札幌記念
レース回顧

ハープスターは後方2番手を進み、3コーナーから外を回って進出し直線で一気に抜け出すとメンバー2位の35.5秒でゴールドシップを完封してレースを制した。3着は5馬身離れており、2頭のマッチレースになった。トウケイヘイローが逃げて前半5F58.4秒。速い流れで実力が問われ、G1勝ちのある3頭で決着した。ハープスターは3コーナーから早めに動いたが、レースのラスト3Fは12.3−12.0−12.0秒で尻上がり&持続ラップ。並の馬なら直線で止まってゴールドシップに差されるが、ハープスターは最後まで止まらなかった。これがスーパーホースの末脚なのだろう。ゴールドシップが離れた最後方からのレースになったこと、52キロの軽量がプラスに働いたのは確かだが、世界レベルの馬でないとこの走りはできない。勝ちタイム1分59秒1はかなり優秀。2着ゴールドシップは宝塚記念を連覇したときくらい走っている。凱旋門賞の前に厳しいレースをして勝ったことは状態面でマイナスに働く可能性がなくもないが、古馬を相手に厳しいレースを経験できたことはプラスに働くのではないか。ディープインパクト産駒の3歳牝馬が凱旋門賞を前に完全に覚醒した。個人的にはディープインパクト、オルフェーヴル、ジェンティルドンナに続く、4頭目のスーパーホース。日本馬初の凱旋門賞制覇に向けて一歩前進した。今年は日本馬3頭のワンツースリーがあるのではないか。厩舎的に薬物の不安はない。

ゴールドシップは離れた最後方から大外を捲ってメンバー最速の35.3秒で追い込んで0.1秒差の2着。スタートは悪くなかったが、横山典騎手が馬込みで揉まれるのを避けて最後方からのレースを選択。大外から捲っていい脚を長く使っているが、ハープスターの末脚の持続力&威力に屈した形。1000m通過時にハープスターより5馬身後ろにいたように位置取りが後ろ過ぎたが、3着を5馬身引き離したように自分の力は出している。斤量5キロ差はあったが、陣営は初もの尽くし(古馬、距離、コース)の3歳牝馬に同じようなレースをして負けたことにショックを受けたのではないか。凱旋門賞でも斤量5キロ差は変わらない。ただし今回は仕上げに余裕を残しており、凱旋門賞は距離2400mで2F延長はプラスに働く。ゲートを出てみないとどういうレースになるかは分からないが、横山典騎手とは信頼関係が築けてきている。父ステイゴールドもそうだったが、こういう気難しい馬は外国に行くとまじめに走ることが多い。凱旋門賞は攻めないと勝てない。横山典騎手の考え抜かれた最高レベルのパフォーマンスを期待したい。

ホエールキャプチャは中団からメンバー3位の36.4秒で伸びて5馬身差の3着。道中内ラチ沿いをロスなく回り、勝負どころで外から捲られても内で我慢して脚をタメたことが最後の伸びに繋がっている。蛯名騎手が勝ちにいかず3着狙いに徹したことが功を奏した。牝馬限定G1[1−3−2−4]の実力馬。速い流れで厳しいレースになり、G1馬が実力を発揮した。6歳牝馬でも衰えはない。今秋も牝馬重賞戦線を盛り上げてくれそうだ。

ラブイズブーシェは後方から内を通って進出し、直線でしぶとく伸びて3着に0.1秒差の4着。直線で前が壁になり、外に持ち出すロスがあった。そこがスムーズなら3着と際どかったのではないか。今年はハープスターとゴールドシップが強過ぎたが、例年なら馬券圏内に入れる走りをしている。前走より調教の動き、気配は若干落ちていたが、さすがに洋芝巧者。北海道ではずっと堅実に走っている。

トウケイヘイローは前半5F58.4秒で飛ばし、直線で失速して11着。上がり3Fは38.9秒で最後はバタバタになった。休み明けが堪えたというより、前半から気分良く飛ばし過ぎたのが敗因。右回りの芝2000mでは堅実に走っていたが、初めて大きく崩れた。次走は手が合う武豊騎手に乗り替わることになりそう。レース選択が難しいが、陣営が適条件に使い、かつ今回の惨敗で人気が落ちるようなら狙ってみたい。

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