェイムゲームの0.4秒差の6着は評価できる。バランスオブゲームの半弟でハーツクライ産駒。高速馬場より時計の掛かる馬場が合うタイプ。長い距離で馬場がマッチしたときは要注意。
ゴールドシップは大きく出遅れて最後方からメンバー5位の34.2秒で伸びて0.5秒差の7着。前半5Fが昨年より2.3秒遅い流れで最後方から大外一気では厳しい。阪神大賞典を2番手からメンバー最速の34.5秒で押し切り、前に行って粘らせるのが得意なウィリアムズ騎手に乗り替わって同じようなレースが期待されたが、かなり大きな出遅れだった。パドックで気配が地味に映ったように休み明けで走り過ぎた影響があったか。高速馬場ではダービー5着、天皇賞(春)5着、京都大賞典5着、ジャパンC15着、天皇賞(春)7着でお客様。荒れ馬場で行われることが多い宝塚記念では要注意だが、ピークを過ぎた可能性を考慮したい。
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