オークス
レース回顧

シンハライトは後方に控えて脚をタメ、直線で馬群を捌いてメンバー最速タイの33.5秒で差し切りクビ差で制した。ダンツペンダントが逃げて前半5F59.8秒のやや速い流れ。前に行った馬に厳しい展開になり、直線では前に行った馬と後ろで脚をタメた馬がゴッソリ入れ替わる展開になった。終盤に流れが緩んだことでラスト3Fは11,4−11.5−11.6秒の高速ラップ。消耗戦なのに上がりが速い、珍しいレースになった。シンハライトはスタートが遅く位置取りが後ろになり、直線ではかなり厳しいところにいたが、最後は底力で捻じ伏せた。直線で斜行しデンコウアンジュの進路を妨害したため、池添騎手は2日間の騎乗停止処分が科せられた。池添騎手ではトールポピーで勝ったオークスでも大きく斜行している。故意の斜行は重大事故に繋がる恐ろしい行為。偶発的な斜行は仕方ないが、故意の進路取り&斜行は現状の降着、失格基準に合わない。今の基準は「やり得」の状態。世界基準に合わせる必要はあるのだろうか。

シンハライトは桜花賞で4キロ減った馬体がさらに4キロ減って422キロ。パドックでは腹目が細くなっていたが、気合乗りが良く馬はやる気満々だった。JRAはロスなく回れる2枠3番に入れ、先週まで芝丈が長かった芝を刈り込んで軽い馬場にしていた。この日の東京は小柄なレジェとバンゴールが最速上がりで外から差し切ったように切れ味と持続力を兼ね備えた極軽な馬に向く馬場設定だった。パドック診断に書いた通り、この設定に最も向く馬はシンハライト、その次がビッシュ。JRAを味方につけた馬は強い。競馬にタレればは禁物だが、ジュエラーがいれば2、3馬身前を走っていたのではないか。それでも小柄なシンハライトは想像以上に強かった。チェッキーノを含め、4頭が集結する秋華賞が楽しみだ。まだ1勝馬だが、間に合えばアドヴェントス(アヴェンチュラの全妹)も秋華賞路線に乗ってくる。

チェッキーノは7枠13番スタートから後方に控え、メンバー最速タイの33.5秒で伸びてクビ差の惜しい2着。シンハライトは内枠から道中ロスなく回ってきたが、チェッキーノは終始外を回っていた。これまでは8番手前後からレースをしていたが、今回は13番手。前走フローラSを勝ったルメール騎手を確保できず、テン乗りの戸崎騎手に乗り替わった影響もあるのだろう。これでデビューから[3−2−0−0]で上がりは全てメンバー最速。これまで34秒台でしか上がったことがなかったが、33.5秒で上がって高速上がりにも対応できることを示した。調教は軽めが多く見栄えはしないが、藤沢和厩舎は見えないところで負荷をかけている。重賞で人気を裏切ることが多い厩舎だが、今年の重賞で3番人気以内なら[1−2−1−0]で複勝率100%。ルメール、Mデムーロ騎手を乗せて人気になったときは注意したい。チェッキーノはコディーノの全妹。4歳時に疝痛で亡くなった兄のぶんまで頑張ってほしい。

ビッシュは中団の外から早めに動いて直線で先頭に立ったが、最後に差されて0.1秒差の3着。上がりはメンバー7位タイの34.1秒。Mデムーロ騎手が外から早めに動く強気な騎乗で持ってきた。フローラSでは最後方から大外を回って追い込んで5着に終わったが、チェッキーノと同じメンバー最速の34.6秒を繰り出していた。小柄なディープインパクト産駒でいい脚を長く使えるタイプ。Mデムーロ騎手が上手く持ち味を引き出している。過去10年でフローラSで4着以下に負けた馬は[0−0−0−13]だが、ビッシュはまともに走れば3着以内に来ていたということなのだろう。横山典騎手で同じように負けた京都新聞杯のエルプシャフトにも注意しておきたい。ビッシュは小柄でも勝負根性があり、最後まで諦めない。秋華賞に向けて馬体がどこまで成長してくるか注目したい。

デンコウアンジュは中団の外につけたが、直線でシンハライトが斜行した煽りを受けて川田騎手が大きく手綱を引く不利があり0.4秒差の9着。立て直した後にしぶとく伸びて前との差を詰めていた。メジャーエンブレムに勝ったアルテミスSでは坂を上がってから鋭く伸びたようにまともなら最低でも掲示板はあったのではないか。馬体が10キロ減っていたが、東京なら堅実に走ることを示した。秋に向けて馬体の回復がカギになるが、東京の府中牝馬Sを使えば、メンバー次第で一発あるかもしれない。

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