ヴィクトリアマイル
レース回顧

ヴィルシーナは内田騎手が押してハナを切り、前半3F34.7秒、5F58.0秒のマイペース。直線で早めに追い出して上がりを34.3秒(15位タイ)でまとめて逃げ切った。A→Bコースに変更され、Aコースで踏み固められた内側を通った馬が有利な馬場になり、道中内ラチ沿いをロスなく回ってきた3頭で決着。ヴィルシーナはヴィクトリアマイル2連覇を達成。昨年は前年の勝ち馬ホエールキャプチャが近走不振、前走阪神牝馬S14着から12番人気で2着に激走したが、同じように近走不振、前走阪神牝馬S11着から11番人気で巻き返した。昨年のヴィクトリアマイルでも交わされそうで最後まで粘ったが、今年も直線に入ってすぐに追い出し最後までしぶとい脚を使っている。勝負根性があり、追ってバテないタイプ。不利な外枠に入ったが、スタートから強引に押して出てクロフネサプライズを控えさせ、前半3F34.7秒の緩い流れで逃げた内田博騎手の技ありのレースだった。芝1600〜2000mの牝馬限定戦では[3−3−0−0]で連対率100%。近走不振が続いていたが、牝馬限定戦でG1馬が底力を発揮した。ヴィクトリアマイルは4、5歳馬のG1実績馬が活躍するレース。今年もその通りの結果になった。ヴィルシーナは次走安田記念に向かうことになりそう。昨年は1分32秒0で走って0.5秒差の8着。今年はさらにステップアップできるか。

メイショウマンボは内ラチ沿いの7番手につけ、直線で最内からメンバー5位の33.5秒で伸びて半馬身差の2着。久々に芝1600mを使ったが、内枠からスタートを決めて内ラチ沿いの絶好位につけた。後方からでは33.0秒で上がっても届かなかっただけに好位置につけたことが大きかった。武幸騎手はG1でメイショウマンボに騎乗するといつも好位置につけている。よほど相性がいいのだろう。昨年のオークス以降、牝馬限定G1は[3−1−0−0]で連対率100%。最終調教の動き、馬体の造りを見る限り、まだ本調子ではなかったが、これがG1馬の底力なのだろう。5歳牝馬はジャンティルドンナがトップ、ヴィルシーナがナンバー2。4歳牝馬はメイショウマンボがトップ。馬券は高配当になったが、メンバー中、世代ナンバーワンの4、5歳馬で順当な結果になった。ヴィクトリアマイルは距離適性の差がモロに出る年もあるが、G1馬を重視というスタンスが正解なのだろう。メイショウマンボは昨年秋の状態に戻っておらず、上積みが見込める。今年開業した飯田調教師がどんな方策で調子を上げてくるか注目したい。

ストレイトガールは中団からメンバー2位タイの33.2秒で最後に猛然と追い込んで2着に頭差の3着。直線で前が壁になり、狭い内から捌いてきたが、ごちゃついて追い出しが遅れるロスがあった。岩田騎手は騎乗停止(東京で斜行しNHKマイルCと同様に後藤騎手が落馬負傷)明けのため、他馬の進路を塞がないように慎重に騎乗していた。もう少し強引に馬群をこじあけてくれば、ヴィルシーナと際どい争いになっていたのではないか。前走不良馬場の高松宮記念で3着に激走した反動が懸念され、調教でも攻めていなかったが、パドックでは馬体のバランスが良く、仕上がりは良さそうだった。小柄な牝馬でもタフなタイプなのだろう。今後は秋のスプリンターズSが目標になり、スプリンターズSを勝てば香港スプリントが視野に入る。芝1600mをこなしたことでマイルCSという選択枠もできた。今回は久々の芝1600mで岩田騎手が大事に乗ったが、スピードがあるため、本来は好位で流れに乗れるタイプ。直線が平坦の京都の方が持ち味を生かせそうだ。

ホエールキャプチャは好位の外から直線で追い出しを待つ余裕があったが、最後にひと伸びがなく0.1秒差の4着。1〜3着馬が内ラチ沿いをロスなく回ってきたこともあるが、最後に伸び切れなかったのは6歳の壁か。過去9年のヴィクトリアマイルで6歳以上は[0−0−2−29]で3着止まり。それでもヴィクトリアマイルで3年連続1分32秒4で走っており力は出している。東京芝は[4−3−0−0]、東京芝1600m[3−1−0−0]、前走東京新聞杯で57キロを背負って勝ったことで2番人気に支持されたが、初めて東京で連対を外した。こういう崩れていない馬は人気になるが、みんながその堅実に乗って人気になったときは連対を外すことが多いので注意したい。次走は安田記念に向かう予定。6歳馬で高速決着に限界があるため、雨で馬場が渋った方が良さそうだ。

デニムアンドルビーは後方を進み、大外からメンバー2位タイの33.2秒で伸びて0.4秒差の7着。内を通った馬が有利な馬場、逃げ馬が粘る展開で大外からの追い込みでは厳しかった。前走ドバイシーマクラシックは逃げて自滅したが、今回は本来の末脚を生かすレースができたことを評価したい。大外からいい脚を長く使っており、復調のメドは立った。絶対能力が高いため、牡馬相手の方が力を発揮しやすいタイプ。次走は宝塚記念に向かうことになりそうだ。渋った馬場をこなすタイプ。雨が降って他馬が苦にするようなら面白い。

スマートレイアーは中団の内からメンバー7位タイの33.7秒で伸びて0.4秒差の8着。スタートを決めて流れに乗ったが、直線で前が壁になり、ごちゃついて脚を余した。一気にトップギアに入ってガツンと伸びる馬ではなく、徐々にスピードに乗ってそのスピードを持続するタイプ。内でごちゃついて持ち味を全く生かせなかった。内を通った馬が有利な馬場で内に馬が集まったことがアダになった。長距離輸送すると馬体が減るタイプ。今回は6キロ減っていたが、馬体、気配は悪くなかった。阪神芝では4戦4勝。暮れの朝日CC、阪神カップでは要注意。

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