天皇賞(春)
レース回顧
キタサンブラックは1枠1番から内ラチ沿いをマイペースで逃げ、ラスト4Fを11秒台でまとめて逃げ切り勝ち。直線で一旦カレンミロティックに前に出られたが、最後に差し返してハナ差で制した。前半5F61.8秒のスローペースで中盤以降に12.5〜12.9秒のラップが5F(63.3秒)刻まれ、ラスト4Fが11.6−11.4−11.7−11.9秒。流れが緩んでも早めに動いて前にプレッシャーをかける馬がおらず、スローなら上がりをまとめるキタサンブラックが勝ちパターンの持ち込んで制した。1番人気のゴールドアクターが不利な外枠でいつもより位置取りが悪くなったこともプラスに働いている。1〜3着馬は内ラチ沿いをロスなく回ってきた馬。マイラーズCもそうだったが、京都の芝重賞は内ラチ沿いをロスなく回ってきた馬が結果を出すことが非常に多い。騎手たちはみなそれを知っているため、途中から内に入れるのが難しいのだろう。キタサンブラックはこれで菊花賞に続きG1−2勝目。今回は展開に恵まれたのは確かだが、スタミナがあり、高速ラップでまとめられる持ち味があるからこその勝利。次走は宝塚記念。ドゥラメンテを相手にどんなレースを見せてくれるか楽しみだ。
武豊騎手は13年マイルCSをトーセンラーで勝ってから芝G1では[0−1−0−38](2着朝日杯FSエアスピネル)、3歳以上では[0−0−0−35]で3着以内がなく大不振が続いていたが、ようやく不振を脱した。この勝利で武豊騎手は天皇賞(春)(秋)で1枠1番では[3−1−0−1]となった。1枠1番はサイレンススズカが散った思い入れの強い枠。これで過去5年の天皇賞(春)で1枠1番は[3−1−0−1]で連対率80%。JRAが武豊騎手の大不振に耐え切れず助け舟を出した可能性がある。京都の芝重賞、特にG1は1枠1番に入った馬は要注意。同じように日本ダービーも過去8年で1枠1番は[4−2−0−2]で連対率75%。ただし1枠1番を生かせる馬、騎手でないと出番はない。
カレンミロティックは内ラチ沿いの3番手を進み、メンバー6位タイの34.8秒でまとめて一旦キタサンブラックを交わしたが、最後に差し返されてハナ差の惜しい2着。2枠3番スタートから内ラチ沿いをロスなく回ってきたこと、スローペースで前残りの展開になったことが良かったのだろう。昨年の天皇賞(春)で先行して直線で早めに抜け出して0.1秒差の3着に粘った馬。昨年は中盤に流れが緩まず、消耗戦になって差されたが、今年はラスト4Fの上がり勝負になり、持ち味のしぶとさを発揮した。前3走は天皇賞(秋)13着、ジャパンC15着、阪神大賞典6着で全く人気がなく13番人気。荒れる天皇賞(春)を象徴するかのような激走だった。これで12年以降の京都では[1−3−4−0]で複勝率100%。宝塚記念で2着があるセン馬が8歳になって大波乱を演出した。次走の宝塚記念でもアッと言わせるか。
シュヴァルグランは4枠8番から内ラチ沿いの中団を進み、メンバー4位タイの34.5秒で伸びて0.2秒差の3着。最後に内から馬群を捌いて伸びてきたが、前残りの展開で馬体を併せるところまで行かなかった。スローペースで内から上がって行くスペースがなく、終い勝負に徹するしかなかったことが堪えた。それでもG1初挑戦で58キロを背負い、0.2秒差の3着なら今後のメドは立った。パドックでは少しテンションが高かったが、1000万条件を勝ったときも同じように高かった。レースに行けばまじめに走るタイプ。今後もG1、G2戦線で堅実に走りそうだ。
ゴールドアクターは8枠17番スタートから7番手につけ、勝負どころで外から上がって2番手に押し上げたが、直線で一杯になって12着に終わった。スローペースで道中内ラチ沿いをロスなく回った馬が上位を独占する展開で不利な外枠から外々を回って早めに押し上げるレースでは厳しかった。3番手以内につけて盤石のレースぶりで5連勝してきたが、スタートが速いゴールドアクターでも外枠から前につけるのは難しいということなのだろう。いつもより少しテンションが高かったが、それが敗因ではない。まともに走ればキタサンブラックに対抗できる馬。スローペースで連勝してきたため、流れが速くなったときに真価が問われる。
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