エルムS
レース回顧
ローマンレジェンドは4番手から勝負どころで2番手に押し上げ、メンバー最速の36.2秒でまとめてクリノスターオーとの激しい叩き合いを制した。エーシンモアオバーが逃げて前半5F59.7秒(推定)の平均ペース。不良馬場で高速化し、前に行った馬で決着した。ローマンレジェンドはスタートを決めて4番手で流れに乗れたことが勝因。最後は12年のエルムSを勝ったときの再現VTRのようだった。これで休み明けは[5−0−2−0]。気持ちで走るタイプで大型馬でも久々を苦にしない。骨折明けだったが、入念に乗り込んだことで最終調教の動きは久々を感じさせず、パドックでも休養前より気配が良くなっていた。藤原英厩舎が一丸となって復活させようと懸命に努力してきたことが実を結んだ。馬にもその気持ちが届いたのだろう。昨年は未勝利に終わったが、58キロを背負って好タイムで勝ったことで今後も重賞戦線で活躍できそうだ。一戦ごとに全力を出し切るタイプのため、G1にぶっつけで使う手もありそうだ。4歳春に相馬眼ニュースで取り上げた馬。G1で更なるパフォーマンスアップを期待してみたい。
クリノスターオーは2番手から4コーナーで先頭に立ち、メンバー2位の36.3秒でまとめたが、ローマンレジェンドとの叩き合いに負けて頭差の2着。520キロを超える大型馬で初のダ1700mと高速決着に不安があったが、57キロを背負って堂々としたレースぶりで2着を確保。前走平安Sは前残りの展開と内をロスなく回ったことが有利に働いた面があり、前走重賞勝ちでも5番人気の低評価だったが、その評価を覆した。昨年のゴールデンブライドルT(WSJS)を勝った馬。WSJSのガチンコ勝負に勝った馬は出世する傾向があり、平安S1着、エルムS2着と重賞でパフォーマンスを引き上げてきた。最終調教は気難しさを出して地味に映ったが、人気を下げる方策(ダマシ調教)だったか。小回りの高速決着に対応できたことでレース選択の幅が広がりそうだ。幸騎手でダートなら[4−1−0−1]。幸騎手はブルーコンコルドとホッコータルマエで地方交流重賞を知り尽くしている。地方交流重賞でも要注意。
インカンテーションは好位からメンバー3位の36.9秒で伸びて5馬身差の3着。休み明けで馬体が12キロ減って本調子ではなさそうだったが、スタートから行きっぷりが良く、好位からなだれ込んだ。昨年の稍重のレパードSを勝ち、雨で脚抜きが良くなったみやこS(1分49秒2)で2着に入った馬。実力もあるが、脚抜きの馬場の適性はかなり高いようだ。長期休み明けで激走したため反動が気になるが、上手くケアして大事に使えば走ってきそう。中京ダ1800mは[2−0−1−0]の巧者。暮れのチャンピオンズCに向けてどこまでパフォーマンスを引き上げられるか。
グランプリブラッドは後方から内を突いて馬群を捌き、メンバー4位の37.0秒で伸びて3着に4馬身差の4着。高速馬場で前残りになり、前の3頭には離されたが、ブービーの12番人気馬が4着まで追い上げたことを評価したい。平安Sで0.5秒差の7着に入ったのはダテではない。心肺機能が高く、タフなレースになると力を発揮するタイプ。今後も一発狙いの騎乗をしていけば、どこまで嵌りそうだ。
ジェベルムーサは最後方から大外を捲ったが、直線で伸び切れず6着。前に行った馬がジェベルムーサが後方から捲るタイミングでペースアップしたため、なかなか前に追いつけず、そこで脚を使ったことで伸び切れなかった。不良馬場の高速決着もマイナスに働いた。4走前のフェアウェルSは強かったが、その後はひと息のレースが続いている。冬に調子を上げるデカ馬で上がりが掛かる中山が合うタイプというのが本質か。本格化すればG1で通用しそうな馬。
ブライトラインは5番手から外を回って追い上げたが、直線で一杯になって10着。昨年のエルムSで前が壁になって3着に負けたため、福永騎手は内で詰まる訳にはいかないとばかり外を回って自滅した。外を回って高速決着で勝ち切るほどの脚力はないだけに内枠にも関わらず外を回したことが堪えた。ブライトラインはG2以上で勝ち負けできる力を持っているが、福永騎手で不憫なレースが続いている。
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