新潟記念
レース回顧

マーティンボロは中団から直線で馬群を割ってメンバー2位の34.2秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは1分58秒3。前半5F59.0秒、後半5F59.3秒で地力が問われたレースになった。マーティンボロは直線で前が壁になり、強引に内に切れ込んで他馬の進路を妨害したが、妨害を受けた馬が先着したとはいえないため降着はなし。以前の基準なら降着だったのではないか。メイショウナルトが不利を受けて6着以下に終わったことでマーティンボロのサマー2000シリーズ優勝が決まった。前走小倉記念でメイショウナルトに0.3秒先着したが、ハンデは据え置きの56キロ。小倉記念2着馬は新潟記念でハンデが0.5キロ増えるのが例年のパターンだが、JRAハンデキャッパーは社台に有利なハンデをつけた。あれほど大きく内に寄れて何頭にも不利を与えたが降着も失格もなし。勝てばサマーシリーズ優勝が決まる社台の馬をJRAが処分することはない。02年のNHKマイルCのテレグノシス(大きく斜行、審議30分)もそうだったが、JRAは社台に甘い。これが今の競馬界の実態なのだろう。マーティンボロはレースを使われながら着実に地力が強化されており、G2で通用するレベルに近づいている。未完に終わったフレールジャックの半弟。小柄なため、斤量泣きする可能性がある点に注意。

クランモンタナは外枠スタートから好位につけ、メンバー8位の34.6秒で伸びてクビ差の2着。道中外々を回り、直線でラストインパクトに前に出られたが、最後にひと伸びして差し返した。差し馬向きの展開で最後は厳しくなったが、持ち前のしぶとさを発揮して2着を確保。前走1600万条件を勝ってオープン入りした直後の馬が重賞実績馬を相手によく走っている。穴馬として強気に狙ったのは正解だった。新潟外回りは直線が長く差し追い込みが決まりやすいが、新潟記念は芝2000mで地力が問われ、先行馬が粘り込むことも多い。クランモンタナは昨年の信濃川Sで2着サトノノブレスより3キロ重い57キロを背負って1分58秒8で勝ったことはやはりダテではなかった。パドックでは馬体の張り、気合乗りが良く、きっちり仕上げてきていた。過去10年の新潟記念で音無厩舎の管理馬は[0−4−1−3]、ひと桁人気なら[0−4−1−0]で複勝率100%。来年も音無管理馬が出走したら要注意。

ラストインパクトは後方からメンバー最速の34.0秒で伸びて2着にハナ差の3着。川田騎手が控えて追い込むレースをして最速上がりを繰り出したが、最後にクランモンタナに差し返された。ラストインパクトは切れより地力タイプで他にもっと切れる馬がいたが、タフな流れ、荒れた固い馬場でガツンと切れる脚を使える馬がいなかった。最後に止まったのは使える脚が短いため。直線の長い新潟外回りより、小回りコースの方が合っている。前走小倉記念6着は不甲斐なかったが、ひと叩きされて走りが一変した。まだ勝ちパターンを確立できていないが、タフな馬で故障しなそうなタイプ。使われながらジリジリと地力強化されそうだ。

メイショウナルトは前半5F59.0秒で逃げて直線でしぶとく伸びたが、マーティンボロの大きな斜行で手綱を引っ張る致命的な不利があり10着に終わった。5着アロマカフェとは0.4秒差。不利がなくても5着に粘れたかどうかは分からないが、5着なら16ptでサマー2000シリーズ優勝だった。マーティンボロの斜行によって後味の悪いレースになった。最近はリズム良く走れていただけにこれがきっかけで気の悪さを出さなければいいのだが・・・。メイショウナルトかどうかは分からないが、このあとメイショウはJRAからどこかで恩恵を受ける。それを見逃さないように狙っていきたい。騎手は空気を読む。

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